「エンジニアとしてプログラミングをするのが楽しいから、マネジメントはしたくない・・・」
「管理職は大変そうだから、できれば避けたい・・・」
開発チームのメンバーとしてプログラミングに従事しているエンジニアの中には、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーといった管理職になりたくないと考えている人も多いでしょう。
後述しますが、実際に今は管理職への出世を望んでいない人も多く、エンジニアの世界でも「プログラミングだけをやっていたい」という人も珍しくありません。
そこでこの記事では、なぜエンジニアがマネジメントをしたくないと思うのか、マネジメントをしたくない場合は管理職を断るべきなのか、管理職につくとどんなメリットがあるのか、どうしてもマネジメントをしたくない場合はどう行動すべきなのか、といった点について詳しく解説していきます。
エンジニアがマネジメントをしたくないと思う理由
マネジメントは、エンジニアとしてのキャリアアップに必要となるスキルのため、マネジメントをする立場になりたいと考えるのが普通だと考える人もいらっしゃるでしょう。
しかし実際は、マネジメント業務が伴う管理職にはなりたくないと考えるエンジニアも一定数存在するのです。
エンジニアがマネジメントをしたくないと考える主な理由は、以下の通りです。
- プログラミングの仕事に集中したい
- 管理職の責任やプレッシャーに耐えられない
- マネジメントスキルに自信がない
- 残業手当がもらえなくなる
プログラミングの仕事に集中したい
プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーといった、マネジメントする側の立場になると、その分プログラミングをする機会が少なくなります。
スケジュール調整やメンバーの進捗管理、顧客との折衝といった仕事が増えるのですから、プログラミングの時間が減るのは当然でしょう。
「プログラミングスキルを徹底的に磨きたい」「単純にプログラミングをしている時間が楽しい」と考えているエンジニアもいますので、そういった方にとっては管理職につくことに対してポジティブになれず、「できれば避けたい」と考えるようになることが多いです。
管理職の責任やプレッシャーに耐えられない
チームのメンバーを束ねる管理職ともなれば、プロジェクトを納期までにきちんと完了させられるか、途中でコストがオーバーするようなことはないか、完成したシステムは品質的に問題ないか、といったことに対して常に配慮しなければなりませんし、何らかの問題が起きれば、管理職の立場にあるエンジニアの責任となります。
また、チームの生産力を上げるのも管理職の役割なので、生産性が低ければ管理能力を問われることになります。
こうした責任の重さやプレッシャーを背負いたくないという思いから、マネジメント業務を敬遠するようになってしまうことがあります。
マネジメントスキルに自信がない
そもそもマネジメントスキルに自信がないため、管理職など務まらないと考えているエンジニアもいます。
プロジェクト全体を管理する立場にある「プロジェクトマネージャー」は、以下のような仕事を責任を持って遂行することが求められます。
- 開発スケジュール管理
- メンバーの教育
- メンバーのモチベーション管理
- メンバー間でトラブルがあった時の調整
- コスト管理
- 品質管理 …など
こういったマネジメント業務をこなすには、プログラミングとはまったく別の能力が必要となってくるため、「自分に務まるだろうか」という不安から、管理職に対して抵抗を感じてしまうこともあるでしょう。
残業手当がもらえなくなる
管理職の場合、一般の社員と比べて仕事量が増えるため、労働時間が長くなりがちです。
しかし管理職につくと「管理監督者」という扱いになり、時間外労働や休日出勤に対して制限がなくなるため、残業手当がつかなくなってしまいます。
残業時間が増えやすくなるのに、残業代が出ないという立場になってしまうことから、「割に合わない」と感じる人が出てくるのも無理のないことでしょう。
マネジメントをしたくない場合は管理職を断るべき?
上記のような理由から、マネジメント業務を避けたいと考えているエンジニアの方もいることでしょう。
実際に、以下のようなアンケート結果があります。
参照:8割超の一般社員が「管理職になりたくない」と回答。その理由とは? | 人材派遣・人材紹介のマンパワーグループ
エンジニアに絞ったものではなく、20~50代のサラリーマンが対象となっていますが、なんと8割以上の人が「管理職になりたくない」と回答しています。
まだ若く、上昇志向が強いであろう20代でも、「管理職になりたい」と答えたのはたったの28%しかいませんでした。
それだけ、今の社会情勢においては、管理職という立場に魅力がなくなってきているのでしょう。
一昔前の管理職と言えば、責任は重いものの、その分給料も高かったため、目指す価値が充分にありました。
しかし現在では、終身雇用の概念が弱まり始め、出世して会社のために尽くしても報われない、というパターンも増えています。
さらに、現在では管理職になったところで大きく賃金が上がるということもあまりなく、ただ責任だけが重くなるという印象から、「管理職など割に合わない」と考える人が増えているのも無理はありません。
とはいえ、特別なこだわりがある場合を除けば、やはりマネジメントには挑戦しておいた方がよいでしょう。
若いうちはよいですが、ある程度年齢を重ねたエンジニアで「プログラミングしかできない」となると、キャリアの幅が狭まります。
よほど突出したプログラミングスキルがあれば別ですが、そうでない場合は、エンジニアとして生き残っていくことに苦労する可能性が高まってしまいます。
したがって、自分がマネジメントに向いているのか、適性があるのか、一度じっくりと自己分析をしてみて、少しでもやってみようという気になったら、一度チャレンジしてみるのもおすすめです。
マネジメントを経験してみて、やはり無理だと思えば、その時点で辞めればいいだけです。
一度管理職となったら、一生管理職を辞められないということはありません。
それならば、やらずに避け続けるより、実際に経験してから決める方が有意義ではないでしょうか。
マネジメントに向いている人の特徴
「マネジメントなどしたくない」と考えていても、実はマネジメントスキルの素養があるという人も存在します。
以下に当てはまるような人は、管理職を毛嫌いせず、一度経験してみるのもよいでしょう。
- コミュニケーション能力が高い
- 人を育てることが好き
- 責任感がある
- スケジューリングが得意
コミュニケーション能力が高い
管理職の重要な役割の一つとして、チームのメンバーたちと円滑にコミュニケーションを取り、メンバーが何かに悩んでいないか、順調に開発が進んでいるか、メンバー同士でのトラブルはないか、といったことを察知し、適切に対応するという業務があります。
そして、もし何かトラブルがあるようならば間に入って調整し、チーム力を上げ、開発効率を向上させていかなければなりません。
これらを実現するには、高いコミュニケーション能力が必要となります。
会話すること、人の話をじっくり聞くこと、悩み相談に乗ることが好きという人は、コミュニケーション能力が高い傾向にあります。
人を育てることが好き
部下を育て、その成長を喜べるような人も、管理職に向いています。
マネジメント業務には、プロジェクトにおける戦力とすべく、部下を正しく育成していくという仕事も含まれます。
チーム力向上のために、人を育てるというのは非常に重要なタスクとなります。
人に何かを教えることや、人のために何かをやってあげたいと思うような人ならば、人材育成という業務に向いている可能性が高いです。
責任感がある
引き受けたことを途中で投げ出したりせず、必ず最後までやり通すという責任感のある人も、マネジメント向きです。
開発プロジェクトというのは、スムーズにいかないことも多いです。
- クライアントからの急な仕様変更があった
- メンバーが急に辞めてしまった
- 予想外のコストが発生した
- 納品直前に重大なバグが発覚した
このように、様々なトラブルが起こる可能性があります。
しかしその都度、クライアントとの納期調整の交渉をしたり、人員を補充したりと、あらゆる方法を用いてトラブルに対処し、納品を完了させなければなりません。
時には、逃げ出したくなるような大問題が発生することもあるでしょう。
そんな時でも、最後までプロジェクトを完遂するのだという強い責任感がなければ、プロジェクトマネージャーは務まりません。
スケジューリングが得意
プロジェクトを期間内に終わらせるには、高いスケジューリング能力が求められます。
計画通りに進まないことも想定しながら、タイトになりすぎず、かといって余裕がありすぎず、という絶妙なスケジュールを立てる必要があります。
また、不測の事態が起こった時のことも考え、どのようなトラブルにどの程度の日数を要するか、といったシミュレーションも大事です。
管理職につくメリット
管理職に対するネガティブな部分については前述しましたが、もちろん、管理職につくメリットも存在します。
この項目では、マネジメント業務を行う管理職につくことで得られるメリットについて解説していきます。
キャリアの幅が広がる
マネジメントスキルが身に付けば、キャリアの幅が大きく広がります。
基本的に組織の中で出世していくためには、人を管理できる人材にならなければなりません。
「エンジニアだからプログラミングのスキルさえあればいい」というのも一つの考え方ですが、その場合、キャリアの幅が限られてしまいます。
最終的に、技術を活かしてフリーランスとして生きていくというのであれば、マネジメントスキルを磨かなくても何とかなることもありますが、サラリーマンエンジニアとして組織に属して仕事をしていくのならば、マネジメントを覚えることで選択肢が格段に増えます。
給料が上がる
管理職になると、基本的に残業手当がつかなくなるというデメリットはあるものの、トータルで見れば年収が上がることの方が多いです。
特にエンジニアの場合は、マネジメントスキルを持った人材が慢性的に不足している状況であるため、管理職を務められる人材は重宝されます。
会社としても、そんな貴重な人材に辞められたくはないため、仕事量や責任に見合った高い年収を用意してくれる可能性が高いです。
収入を上げたいと考えている場合は、是非ともマネジメントについても学ぶべきでしょう。
エンジニアとしての市場価値が上がり転職しやすい
前述の通り、マネジメント経験のあるエンジニアは貴重なので、転職市場でも大変需要が高いです。
プロジェクトリーダーはもちろん、プロジェクトマネージャーの経験まであるようならば、以前の会社よりも高い年収を提示されるケースも多々あるでしょう。
今の会社でのキャリアアップに限界を感じても、マネジメントスキルがあることで身動きを取りやすくなるという点は、大きなメリットではないでしょうか。
なお、場合によってはヘッドハンティングされ、大幅な年収アップを実現できるというケースも存在します。
どうしてもマネジメントをしたくない場合に取るべき行動
- 自分にはマネジメントの適性がないと確信がある
- 一度やってみたが肌に合わなかった
- プログラミングスキルを伸ばすことに特化したい
上記のような理由から、メリットがあることは重々承知しつつも、どうしても管理職のようなマネジメント業務が発生する立場になりたくないという場合は、無理に管理職になる必要はないでしょう。
強いストレスにさらされ続けてまで仕事をするというのは、人生においてマイナスとなります。
最悪の場合、精神を病んでしまい、普通に働くことすらできなくなるリスクもありますから、どうしてもやりたくないという時は遠慮せず管理職への昇格を避けるべきです。
管理職でなくとも、エンジニアとして長く活躍する方法はあります。
それは、CTOやテックリードのような技術面に特化した存在を目指す、という道です。
テックリードとは、チーム内における技術に関するリーダーのことであり、チームのメンターとなり、技術面でメンバーたちを支えていく存在です。
リーダー的存在にはなるものの、マネジメントとは違い、あくまでプログラミングスキルを活かした役割となります。
このように、エンジニアの誰しもがマネジメントを覚え、管理職を目指さなければいけないわけではありません。
仕事に多少の我慢は付き物ですが、「絶対に嫌だ」と感じることをやる必要はないので、プログラミングをとことん極めるという道を進むのもよいでしょう。
まとめ
以上、エンジニアがマネジメントをしたくないと考える理由や、マネジメントスキルを身に付けた時のメリット、どうしてもマネジメントをしたくない時にどうすべきか、といったことについて解説してきました。
着実なキャリアアップのためには、マネジメントスキルは非常に重要となってきます。
しかし人の価値観はそれぞれであり、多様性が認められるべきなので、どうしてもプログラミングにこだわりたいという場合は、遠慮なく自分が望む道を突き進むべきでしょう。
- 責任の重さや残業代がつかないことから、管理職について否定的に捉えている人も多い
- マネジメントスキルを身に付けることで、年収もアップしやすい上、転職市場でも貴重な人材として重宝される
- どうしてもマネジメントをしたくないのであれば、テックリードなどのプログラミングスキルを極める存在を目指すのもアリ
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