「SESは闇が深いからやめとけ!と言われるのはなぜ?」
「とりあえずSESに行け!と言われる理由は?」
世間ではSES企業に対しての否定的な意見もあるため、目指すのを悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
SESはブラック企業が多いと言われていたり、「とりあえずはSESに就職しとけ」という意見もあったりするため、なにが正解かわからないですよね。
そこで今回の記事では、以下の内容について解説していくので、業務未経験者の方は是非就職・転職の際の参考にしてください。
- SESとは
- SESは闇が深いからやめとけというのは本当か?
- SESのメリット
- SESに向いている人の特徴
- 優良なホワイトSES企業を見つけるコツ
- 未経験者はSESにいくべき?
開発会社を経営すると同時に、Web系エンジニア向けのプログラミングスクール「RUNTEQ」を運営する弊社が、SES企業について徹底解説しますので是非最後までご覧ください。
SES企業とは
ここでは、SES企業について以下の内容を解説していきます。
- SESの仕組み
- SESの年収の目安
- SESと自社開発の違い
- SESと受託開発の違い
実際にSESで働くエンジニアでも理解していない人がいるため、未経験者の方はこの機会に確認しておきましょう。
そもそもSESとは何?
SESは「System Engineering Service」の略で、クライアント企業にエンジニアを派遣して労働力を提供するサービスです。
例えば、企業がシステム開発を行う際にはITエンジニアが必要ですが、プロジェクトによっては人材不足になることがあります。
そんな時に、SES企業と契約してエンジニアを確保することで、滞りなく開発を進めることができます。
一見便利な仕組みとなっていますが、契約内容とは異なる働き方が問題視されることがあるため、エンジニアの方は契約内容について細部まで把握しておくことが重要です。
SESの年収の目安
SES企業で働くエンジニアの年収は、案件や経験年数によって大きく変わるものの、平均で約400万円と言われております。
なお、経験年数による違いは以下の通りです。
- 1年目:約300万円
- 2〜3年目:330万円〜350万円
- 4〜7年目:350万円〜400万円
- 8年目〜:400万円〜480万円
厚生労働省の調査によると、SE(システムエンジニア)の平均年収は男性で540万円、女性で460万円となっているため、SES企業のエンジニアの平均年収はやや低い傾向にあると言えます。
SESと自社開発の違い
SESと自社開発の違いは以下の通りです。
- 業務:SESはクライアントワーク、自社開発は自社で完結
- 報酬:SESは低めだが安定、自社開発は高めだが成果や業績に左右される
SESは自社のエンジニアをクライアントの職場へ派遣するという形がメインですが、自社開発の場合は自社でサービスの企画から開発までを行います。
SESと受託開発の違い
SESと受託開発の違いは以下の通りです。
- 成果物:SESは必要なし、受託開発は必要あり
- 報酬:SESは労働に対して発生、受託開発は成果に対して発生
- 瑕疵担保責任:SESはなし、受託開発はあり
成果物の質などが契約内容に反するまたは満たされない場合に、請負人が発注者に対してとる責任のこと。
※2020年4月1日の改正民法の施行により正式名称が契約不適合責任に変更された
SESは技術力・労働力を提供する契約ですが、受託開発の場合はシステム開発における一連の業務を請け負う形になるので成果報酬型になるのが特徴です。
受託開発の上流工程は、システムの要件定義から設計・開発・運用・コンサルティングなど、幅広く業務を行うため、求められるスキルも高くなっています。
「SES企業は闇が深いからやめとけ」と言われる理由
GoogleなどでSESについて検索すると、「やめとけ」「闇が深い」などと否定的な言葉が出てきますが、いったいなぜでしょうか?
SES契約を通してITエンジニアを雇用する企業が多い中、こういった言葉が多くあるのには以下の8つの理由が挙げられます。
- 給料が安い
- 指揮命令権の所在があやふやになりやすい
- 人間関係の変化が多い
- スキルアップしにくい
- 下流工程の仕事が多くサービスが見えない
- 帰属意識が低下しやすい
- 残業が発生しやすい
- 常駐先に当たりハズレが大きい
SESはどちらかというと、このようなデメリットが目立つ働き方でもあるため、就職を考えている人は把握しておくことをおすすめします。
給料が安い
SES企業で働く場合、給料が低くくなりやすいのがデメリットの一つで、理由としては以下の3つが挙げられます。
- 下請け構造になっている
- インセンティブが発生しない
- 仕事が選べない
多くのSES企業がSIer企業の下請けになっているため、SIerに比べて給料が低くくなる傾向があります。
とくに多重請負構造の場合、下流工程を担う企業ほど中間マージンなどのコストがかかり、エンジニアに支払われる報酬が少なくなります。
A社がB社に仕事を依頼した際に、B社からC社へ、C社からD社へ、という形でどんどん下請けの階層が深くなっていく構造。
また、SES契約は労働時間に対して報酬が支払われるため、成果物の質が良くてもインセンティブが発生しないのが特徴です。
若手育成のための低難易度のプロジェクトも多く、スキルが低いエンジニアの場合は仕事を選ぶことも難しくなっています。
こうした闇を抱えていることが、「やめとけ」と言われてしまう理由の一つです。
指揮命令権の所在があやふやになりやすい
指揮命令権の所在があやふやになりやすいところも、「SESは闇が深い」と言われてしまう原因です。
SES契約の内容にのっとると指揮命令権はベンダー側にありますが、ときにクライアント側が指示を出しているケースも見受けられます。
もちろんこれは違反行為にあたりますが、証拠として残りづらいため、あやふやにされてしまうのが問題です。
もはやグレーだという認識のもと働いている人も多いため、指示を出されることが普通になり、結果的にネガティブな要因の一つとなってしまいます。
SES企業で働く以上、契約内容にそぐわない対応をせまられる可能性は否定できないため、少なからず覚悟する必要があると言えるでしょう。
人間関係の変化が多い
案件や契約ごとに職場環境が変わるため、人間関係の変化がストレスになることもあります。
長い人付き合いが苦手な方には問題ないかもしれませんが、人見知りだったり、新たな環境に馴染むまで時間がかかるような方には向いていない働き方と言えます。
「やめとけ」と言われる一番の理由ではないですが、たびたび職場環境が変化する可能性があることは覚えておくとよいでしょう。
スキルアップしにくい
SES企業で働く場合、システム開発の下流工程を担うことがほとんどなため、スキルアップしにくいのが特徴です。
未経験の方の中で、「どんどん新しいことに挑戦していきたい」と考えている方も多いと思いますが、SES企業ではどちらかというと安定した技術を求める傾向にあるため、新しい技術を取り入れていきたい方には少々物足りない可能性があります。
時には開発経験が積めない案件をあてがわれてしまうこともあるため、「案件ガチャ」と言われるほどです。
案件ガチャについては、『SESの案件ガチャを抜け出す方法』で解説しています。
下流工程の仕事が多くサービスが見えない
下流工程の作業が多いためサービスの全体像が見えづらく、やりがいを感じづらいのも、SESの闇の部分と言えます。
SES企業に仕事が依頼される流れとしては、以下のような順番になります。
- 大手SIerがプロジェクトを受注し、業務を細分化して中堅企業に割り振る
- 中堅企業がさらに細分化し、中小企業へ業務を割り振る
- 中小企業であるSES企業が割り振られた業務を遂行する
このように多重請負構造になっていることが多いため、プロジェクトの部分的な内容しか分からないケースがほとんどです。
また、契約期間によってはプロジェクトの途中で終了になったり、担当業務が終わればシステムの完成を見ずに次の契約に移ることもあります。
エンジニアとして経験を積み、上流工程を担いたい人は、とくにやりがいを感じづらい傾向にあるため、SESはあまりおすすめされません。
帰属意識が低下しやすい
自社に対する帰属意識が低下しやすいのもSESのデメリットと言えます。
SES企業の場合、客先に常駐して働くことが多いため、定例会や面談のときしか自社に戻らないといったケースが多くあります。
そのため、自社の経営理念や方針に合わず、転職を繰り返す人も少なくありません。
会社に属して同じマインドを持った人たちと働きたい方には向いていないと言えるでしょう。
残業が発生しやすい
SESはブラックだからやめとけと言われる理由の一つに、残業が起こりやすいことが挙げられます。
SES契約は、労働時間に対して報酬が支払われるため、本来ならば時間に制約がありますが、見方を変えれば働いた時間だけ利益になるため、SES企業は労働時間が長い分だけ儲かる仕組みとなっています。
この特性を利用して契約内容をあえてあやふやにされた場合、状況に応じて残業や休日出勤が言い渡されてしまいます。
指揮命令権の所在を理解していないエンジニアを狙った違反行為も見受けられるため、こういった現象が横行すると、SESはブラックという認識が強まるでしょう。
常駐先に当たりハズレが大きい
プロジェクトや常駐先には当たりハズレがあるため、ハズレを引いてしまった人はあまり良い思いをしないでしょう。
ハズレと言っても案件が悪いというわけではなく、人間関係が劣悪であったり、参加時に既に納期が迫っていたりと「労働環境が悪い」や「合わないこと」が多々あります。
プロジェクトに配属される際は営業担当と面談がありますが、雰囲気や状況は実際に入ってみないとわかりません。
プロジェクトの進み具合によってはすぐに残業などにもなりかねないため、正直当たりかハズレか運まかせなところが懸念点です。
SES企業で働くメリット
否定的な意見が多いSESですが、いくつかメリットも存在します。
- 未経験でも正社員として採用されやすい
- 大きなプロジェクトに関わる機会がある
- 職場環境に変化がある
未経験でも正社員として採用されやすい
SES企業は未経験者でも就職しやすいのが特徴です。
経済産業省の報告によると、ITエンジニアの7割がSESやSI企業に勤務していると言われています。
SES業界は慢性的な人材不足でもあり、未経験・学歴不問で募集されることもあります。
どんな形でもいいからすぐにエンジニアとして働きたい、という方は、SES企業にメリットを感じられるでしょう。
大きなプロジェクトに関わる機会がある
SES企業で働くことで、新卒では関われないような大企業のプロジェクトに携わることが可能です。
一社員として大きなプロジェクトに関われるため、業務を通して多くのエンジニアや企業の方とつながりが持てるかもしれません。
コネクションを利用して転職活動を効率よく進めたり、将来のキャリアアップにつなげたりと人脈を広げるチャンスでもあります。
大企業の仕事に携わりたい方や人脈を広げたい方はSES企業で働くのも一つの選択肢と言えるでしょう。
職場環境に変化がある
案件や契約終了にともない働く環境が変わるのも、人によってはメリットに感じられるでしょう。
SES契約はプロジェクトの進行に関係なく、期間が過ぎれば契約も終了になるため、人間関係が固定化されないのが特徴です。
勤務先が変わるたびに新しいスタッフと関わるため、環境の変化でストレスを感じる人には向いていませんが、人付き合いが苦手な人にはマッチしていると言えます。
SESに向いている人・向いていない人の特徴
SESに向いている人の特徴としては、ズバリ「適応能力の高い人」と言えるでしょう。
定期的に変化する環境に慣れ、業務を遂行する能力が求められるため、様々な面において適応できる人が向いていると言えます。
反対に向いていない人の特徴として以下の5つが挙げられます。
- 環境の変化がストレスになる人
- スキルアップしたい人
- 稼ぎたい人
- 上流工程を担いたい人
- やりたい仕事がしたい人
未経験者が多くのことを学べる良い機会としておすすめされるSESですが、実際には開発経験を積むことが難しいため、転職時に経験が役立たないことが多いです。
「とりあえずSESに行け」と言う人もいるかもしれませんが、あまり気にせず我が道をいくのがおすすめです。
優良ホワイト企業を見分けるコツ
SES企業への就職を希望する場合は、以下のような点に注意して優良なホワイト企業を選ぶようにしてください。
- 案件選びが可能か
- 会社の評判はどうか
- 福利厚生は充実しているか
案件選びが可能か
SESにおいて最も闇だとされるのが、「どんな案件を担当することになるかわからない」という点です。
例えば、ほとんどスキルが身に付くことのない「テスター」や「ヘルプデスク」といった役割を与えられてしまうと、その期間はエンジニアとして無駄な時間を過ごすことになってしまいます。
したがって、派遣される現場についてある程度自分の意見が考慮されるかどうかは大変重要になってきます。
この点は、面接時に逆質問をしてしっかりと確認しておきましょう。
会社の評判はどうか
企業の規模にもよりますが、一定以上の規模があれば、現在働いている社員や以前働いていた社員たちの口コミを読める可能性が高くなります。
- SNS
- Google口コミ
- 企業の口コミを投稿できるサイト
こういった場所で口コミを探せる場合があるので、気になるSES企業があれば調べてみましょう。
どういった現場に派遣されることが多いか、どんな人たちが働いているか、といったことがなんとなく伝わってくるはずです。
福利厚生は充実しているか
企業に属する以上、福利厚生の充実度を意識することも大事です。
残業代がつくかどうかはもちろん、各種手当などについても調べておきましょう。
会社の公式HPで確認できることも多いです。
特に残業代についてはしっかり確認すべきです。
「みなし残業」といって、残業しようとしまいと、一定の残業代が毎月固定で支払われる形なのですが、SES業界ではみなし残業制となっている場合も多いです。
みなし残業代を超える労働はすべてサービス残業となってしまいますので、働いた分の報酬はきっちり受け取れるのかどうかの確認も怠らないでください。
SESで経験を積んでからWeb系エンジニアへ転職するのはNG
そんなことはありません。
SES企業の働き方や給料事情などをすべて理解した上で、「SESでエンジニアとしてやっていきたい!」と考えているのならば、SESへ就職するのもよいでしょう。
しかし、自社開発企業や受託開発企業でWeb系エンジニアとして働きたい場合は、最初からそういった企業への就職を目指すべきです。
「まずはSESで経験を積んでから」という考えはよろしくありません。
SESでの経験がWeb系エンジニアに活かされない理由はこちらにまとめてありますので、合わせてご覧ください。
「そうは言っても、未経験だとSES企業しか採用してくれないから・・・」と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、確かなスキルを身に付け、採用担当者をうならせるようなポートフォリオを作ることができれば、未経験であろうと、自社開発や受託開発を行っている会社への就職も充分に可能です。
未経験の状態から本気で開発企業への就職や転職を考えている場合には、弊社が運営する「RUNTEQ」のような、未経験からのエンジニア転職に強いプログラミングスクールの利用を是非ご検討ください。
まとめ
以上、「SES企業は闇が深いからやめとけ」と言われる理由を中心に解説しました。
SESはクライアント側とベンダー側の両方に需要があり、未経験者でも正社員になることができるため、最初に目指すところとして扱われやすいです。
しかし、スキルアップしにくく開発経験も積みづらいといったケースもあるため、開発企業でエンジニアとして働くための踏み台的立ち位置にはなりません。
もちろんホワイトなSES企業もあるため、どうしてもSESで働きたいという場合には、入念な下調べをしてブラックな企業ではないかどうか確認しておくようにしましょう。
- SESはクライアントにエンジニアを派遣し、特定の業務に対して労働力を提供するサービスである
- 労働時間が管理されているなどのメリットがある一方、契約に反する行為が見受けられる点でSESはブラックと言われることもある
- SESでの経験はWeb系キャリアへ活かされないため、踏み台にはならない
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