プログラミング

オブジェクト指向とは何かについてわかりやすく解説【初心者必見】

「オブジェクト指向って何のためにあるの?」
「オブジェクト指向について学ぶ必要はある?」

このように、オブジェクト指向という言葉は聞いたことがあるけれど、具体的にどのようなものかはよく知らないという方が多いのではないでしょうか?

プログラミング関連の用語にはカタカナ言葉が多く、専門用語で解説されていることも多いので、未経験者の方は理解するのに一苦労ですよね。

そこで今回は、オブジェクト指向について以下の内容を解説していきます。

  • オブジェクト指向とは何か?
  • オブジェクト指向を理解する上で欠かせない用語
  • オブジェクト指向の三大要素
  • オブジェクト指向のプログラミング言語
  • オブジェクト指向プログラミングのメリット
  • オブジェクト指向プログラミングのデメリット

本記事を読み終えれば、オブジェクト指向の大枠が理解でき、学ぶべきかどうかがハッキリするでしょう。

Webエンジニア向けのプログラミングスクールを運営する弊社が、オブジェクト指向について分かりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

オブジェクト指向とは何か?

オブジェクト指向とは、オブジェクト(モノ)と操作に分けてプログラムを組み立てていく考え方のことです。

プログラミングの考え方には、手続き型プログラミングや関数型プログラミングのようにいくつか種類がありますが、現在主流となっているのが「オブジェクト指向」になります。

言葉だけでは分かりづらいので、具体例を挙げて解説します。

例えば、テレビのリモコンを作るとなった時に必要となるのが、リモコン本体とボタン操作の2つです。

リモコン本体(オブジェクト)に電源のON・OFFやチャンネル切り替えなどの操作性を加えることで、初めてリモコンが完成します。

このように、モノと操作を分けて作り、組み立てるように開発していくのがオブジェクト指向になります。

オブジェクト指向を理解する上で欠かせない用語

オブジェクト指向を理解する上で欠かせない用語は、以下の5つです。

オブジェクト指向の理解に欠かせない用語
  1. オブジェクト
  2. クラス
  3. プロパティ
  4. メソッド
  5. インスタンス

オブジェクト

オブジェクトとは、属性(データ)とメソッド(手続き)の2つの要素を持った全ての物を指します。

属性・メソッドとは?
  • 属性(データ):そのオブジェクトの特徴や情報を表すデータのこと。リモコンで言うと、色やボタンの数などが挙げられます。
  • メソッド(手続き):データに対して記述したプログラム・指示に対する処理内容のこと。リモコンの場合、電源のON・OFF・チャンネル切り替えなどが挙げられます。

オブジェクト指向は、システムを構成する要素全てをオブジェクトとして捉えるため、私たちの世界を一つのシステムとして考えた場合、人間や動物、天気や温度などがオブジェクトとなります。

クラス

クラスとは、プログラムを作成するための設計図のことを指します。

例えば、車を作る場合は以下の要素を決める必要があります。

  • 車体の形や大きさ
  • ホイール
  • シート
  • アクセル
  • ブレーキ など

軽自動車とスポーツカーでは姿形が全く異なりますが、必要な機能はほとんど同じです。

このように、オブジェクト(モノ)を作る際に必要となる要素をまとめたものが「クラス」になります。

あらかじめまとめておくことで、複数のオブジェクトを簡単に作ることができるようになるのが特徴です。

プロパティ

プロパティは、そのオブジェクトが持っているデータのことを指します。

車を例に挙げると、以下の要素がプロパティに含まれます。

  • メーカー
  • 排気量
  • エンジン
  • ホイール など

メソッド

メソッドとは、オブジェクトが起こすアクションのことを指します。

車の場合は、以下の要素がメソッドに含まれます。

  • 前進する
  • 停止する
  • 後退する
  • 曲がる

インスタンス

インスタンスとは、クラスから作られた物のことを指します。

車の設計書である「クラス」から作られた、軽自動車・ワゴン車・スポーツカーそれぞれがインスタンスということになります。

なお、クラスからインスタンスを作ることを「インスタンス化」と言います。

オブジェクト指向の三大要素

オブジェクト指向の三大要素は、以下の3つです。

オブジェクト指向の三大要素
  1. 継承
  2. カプセル化
  3. ポリモーフィズム

継承

継承は、同じようなプログラムを一箇所にまとめてコードを再利用しやすくする仕組みのことです。

アプリ開発を進めているとデータ登録の処理など、どうしても似たような処理をするケースが出てきます。

この時に、別々のコードを書いてしまうと、仕様が変更された際に一つひとつコード修正をかけなければならなくなり、膨大な時間がかかってしまいます。

また、開発が進むと重複したコードも多くなり、見つけるのさえも難しくなります。

そこで役立つのが「継承」です。

継承を使えば、登録・削除・更新などのカテゴリーとしてコードをまとめておけるため、処理内容が確認しやすいですし、新しい機能を作る時に同じような処理を使うこともできます。

カプセル化

カプセル化は、他のプログラムからできるだけ変更できないようにする仕組みのことです。

例えば、以下のように定義されたボタンがあるとします。

  • 横幅:400px
  • 高さ:200px
  • ボタンの色:黄色
  • 文字の色:黒

この時に、横幅と高さの値を全ボタンで共通にしたい場合は、これらの値を他のプログラムから変更できないように設定して守ります。

これが「カプセル化」です。

大元のプログラムが変わることで関連する他のプログラムまで影響を受けてしまう点がオブジェクト指向の懸念点ですが、カプセル化を用いれば解決できます。

ポリモーフィズム

ポリモーフィズムとは、ある一つのメソッドの呼び出しに対して、オブジェクトごとに異なる動作をすることを表します。

例えば、動物クラスに「鳴く」というメソッドがあるとします。

そして、サブクラスには犬クラス・猫クラス・牛クラスがあり、それぞれに「鳴く」というメソッドを独自に実装します。

その結果、動物クラスの「鳴く」を実行すると、犬クラスのオブジェクトはワンワン、猫クラスはにゃーにゃー、牛クラスはモーモーと鳴きます。

このように、一つのメソッドに対して、命令を受け取ったオブジェクトごとに異なる動作ををするのがポリモーフィズムです。

オブジェクト指向のプログラミング言語

オブジェクト指向のプログラミング言語は、以下の通りです。

オブジェクト指向のプログラミング言語
  • Java:デスクトップアプリやAndroidアプリ開発に使われる
  • Ruby:Web開発に使われる
  • PHP:Web開発に使われる
  • JavaScript:Web開発に使われる
  • Swift:iOSアプリ開発で使われる
  • C++:スマホアプリ開発やゲーム開発に使われる
  • VBA:WordやExcelのマクロとして使われる
  • Python:Webアプリ開発やゲーム開発に使われる

今ではほとんどの言語がオブジェクト指向に対応していますが、中でもWeb開発やアプリ開発などを行う上記8つの言語が代表的です。

オブジェクト指向プログラミングのメリット

オブジェクト指向プログラミングのメリットは、以下の3つです。

オブジェクト指向プログラミングのメリット
  1. 分業化しやすい
  2. 効率的な開発が可能
  3. メンテナンスしやすい

分業化しやすい

オブジェクト指向は、プログラムを切り分けることができるため、分業化しやすいというメリットがあります。

全体のプログラムが連続していて区切りがない場合、複数人での開発は困難です。

しかし、オブジェクト指向であれば、モノと操作で分けて開発を進めることができます。

「あなたは◯◯の機能を、あなたは△△の機能を」というように役割分担することで共同作業が可能となります。

効率的な開発が可能

オブジェクト指向を使うことでモノとして定義することができるため、効率的な開発が可能となります。

例えば、色違いのボタンを3つ作る場合、オブジェクト指向を使用しないと、それぞれのボタンに対して3回もプログラムを作成する必要があります。

しかし、モノとして1つボタンを作れば、あとは色を変える作業だけで済むため、他の2つも簡単に作ることができます。

このように、一つのモノを使い回すことで作業時間の短縮が図れる点がメリットです。

メンテナンスしやすい

オブジェクト指向は、プログラムの管理が簡単なことからメンテナンスしやすいのもメリットです。

具体的には、以下の通りです。

  • エラーが見つけやすい
  • 仕様が変わっても簡単に対応できる

オブジェクト指向を使用していない場合、コードを読むのに時間がかかりますが、オブジェクトごとに分けられたプログラムは視認性が高いため、エラーが見つけやすく、後から変更・修正も簡単にできます。

オブジェクト指向プログラミングのデメリット

オブジェクト指向プログラミングのデメリットは、以下の2つです。

オブジェクト指向プログラミングのデメリット
  1. 設計が難しい
  2. 学習コストが高い

設計が難しい

オブジェクト指向を使えば効率的に開発できるのは間違いないですが、実は設計が非常に難しいです。

一つのモノを使い回すということはメリットでもありデメリットでもあります。

一つのミスが及ぼす影響はとてつもなく大きいため、設計が正しくできていなければ、作業効率が上がるどころか下がる可能性もあるのです。

また、複数人関わるとなれば、全員が正しく理解した上で使用しなければなりません。

したがって、オブジェクト指向を使用する際には、抜け目がないよう設計することが重要です。

学習コストが高い

オブジェクト指向は非常に便利ですが、正しく理解するには時間がかかるため学習コストが高いと言えます。

特にプログラミング初心者の方は、なかなか理解できないということもあるでしょう。

ただ、初めのうちは完全に理解しようと思わなくて大丈夫です。

実際にプログラミングを行い、知識と経験を身につけながら徐々に理解していくのが近道ですので、焦らず着実に覚えていくのがよいでしょう。

まとめ

今回は、オブジェクト指向について解説しました。

オブジェクト指向は現在主流となっている考え方であるため、ぜひとも抑えておきたいところです。

ただ、学習コストが高く、完全に理解するには時間かかるのが懸念点です。

そこで、おすすめなのがプログラミング経験を積みながら少しずつ知識として定着させていくことです。

これからプログラミング学習を始めようとしている方は、学びながらオブジェクト指向に触れられると一石二鳥ですので、ぜひチャレンジしてみてください。

今回の記事のまとめ
  • オブジェクト指向とは、オブジェクト(モノ)と操作に分けてプログラムを組み立てていく考え方のことである
  • オブジェクト指向は、「分業化・効率的な開発・メンテナンスがしやすい」というメリットがある
  • 便利な一方で、「設計が難しい・学習効率が高い」といったデメリットが目立つため、焦らず徐々に身につけていくのがおすすめ

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