「GO言語でできることはなに?」
「GO言語の特徴や開発事例が知りたい!」
このように、GO言語についてよく知らないという方も多いのではないでしょうか?
GO言語は、2009年にリリースされたプログラミング言語で比較的新しいため、名前だけしか聞いたことがないという方もいらっしゃるでしょう。
プログラミング言語は200種類以上ありますが、GO言語は近年急激に人気が高まっています。
将来性の高い言語でもあるので、どのような言語なのか具体的に知っておくことが重要です。
そこで今回は、以下の内容について解説していきます。
- GO言語とは
- GO言語の特徴
- GO言語でできること
- GO言語のデメリット
- GO言語で開発されたサービス
本記事を読み終えれば、GO言語について深く理解することができるため、学ぶべきかどうかもハッキリするでしょう。
開発会社とWebエンジニア向けのプログラミングスクールを運営する弊社が、GO言語について詳しく解説していくため、ぜひ参考にしてください。
GO言語とは
GO言語は、2009年にGoogleによって開発されたプログラミング言語で、「シンプルで誰が読んでも分かりやすいプログラム」であることが特徴です。
正式名称は「GO」ですが、呼びにくさから「GO言語」または「Golang」と呼ばれています。
また、GO言語の開発には、ITエンジニア業界の中でも世界的に有名な3人が関わっています。
- UNIXやC言語を開発したコンピューター科学者「ケン・トンプソン氏」
- Java用コンパイラーHotSpotなどの開発に携わったコンピューター科学者「ロバート・グリースマ氏」
- Plan 9やInfernoなどのOS開発に携わったソフトウェア工学者「ロブ・パイク氏」
なぜ、分かりやすい言語を開発する必要があったかというと、その当時、システムが複雑化・大規模化していたことで、より開発しやすい言語の需要が高まっていたからです。
コンピューターの処理速度向上やマルチプロセッサの登場といったIT環境の変化に対応した結果、実行速度が早く、安全性の高いGO言語が開発されました。
GO言語の特徴
GO言語の特徴は以下の通りです。
- 構文がシンプル
- 処理が速い
- 並行処理が可能
- 安全性が高い
ここでは、具体的にどのようなメリットがあるかも解説していきます。
構文がシンプル
GO言語は記述量が少なく、コードの書き方も決まっているため、シンプルで分かりやすいのが特徴です。
例えば、繰り返し構文を書く場合、while文やdo/while文が使われますが、GO言語の場合はfor文しか使いません。
エンジニアごとに記述のばらつきがあると読みにくいですが、コードの統一化を図ることで、可読性の高いプログラムとなります。
また、構文がシンプルで覚えることが少ないため、他の言語と比べて学習しやすく、初心者でも簡単なアプリケーションであれば開発できる点もメリットです。
処理が速い
GO言語はシンプルなだけでなく、処理が速い点も特徴です。
高速処理が可能な理由としては以下の2つが挙げられます。
- コンパイラ言語だから
- 仮想マシンを介さずに処理できるから
PHPやPythonなどのインタプリタ言語は、プログラムを一行ずつ機械語に変換しながら実行しますが、コンパイラ言語は事前に機械語に一括変換し、まとめて実行を行います。
また、同じくコンパイラ言語のJavaやC#は、仮想マシンを介して処理を実行する、いわゆる2段階方式をとっていますが、GO言語の場合は直接機械語に変換することが可能です。
このように、GO言語は効率的に機械語への変換が可能なため、高速処理が実現でき、結果的にメモリー消費の節約や工数削減というメリットにも繋がります。
並行処理が可能
GO言語は、並行処理と並列処理の両方を得意とするプログラミング言語です。
処理方法の違いは以下の通りです。
- 並行処理:1つのコアで複数のタスクを時間単位ごとに切り替えて進める
- 並列処理:複数のコアで複数のタスクを同時に進める
GO言語は、この2つの処理をうまく使い分けることで、複数のCPUを持つコンピューターの高いパフォーマンスを引き出しています。
安全性が高い
GO言語はメモリの安全性が高いのも特徴です。
- ガベージコレクション(メモリ上の不要なデータを自動的に削除する機能)が備わっている
- エラーが発生しやすいポインタ演算の機能がない
- コードの書き方がシンプルなため開発者によるミスが少ない
C言語ではメモリリークというプログラムエラーが問題になっていましたが、GO言語には、不要なメモリを開放する機能が予め備わっているため、エラーが起きにくい仕様となっています。
バグやエラーを放っておくと、システムの不安定性やパフォーマンス低下に繋がるため、安全性が高いことは大きなメリットと言えます。
GO言語でできること
GO言語は汎用性が高いため、様々な開発が可能です。
GO言語でできることは以下の通りです。
- Webサービス開発やWebサーバー構築
- IoTやドローンの開発
- スマホ向けアプリ開発
- CLIアプリの開発
- API開発
Webサービス開発やWebサーバー構築
GO言語は、Webサービス開発やWebサーバー構築に向いています。
その理由は以下の通りです。
- クロスコンパイルが容易なため、開発環境とは異なる環境でも動作する
- Net/httpパッケージを用意すれば、簡単にWebサーバーの構築が可能
- コードがシンプルなため、実装後に新しい機能を追加しやすい
- メモリにかかる負担が少ない
- 並行処理が可能
他の言語では、サーバー構築にApacheなどのWebサーバーソフトが必要ですが、GO言語の場合は、Net/httpパッケージさえあれば簡単に構築することができます。
また、マルチプラットフォーム対応のクロスコンパイル機能のおかげで、WindowsやMacOSなど、開発環境とは異なる環境でも動作可能です。
このように、Webサーバーの構築からWebサービスの開発まで全てGO言語で行うことができるため、多くの企業で導入されています。
IoTやドローンの開発
GO言語は、Webに使われる印象が強いですが、IoT開発やドローン開発にも向いています。
その理由は以下の通りです。
- GO言語には、Gobotというロボットやドローン開発向けのフレームワークがある
- 並行処理が得意で汎用性も高い
Gobotは、35種類ものプラットフォームに対応するロボティクス・ドローン・IoT開発のフレームワークで、利用すると以下のようなことが可能です。
- ロボットやドローンを操作するコントローラーなどの制御システム開発
- 外出先からの遠隔操作
- センサーが感知した情報を他のデバイスに伝える
このように、Gobotには、ネットワーク上の複数のデバイスで相互に通信する機能があるため、IoT開発やドローン開発に適しています。
スマホ向けアプリ開発
GO言語は、Webだけでなくスマホ向けのアプリ開発も可能です。
スマホ向けのアプリ開発に向いている理由は、以下の通りです。
- 「Go mobile」や「Go Cloud」などの制作ツールを使用することで、Web用とスマホ用のコードを書き換える必要がない
- AndroidとiOSの両方に対応している
- エラーの検出性が高いため、修正しやすい
アプリ開発では、Web用とスマホ用、AndroidとiOSといったように状況に合わせてコードを書き換える必要がありますが、GO言語ではそういった手間が一切かからず、手軽に開発できる点がメリットです。
加えて、エラーも修正しやすいため、長期的に保守・運用を行っていくのにも適しています。
CLIアプリの開発
GO言語は、CLIアプリの開発にも向いています。
CLIとは、コマンドを入力して画面操作を行うインターフェースのこと。例としては、MacのターミナルやWindowsのコマンドプロントなどが挙げられる。
アプリケーションの中にはCLIによって動作させるものがありますが、既存の言語では実行環境との調整が必要でした。
しかし、GO言語の場合はクロスコンパイル機能があるため、実行環境のOSやバージョン、プラットフォームの依存関係などを気にする必要がなくなります。
CLIは、コンピューターやソフトウェアを動かす際の根幹の部分ですので、様々な状況に対応できるGO言語は適任と言えます。
API開発
GO言語は、API(Application Programming Interface)開発にも適しています。
APIとは、アプリやソフトウェアの機能の一部を外部と共有できるようにするインターフェースのこと。サイト上でマップを表示したい時は、GooglemapのAPIを使用すれば一から作ることなくマップ表示が可能。
API開発に向いている理由は以下の通りです。
- 実行環境に依存しない
- 処理速度が速い
- コードがシンプルで読みやすい
- 並列処理が可能
同時アクセスが起きやすいAPIの場合はGO言語の並列処理が活躍しますし、メンテナンスや長期作業を行うAPI開発では、コードのシンプルさが活かされます。
このように、GO言語はAPI開発と相性が良いため、開発現場で使用されることが多いです。
GO言語のデメリット
GO言語はメリットが多いですが、いくつかデメリットも存在します。
GO言語のデメリットは以下の通りです。
- 継承がない
- Genericsに関する情報が少ない
- 例外処理がない
継承がない
GO言語には、オブジェクト指向の概念である「継承」がないため、既存のクラスの性質を別のクラスに受け継ぐことができないのです。
どのような影響があるかと言うと、以下のようなデメリットがあります。
- 既存コードの使いまわしがしにくい
- コードが修正しにくい
アプリ開発において、一度システムを作って終わりということはありえません。
クライアントから機能の追加を頼まれることもありますし、バグの改修作業をすることも多々あります。
そんな時に継承が使えないと、少々手間がかかることもあるのです。
GO言語は、構造体を利用してオブジェクト指向のようなプログラムを作ることはできますが、Googleからオブジェクト指向だと明言されている訳ではありません。
そのため、オブジェクト指向の考え方が通用しないこともある点に注意が必要です。
Genericsに関する情報が少ない
GO言語では、コードをシンプルにするために、最近までGenericsが実装されていませんでした。
なおGenericsとは、同じコードで様々な種類のデータを処理できるようにする機能のことです。
2023年3月のアップデートでGenericsが実装されましたが、まだ実装して間もないため、実用的な情報が少ない状態です。
大規模な機能が追加された後は新しいエラーが見つかりやすいため、当面の間は情報収集を徹底するとともに、慎重に扱う必要があります。
例外処理がない
例外処理とは、通常の処理では想定していない事態に対して、新たにコードを記述することです。
GO言語には例外処理がないため、決まった型以外のコードを処理することができません。
他の言語では、例外が発生した際に例外処理を記載しますが、GO言語の場合は、「例外発生時に呼び出し元が処理する」という考え方をとっているため、関数を抜けて呼び出し元に戻すようなことができないのです。
ただ、予期せぬ動作やエラーが発生することもあり得ることから、そもそも例外処理を書かないことを理想としているエンジニアもいます。
そのため、例外処理がないことは、一概にデメリットと言い切れないのです。
GO言語で開発されたサービス
GO言語で開発されたサービスは以下の通りです。
- AWA
- クックパッド
- YouTube
- ぐるなび
- メルカリ
- Gunosy
- Wantedly
- American Express
- RIOTGAMES
- Dropbox
- Bitly
GO言語で開発されたサービスは、国内・国外ともに多くあります。
GO言語を学ぶメリットや詳しい情報についてはこちらにまとめていますので、興味がある方はぜひご覧ください。
まとめ
今回は、GO言語の特徴やできることを中心に、デメリットや開発事例についても解説しました。
GO言語は比較的新しい言語ですが、汎用性が高いことから近年では人気が高くなっています。
Genericsも実装されましたし、今後のアップデートも期待されるため、最新情報をチェックしておくとよいでしょう。
- GO言語は、2009年にGoogleによって開発された言語で、「シンプルで誰が読んでも分かりやすい」というのが特徴
- GO言語は汎用性が高いため、Webサービス開発やWebサーバー構築、IoT開発、スマホアプリ開発、CLIアプリ開発、API開発が可能である
- オブジェクト指向ではないため継承がないことや、Genericsに関する情報が少ないことなどがデメリットである
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