「DX人材になるための具体的な方法を知りたい」
「DX人材に必要なスキルや知識は?」
企業が競争力を保つためには、常に技術の進歩に対応し、新たなビジネスモデルを探求し続ける必要があります。
その一環として現代の企業は、デジタル技術を活用してビジネスや業務を変革し、新たな価値を生み出すデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。
そのため、今後DX化に対応できる人材の需要は高まっていくと予想されています。
そこで今回の記事では、DX人材になるための道筋、そしてそれぞれの段階で必要となるスキルや資格の獲得方法を、具体的かつわかりやすく解説します。
DX人材とは
DX人材とは、DXの推進・実行に必要なスキル・マインドを持つ人材のことを指します。
DXの推進は、現代のビジネスにおいて不可欠となりつつあり、企業はこの流れに乗るために積極的な取り組みを行っているところが多いです。
そのため、DXに対応可能な人材、すなわちDX人材への需要が高まっています。
代表的なスキルとして、AIやクラウド、ビッグデータなどの新たなテクノロジーを理解し、これをビジネスに活かす能力が挙げられます。
このような背景から、DX人材は今後ますますその価値を高め、必要とされる存在となるでしょう。
DX人材の主な職種
DX人材の主な職種は以下の7つです。
- AIエンジニア
- データサイエンティスト
- テックリード
- ビジネスデザイナー
- プロダクトマネージャー
- UI/UXデザイナー
- 各種エンジニア/プログラマー
各職種の役割について、1つずつ詳しく見ていきましょう。
AIエンジニア
AIエンジニアは、AIを駆使したシステム開発のスペシャリストとして位置づけられています。
主な仕事内容としては、機械学習やディープラーニングなどの先進技術を活用し、人工知能に複雑なデータセットを分析・学習させ、より効率的かつ有用なAIを設計・構築します。
そのためには、高度なAIの専門知識とプログラミングスキルが求められるばかりでなく、数学や統計学に関する深い理解や論理的な思考能力も必須とされています。
さらに、新たな価値創造におけるリーダーとして、AIエンジニアは最新のAI動向を敏感に捉え、その知識を活用して具体的なソリューションを企画・開発することが期待されています。
これらはAIエンジニアが担う重要な業務であり、DXの実現に不可欠な役割を果たしています。
データサイエンティスト
データサイエンティストという職種は、主にデータの分析や評価を行い、その結果を元に意思決定を支援する役割を担っています。
仕事内容としては、膨大なデータから有益な情報を抽出し、それをビジネスの意思決定に生かすことで企業の価値を向上させることです。
具体的な業務としては、情報収集やデータ加工などが挙げられます。
そして、得たデータから企業の抱える課題を明確にし、それに優先順位をつけます。
このようにデータサイエンティストは、ビッグデータを活用したデータ駆動の意思決定を可能にし、ビジネス戦略の策定やプロダクトの改善に大きく貢献することができます。
テックリード
テックリードはプロジェクトの技術戦略を立案し、開発の方向性を決定するリーダーとしての役割を担っています。
また、目標の達成に向けてプロジェクトメンバーと協力し、問題や課題が発生した場合には適切な対応策を考え、プロジェクトの進捗を監視します。
さらに、メンバーの経験やスキルに合わせて適切な役割を与えることで、チーム全体としての効率を高める責任も担っています。
具体的には、AI開発プロジェクトにおいては、AI技術や機械学習の専門知識が重要となり、その知識を持つテックリードがチームを率いることで、AI開発プロジェクトの効果的な進行と技術的な品質の確保ができます。
以上のように、テックリードは技術的な観点からプロジェクトをリードし、技術戦略の策定からチームメンバーの役割分担、問題解決に至るまで幅広い役割を果たし、DXの推進における中心的存在となります。
ビジネスデザイナー
ビジネスデザイナーは、デジタルビジネスを具現化する企画を立案し、実現に向けた仕組みやプロセスを構築する役割を担っています。
具体的には、市場や競合分析を行い、ビジネスの目標や方向性を定める戦略を策定し、これを基にユーザーのニーズを理解するための調査を実施します。
そして、顧客に価値が提供できるような新しいプロダクトやサービスの開発を行うなど、ビジネス創出の最前線で活躍します。
その一連の活動を通じて、ビジネスデザイナーはAI技術を最大限に活用し、事業価値を最大化するためのビジネスモデルや戦略の設計・実装を行います。
ビジネスデザイナーは、新しいビジネスが生まれるにつれて、需要があるのかを即座に判断し、具体的な形にするために働きかけるため、組織全体のDX推進には欠かせない存在と言えるでしょう。
プロダクトマネージャー
プロダクトマネージャーは、ビジネスのゴールを達成するための製品のビジョンと戦略を策定する役割を担っています。
具体的な例として、AIを活用したチャットボットの開発プロジェクトが立ち上がった時に、プロダクトマネージャーがAI技術者、デザイナー、マーケティング担当と連携し、顧客との円滑なコミュニケーションを可能にするような製品開発を推進します。
AI人材との連携によって、ビジネスの成果を最大化し、未来の成功を築き上げることが可能となるため、プロダクトマネージャーの役割はDX推進における極めて重要な要素です。
UI/UXデザイナー
UI(User Interface)およびUX(User Experience)デザイナーは、DX人材として非常に重要な役割を担っています。
DXでは、古いシステムを新しいデジタル技術に変えることで、ビジネスを改善しようとします。
この際、新たに作られるデジタル製品やサービスの見た目や使いやすさを設計するのがUI/UXデザイナーの役割です。
ユーザーの視点で製品やサービスを評価し、それらがどのように使用され、またはどのように使用されるべきかを理解することで、ユーザー体験の改善を目指します。
つまり、ユーザーが新しいシステムをスムーズに利用でき、良い体験を得るためにはUI/UXデザイナーの役割が不可欠なのです。
各種エンジニア/プログラマー
DXのプロセスは、既存の業務プロセスやサービスをデジタル技術を用いて効率化、または新たな価値を創造することを目指します。
この目指すゴールに到達するためには、新しい技術を適切に選定し、導入する能力が求められますが、この役割を果たすのがエンジニアやプログラマーです。
例えば、顧客とのコミュニケーションをデジタル化するためには、チャットボットの導入が考えられますが、そのチャットボットを設計し、プログラムするのはエンジニアやプログラマーです。
また、ビッグデータの活用やAIの導入など、高度な技術が必要な場面でも、その技術を理解し、適切に活用することができるのも、エンジニアやプログラマーです。
したがって、エンジニアやプログラマーはDX人材として、デジタル化の実行役として欠かすことのできない存在となります。
DX人材に必要なスキルや知識
DX人材に求められる主要なスキルと知識は、次の5つを中心に考えることができます。
- IT関連の基礎知識全般
- マネジメントスキル
- DX戦略に基づいた企画力
- 最先端のデジタル技術に関する知識
- データサイエンスの知識
それぞれのスキルや知識について、1つずつ確認していきましょう。
IT関連の基礎知識全般
DX人材として活躍したいと考えているのであれば、IT関連の基礎知識は必須です。
なぜなら、ハードウェアやソフトウェア、ネットワークなどの仕組みを理解し操作するITスキルが、DX推進の必須条件となるからです。
また、DX人材として活躍するには、あらゆるIT技術やシステムを選択し、最適に組み合わせて利用する能力が求められます。
これには、IT関連の基礎知識が基盤となり、それによって最適な技術を選択し、システムを効率的に統合することが可能となります。
つまり、DX人材としての道を進む上で、IT関連の基礎知識は必須のスキルとなります。
マネジメントスキル
DX人材に必要とされるものの1つに、マネジメントスキルが挙げられます。
これは、DXの推進はしばしばプロジェクト形式で進められ、組織全体で動く必要があるからこそ、まとめる役割が必要になるからです。
そのような場面では、プロジェクト全体の予算管理や戦略策定、問題の把握と分析などを行うマネジメントスキルが不可欠となります。
より具体的な部分で言えば、DXのプロジェクトではアジャイル開発の手法が採用されることが多く、短期間で試行錯誤を通じて開発を進めることが一般的です。
これらのプロセスを効果的に導くためには、チームメンバーとの業務を円滑に進め、適切な判断を下すマネジメントスキルが求められます。
DX戦略に基づいた企画力
DXを進める際には、DX戦略に基づいた企画力が不可欠となります。
その理由は、DXの推進には企業の既存の業務や事業を変革し、新たな取り組みを立案することが頻繁に求められるためです。
具体的には、新規事業の創出や既存事業のデジタル化に関する企画を策定する際に、何を重視し、何を優先的に進めるべきか、また何を避けるべきかなど、効率的かつ効果的なDX推進を実現することが必要になります。
したがって、DX人材としての企画力は、企業全体のDX戦略を具体的な行動に移すための重要なスキルと言えるでしょう。
最先端のデジタル技術に関する知識
DX戦略を成功させるためには、最先端のデジタル技術についての理解が必要不可欠です。
現代のビジネスでは、AIやクラウド、IoTなど、最新のデジタル技術がコアとなる場面が増えており、これらの技術を理解し適用できるスキルが求められます。
例えば、AI技術は自動化や予測分析に用いられ、企業の業務効率化やビジネスの売上向上に直結します。
このようなデジタル技術を駆使することで、企業は顧客へのサービス改善やビジネスの効率化を図り、DXの本質的な目的である事業変革を進めることができます。
データサイエンスの知識
DXを成功させるためには、データサイエンスの知識が不可欠となります。
統計学や確率論などのデータ分析の基礎は、データを用いた顧客の価値向上や、ビジネスモデルの変革に直接貢献できるからです。
データに基づいた洞察は、効果的なDX戦略を策定し、ビジネスの成果を最大化する鍵となります。
膨大なデータから重要な情報を見つけ出し、それを戦略的な意思決定に生かすためには、データ分析の手法を理解していることが求められますが、これらの知識は、データサイエンスの学習を通じて得ることが可能です。
したがって、DX人材としてはデータサイエンスの知識を習得し、それをビジネスに活かす能力が必要となります。
DX人材を目指す際に役立つ資格
DX人材を目指す際に参考になる、いくつかの資格を以下に紹介します。
- プロジェクトマネージャ試験
- ITストラテジスト試験
- DX検定
- AI実装検定
- 基本情報技術者試験/応用情報技術者試験
それぞれの資格について具体的な内容を紹介していきますので、1つずつチェックしていきましょう。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ認定試験は、DX人材を目指す際に特に有用な資格です。
この認定試験は、プロジェクトマネージメントに関連した広範な知識とスキルを証明します。
DX推進の現場では、デジタル技術の活用だけでなく、プロジェクト全体の計画・調整・管理が求められるため、この資格を取得することで、その能力を証明することができます。
IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験の中でも、高難易度の試験に位置付けられ、最高ランクのレベル4であるため、合格するのはかなり難しいと言われています。
合格率はわずか15%と非常に低いですが、プロジェクトマネージャーの実務経験がある人であれば、対策がしやすいです。
ITストラテジスト試験
DX人材を目指す方々にとって、ITストラテジスト試験は、戦略的な企画・計画・推進能力の証明として大変重要です。
情報処理推進機構(IPA)主催のこの国家試験は、マネジメント、ビジネス、テクノロジー、戦略・企画の4つの領域に分かれています。
- マネジメント領域:組織運営・プロジェクトマネジメント・リスク管理等
- ビジネス領域:ビジネスモデル・業務知識等
- テクノロジー領域:情報システム・ITインフラ等
- 戦略・企画領域:IT戦略の立案・システム企画等
これらの知識が身についているかを、総合的に問われます。
試験形式は、午前試験がマークシート方式の選択問題、午後試験が記述式となっています。
ITストラテジストの資格を持つことで、IT戦略の立案やシステムの設計・運用・プロジェクトマネジメントといった高度なIT業務に従事する能力が認められ、企業におけるキャリアアップの一助となります。
また、DX推進のための戦略的な視点や技術的な視点を持つIT人材として、多くの企業から高い需要があります。
DX検定
DX検定は、デジタルトランスフォーメーションの推進に必要な知識やスキルを証明するための資格試験です。
内容としては、デジタル技術やビジネスモデルの理解、デジタル化によるビジネス変革の理解など、DXに関連する幅広い領域の知識があるかなどを幅広く出題します。
経営層や経営戦略に関与する方々だけでなく、IT部門の方々やデジタル技術に興味がある全ての方々にとって、DXに関する知識とスキルの習得を証明することができるおすすめの資格です。
AI実装検定
AI実装検定は、AI技術の基礎的な理解と、それを具体的なビジネスシーンに適用するための知識・スキルを認定する資格試験です。
AI実装検定では、AIの基本的な概念や、AIの実装に関する知識や技術について評価されます。
具体的には、AIの基本的な知識やその応用例、AIの設計・実装・運用のフロー、ディープラーニングやその他の数学的知識などが出題されます。
特に、ディープラーニングや数学的知識は、AI技術を深く理解し、適切に活用するために欠かせません。
このAI実装検定を取得することで、これらの知識を身につけたことを証明でき、自身のスキルアップにもつながります。
したがって、AI技術を積極的に取り入れるDX人材を目指す方々にとって、AI実装検定はAIの実装能力を証明し、その分野での信頼性を高めるための強力な資格であると言えるでしょう。
基本情報技術者試験/応用情報技術者試験
基本情報技術者試験(FE)および応用情報技術者試験(AP)は、日本のIT業界で最も一般的で認知度の高い資格試験です。
基本情報技術者試験は、情報技術の基礎的な知識を評価する試験です。
コンピュータシステムの基本構造、プログラミング、ネットワーク、データベースなど、幅広いITの基本知識が問われます。
この試験を通じて、DX人材として必要なITの基礎知識を身につけることができます。
一方、応用情報技術者試験は、より高度なIT知識と経験が評価される試験です。
プロジェクトマネジメントやシステム戦略、経営戦略などの知識などが問われます。
この試験を通じて、ITプロジェクトのリーダーやマネージャーとして活躍するための知識とスキルを身につけることができます。
DX人材として、これらの試験に合格することは、ITの基礎から応用までの知識を身につけ、ITをビジネスに活用する能力を持つことを証明するために重要です。
DX人材になるための方法
DX人材になるための具体的な方法は、以下の4つです。
- 書籍でDX人材についての知識を深める
- セミナーや研修に参加する
- デジタル関連の業務に従事する
- 教育機関を利用する
これらの方法は、DX人材としての知識を深め、必要なスキルを身につけるためには非常に有効です。
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
書籍でDX人材についての知識を深める
DX人材になるためには、まずは書籍を通じてDXの知識を深めることが大切です。
DXが必要とされる背景や、DX人材が備えるべきスキルについて理解を深めることで、自分がどのようにスキルアップしていけばいいかが見えてきます。
例えば「DXって具体的に何?」や「デジタル化と何が違うの?」といった基本的な疑問から、DX人材の育成方法や、企業の成長戦略など、幅広く学べる書籍を読むと良いです。
こうして得た知識は、DX人材としての信頼性を高め、自分自身の知識をさらに広げるための基盤となります。
そのためDX人材を目指すなら、まず書籍を読んでDXのことを学ぶのがおすすめです。
セミナーや研修に参加する
DX人材になるためには、セミナーや研修に積極的に参加することが必要です。
理由としては、社内外で開催される各種の研修やセミナーを通じて、DXの基礎知識を得ると同時に、最新技術に対する理解も深めることができるからです。
具体的には、対面またはオンラインで開催されるDX講習会に参加することで、実際のビジネスシーンで求められる知識やスキルを学べます。
また、DX推進をどう進めていけばいいのかを教えてくれる無料のセミナーも多く存在します。
これらの活動に参加することで、DXに対する理解をより深めることができるでしょう。
デジタル関連の業務に従事する
DX人材として活躍するためには、デジタル関連の業務に直接従事することが有効です。
すべての人がすぐに希望通りの業務に携われるわけではありませんが、デジタル化を推進するプロジェクトや業務が公募された場合は、積極的に参加することをおすすめします。
その理由は、実務経験から得られる知見やスキルは、書籍やセミナーだけでは得られない深い理解と現場感覚を身につけることができるからです。
社内でDX推進のプロジェクトが立ち上がった際に積極的に参加することで、業務を通じて実践的な知識やスキルを習得できるでしょう。
教育機関を利用する
DX人材としてのスキルを身につけるためには、教育機関の利用も検討してみてください。
プログラミングスクールなどの教育機関は、DXエンジニアの育成に特化した講座を開講しており、これを通じてDXについての基本的な知識から専門的なスキルまでを学ぶことが可能です。
具体的には、PythonやAIのような基本的なプログラミング技術を習得しつつ、DXの現場で必要とされる知識、例えばデータサイエンスの基礎なども学べます。
DX化推進の流れがきている今だからこそ、このような特化した講座も増えているため、うまく活用していくのがいいでしょう。
まとめ
今回の記事では、DX人材に必要なスキルや知識を紹介しました。
DX人材として活躍するためには、幅広い知識が必要です。
最も重要なのは、自分自身でDXについて学び、理解を深め、その知識を活用して実際の業務で成果を上げることです。
それにより、DX人材としての信頼性を高めることができ、さらにはDX推進を加速させることができるでしょう。
本記事を参考に、ぜひDX人材の道を歩んでみてください。
- DX人材に必要なスキルには、IT関連の基礎知識、マネジメントスキル、企画力、そしてデータサイエンスの知識などがある
- これらのスキルはDX戦略の成功に不可欠であり、具体的にはIT技術やシステムの選定、プロジェクトの管理、新規事業の企画、データ分析などに活用される
- 教育機関を利用すれば、未経験からでもこれらのスキルを身につけることが可能
弊社では、IT業界未経験の状態から、自社開発企業へのエンジニア転職を目指すプログラミングスクール「RUNTEQ」を運営しております。
現場で活躍できるエンジニアになりたい方は、ぜひ弊社の公式HPより無料のキャリア相談にお越しください。