「プログラミングにおけるライブラリとは何?」
「ライブラリを使うメリット・デメリットが知りたい!」
このように、ライブラリについてあまりよく知らない初心者の方も多いでしょう。
プログラミングについて学習していると、「ライブラリ」「フレームワーク」といった言葉が出てきますが、どちらも効率的な開発を行えるようにするものです。
この2つは初心者が混同しやすいものですので、正しく理解しておくことが重要です。
そこで今回は以下の内容について解説していきます。
- ライブラリとは何か?
- ライブラリを利用するメリット
- ライブラリを利用するデメリット
- ライブラリの種類
- 主要プログラミング言語の代表的なライブラリ
本記事を読み終えれば、ライブラリに関する知識が深まるとともに、どのライブラリを学ぶべきか明確になるでしょう。
Webエンジニア向けのプログラミングスクールを運営する弊社が、ライブラリについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
ライブラリとは何か?
ここでは、ライブラリとフレームワークの違いや、ライブラリの使い方について解説していきます。
ライブラリとは
ライブラリとは、よく使われる機能やコードを簡単に再利用できるようにまとめたものです。
ライブラリを利用することで1から機能を作る手間が省けるため、開発にはほぼ必ずライブラリが使用されます。
なお、ライブラリ自体は「部品」であり、単体では機能しないのが特徴です。
言語ごとに使えるライブラリが異なったり、いくつかの種類に分けられたりするため、後ほど詳しく解説していきます。
フレームワークとの違い
フレームワークとの違いは以下の通りです。
- ライブラリ:頻繁に使われる機能やコードをまとめたもの。自分で作成したプログラムに部分的に活用する。
- フレームワーク:プログラム開発に必要な機能をまとめた枠組み。コードを修正したり、追加したりできる。
開発に必要な機能やコードをまとめたものとしては同じですが、フレームワークはそれ自体が「枠組み」ですので直接手を加えることが可能です。
ある程度完成したものに手を加えて自分好みに修正、改良できるといったイメージを持つとよいでしょう。
ライブラリの使い方
ここでは、ライブラリの使い方をいくつかご紹介していきます。
Pythonの標準ライブラリ「datetime」を使って、現在の日付や時刻を取得する場合は以下のように記述します。
import datetime
#現在の日付
date1 = datetime.date.today()
print(date1)
#現在の日付と日時
date2 = datetime.datetime.now()
print(date2)
実行結果は以下の通りです。
2023-11-82023-11-8 00:52:23.918731
このように、取得した日付型変数にtoday()・now()を指定することで、現在の日付や時刻を取得することができます。
同じくPythonのライブラリである「Tkinter」を使って、GUIアプリを作成する場合は以下のように記述します。
import tkinter as tk
#ウィンドウを作成
root = tk.Tk()
#ウィンドウサイズを指定
root.geometry(“640×480”)
#ウィンドウタイトルを指定
root.title(‘入力フォーム’)
#ウィンドウ表示継続
root.mainloop()
これを実行すると、入力フォームと書かれたウィンドウが指定したサイズで生成されます。
ライブラリを利用するメリット
ライブラリを利用するメリットは以下の3つです。
- 開発の効率化
- バグが発生しにくい
- 動作を軽くできる
開発の効率化
ライブラリを使うことで、1からコーディングする手間が省けるため、サクサクと開発を進めることができます。
例えば、ログイン機能の開発を行う際には、以下のようなライブラリを使用することが可能です。
- フォームを表示する
- ユーザーの入力したデータを受け取る
- データベースから指定ユーザーの情報を読む
- 指定の画面へ移動する
これらを一つひとつコーディングすることもできますが、出来上がったものを追加した方が圧倒的に早いですよね。
また、既存のライブラリを使うことで、プログラム動作確認においてもテストの省略が可能となります。
そのため、無駄な工数がかからず、効率的に開発を行うことができます。
バグが発生しにくい
プログラム開発においてバグはつきものですが、ライブラリを使用することで高い品質を保つことができます。
というのも、既存のライブラリで多くのユーザーに使われているものは、頻繁にアップデートが行われているからです。
そのため、自分でコーディングしたものよりも圧倒的にバグが発生する可能性が低いのです。
動作を軽くできる
ライブラリを使うことで処理能力が上がるため、動作を軽くすることも可能です。
プログラムを組んでいくと、徐々に処理が複雑になり、時間がかかるケースが多々あります。
コーディング量が増えるにつれてファイルサイズも大きくなれば、徐々に動作が遅くなってしまいます。
しかし、一般的によく使われる動的ライブラリは外に保存されているものなので、使用してもプログラム内には保存されず、ファイルを圧迫することはありません。
むしろ、サイズを最小限に抑えてくれるため、使用することで大幅な速度アップに繋がります。
ライブラリを利用するデメリット
ライブラリを利用するデメリットは以下の2つです。
- 各言語のライブラリに関する学習が必要
- セキュリティリスクがある
各言語のライブラリに関する学習が必要
プログラミング言語によって使えるライブラリが異なるため、それぞれ対応しているライブラリに関する学習が必要となります。
例えば、Pythonは機械学習のデータ分析関連のライブラリが豊富ですが、他の言語では使用できないことがほとんどです。
同じく機械学習に特化しているR言語やJavaでも、同じものが使えるわけではありません。
このように複数の言語を扱うとなると、おのずとライブラリの学習量が多くなるため、学習コストがかかる点がデメリットです。
ただし、知識や技術として定着することはメリットですので決して悪いことではありません。
セキュリティリスクがある
既存のライブラリの中には個人が作成したものも含まれるため、品質に問題があることもあります。
- バグが含まれている
- セキュリティ上に脆弱性がある
このようなケースに要注意です。
バグや脆弱性への対応が行われているかどうか、定期的なメンテナンスが行われているかどうかなど、利用する前に更新履歴をチェックすることが大切です。
ライブラリの種類
ライブラリは利用形態によって、以下の3種類に分けられます。
- 動的ライブラリ
- 静的ライブラリ
- 共有ライブラリ
動的ライブラリ
動的ライブラリとは、プログラムの実行中に外部から読み込んで使用するライブラリです。
特徴は以下の通りです。
- プログラムとライブラリが別々のファイルに分かれている
- 利用時にリンクさせることが可能
- ファイルサイズを最小限に抑えられる
動的ライブラリは、外部ファイルから必要な時にのみ読み込むことができるので、プログラムのサイズが大きくならずに済みます。
そのため、処理スピードを重視したい時におすすめです。
静的ライブラリ
静的ライブラリとは、プログラム構築時に組み込まれるライブラリです。
特徴は以下の通りです。
- プログラムとライブラリは一つのファイルである
- 外部にライブラリを保存する必要がない
- プログラムのサイズが大きくなる
動的ライブラリとは違い、プログラムと一つのファイルに保存されるため、コードの記述量が多くなります。
ただ、外部に別のファイルを作る手間が省けるので、手軽に様々な機能を実行可能です。
共有ライブラリ
共有ライブラリとは、どのプログラムにも対応できる動的ライブラリで、主にLinuxやUNIXで使用されます。
特徴は以下の通りです。
- メモリ上に保有される
- プログラム実行時にメモリに展開される
共有ライブラリは、動的ライブラリとして提供されますが、共有ライブラリ=動的ライブラリという訳ではありません。
というのも、動的ライブラリの中には特定のプログラムでしか使えないものがあるからです。
イメージとしては、汎用性の高い動的ライブラリが共有ライブラリと覚えておくとよいでしょう。
また、共有ライブラリとは反対に、単一のプログラムから読み出されるライブラリを専用ライブラリと言います。
主要プログラミング言語の代表的なライブラリ
ここでは、Python・Java・JavaScriptの代表的なライブラリについて解説していきます。
Pythonのライブラリ
Pythonでよく利用されるライブラリは以下の通りです。
- random:乱数生成の機能を提供するライブラリ。何かをランダムに表示させる際に使用される。
- datetime:日付や時間を扱う際に利用されるライブラリ。現在や過去、未来の日時を表示させることが可能。
- tkinter:デスクトップアプリ開発のためのライブラリ。UIの部品、イベント処理のための機構などが備わっている。
- math:数学的な計算を行うためのライブラリ。円周率や絶対率、指数関数や対数関数といった特殊な関数を使う複雑な計算処理に役立つ。
- sys:Pythonプログラムの実行を停止するなど、OSの機能を使う時に利用するライブラリ。
Pythonのライブラリは、最初から組み込まれている「標準ライブラリ」と、ライブラリ管理ソフトでインストールする「外部ライブラリ」に分けられます。
上記で解説したライブラリは全て標準ライブラリですので、Pythonインストール時から利用可能です。
Javaのライブラリ
Javaでよく利用されるライブラリは以下の通りです。
- JavaFX:GUIアプリケーションを作成する際に便利なライブラリ。Webデザインのような感覚で、UIコンポーネントの配置やデザインのカスタマイズが可能。
- OpenCV:オープンソースとして公開されているライブラリ。画像や動画に関する処理、画像解析、機械学習を行うことが可能。
- OpenCSV:CSVを取り扱うことができるライブラリ。CSVを一行ずつ読み込んで処理することが可能。
- JavaParser:ソースコードを構文解析・生成するライブラリ。コードを抽象構文木に変換することが可能。
- Swing:Javaの標準ライブラリに含まれるGUIキット。文字やボタンを簡単に配置することができる上に、簡単なゲームも作成可能。
JavaもPythonと同様に、標準ライブラリと外部ライブラリに分けられます。
画像処理やグラフ描画、CSVファイルの読み書きなどができる外部ライブラリが豊富にあるため、適宜インストールして利用する形となります。
JavaScriptのライブラリ
JavaScriptでよく利用されるライブラリは以下の通りです。
- jQuery:軽量・高速・豊富な機能を持つ歴史あるライブラリ。JavaScriptでできることをよりシンプルな方法で実現できるように設計されている。数十行にわたるコードが必要だった処理もわずか数行で実行可能。
- React:WebアプリのUI構築に特化したライブラリ。UI・UXの設計と同様のイメージでWebサイト上のボタンやテキストなどを組み立てることが可能。
- Node.js:非同期型の処理が可能なサーバー通信専用のライブラリ。Webページ制作に使われるJavaScriptをサーバー側で動作させることが可能。少ないメモリ消費で大量のアクセスをさばくことも可能。
- D3.js:データを元にWeb上で動的コンテンツを描画するライブラリ。SVGやHTML/CSSを利用して、フレームワークに縛られずに最新ブラウザで実装可能。
- Lodash:数値・配列・文字列・オブジェクトなどを簡単に扱えるようにするライブラリ。保守性が高く、簡潔的なJavaScriptコードを書くことが可能。
JavaScriptは汎用性が高い言語ですので、フロントエンドとバックエンドの両方に利用されます。
フロントエンドで利用する場合はUIに関する機能を持ったライブラリを、バックエンドで利用する場合はサーバーとの通信を行う機能を持ったライブラリを取捨選択して使用します。
まとめ
今回は、プログラミングのライブラリについて解説しました。
ライブラリを利用することで、自分で1から作る手間が省けるため、簡単かつスムーズに開発することが可能です。
ライブラリを使わずともプログラムは書けますが、現場では必ずといっていいほど頻繁に使用されます。
そのため、プログラミング言語の習得に合わせて学習していくのがおすすめです。
- ライブラリは、よく使われる機能やコードを簡単に再利用できるようにまとめたものである
- ライブラリは、「開発の効率化・バグが発生しにくい・動作を軽くできる」というメリットがあるため、現場でよく使用される
- 個人で作られたライブラリはセキュリティ上のリスクがあるため、利用する際には注意が必要
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