Web開発は、主に「Webデザイン」「フロントエンド」「バックエンド」の3つの役割から構成されています。
どれもWeb開発には欠かせない大事な役割ですが、この記事では、中でも開発の中枢を担うといっても過言ではないほど重要なバックエンドを担当するエンジニアについて掘り下げていきます。
この記事でわかることは以下の通りです。
- バックエンドとは何か?
- バックエンドエンジニアの仕事内容や将来性
- バックエンジニアに必要なスキル
- 取得しておくべき資格
バックエンドエンジニアとは
裏側を担当し、縁の下の力持ちとしてWeb開発の根幹を支える存在であるバックエンドエンジニアがどういう存在なのか、という部分について掘り下げていきます。
バックエンドとは
バックエンドとは、サーバーサイドとも言われるもので、ユーザーの目には触れないサーバー内で動くプログラムやデータベースのことです。
そして、このWebの裏側の仕組みを担当しているエンジニアのことを、バックエンドエンジニア(サーバーサイドエンジニア)と呼びます。
Webサイトを使っている時に、会員登録やログイン、クレジットカードなどの決済処理ができるのはバックエンドエンジニアのおかげです。
仕事内容
バックエンドという名の通り、バックエンドエンジニアはユーザーにとっては何をしているのかわからない裏側を担当しています。
主な仕事内容は以下の通りです。
- サーバーとして使用するハードウェアの選定
- データベース構築
- サーバー内のシステム構築
- 実際にサービスが稼働した後の運用や保守
バックエンドエンジニアの仕事における大きな特徴は、「開発して終わりではない」という点です。
サービス運用中のセキュリティ管理や、障害発生時の緊急対応、サービスリリース後の仕様変更によるデータベースの再設計など、運用作業や保守作業にもかなりの時間を割くことになります。
バックエンドエンジニアとフロントエンドエンジニアの違い
バックエンドエンジニアとフロントエンドエンジニアの主な違いは以下の通りです。
- Web開発における担当箇所
- 使用する言語やフレームワーク
- 歴史の深さ
Webの裏側を担当するバックエンドエンジニアに対し、フロントエンドエンジニアはユーザーが実際に目にする画面系を担当し、いかにユーザーが操作しやすい画面を作るかという部分に気を配ります。
従って、双方とも必要となるスキルが異なり、使用する言語やフレームワークも全く違うものとなります。
そして一番の違いは、「職種の歴史」でしょう。
バックエンドエンジニアはWeb黎明期からある職種ですが、フロントエンドエンジニアは複雑化するフロントエンド業務に対応するために新たに誕生した職種となっています。
そのためまだフロントエンドエンジニアという職種の歴史が浅く、どこまでが職域に含まれるのかという線引きがはっきりしていません。
Webデザイナーの設計に沿ってコーディングするだけなのか、Webデザインまで任せられるのか、Webサイトを上位表示させるための知識であるSEO対策まで求められるのか、企業によって実にバラバラです。
なお、フロントエンドエンジニアの仕事内容や将来性や年収などについては、以下の記事に詳しくまとめてあります。
バックエンドでよく使われる言語やフレームワーク
バックエンドでよく使われる言語やフレームワークは以下のようなものです。
- PHP
- Laravel
- Ruby
- Ruby on Rails
- Python
- Go
なお、未経験者がバックエンドエンジニアを目指す際に身に付ける言語は「PHP」か「Ruby」の2つに絞られます。
Pythonは求人数自体が少ないですし、Goは未経験からの求人がほぼないという状況だからです。
では、PHPかRubyかで言えば、どちらを身に付けるべきなのでしょうか?
答えは、「一概にどちらとも言えない」となります。
PHPとRubyにはそれぞれ良いところがあるため、どちらを学んだ方がいいかは、個人の考え方によります。
案件数が非常に多いため就職しやすい
スタートアップ系企業に就職しやすい
多くの求人の中から、給料や勤務体系や勤務地などを選択したい場合にはPHPが向いていますし、スタートアップやベンチャーで最新の技術や流行に絶えず触れていきたいという人にはRubyが向いています。
平均年収
バックエンドエンジニアの年収については、年代ごとの平均で400万円~800万円と言われています。
非常に開きがありますが、これは、「働く地域」や「経験」や「持っているスキル」によって大幅に変動するという形となっています。
一例として、転職サイトdodaの調べによるバックエンドエンジニア(サーバーサイドエンジニア)の世代別の平均年収を掲載します。
※2020年12月時点
年代 | 平均年収 |
20代 | 384万円 |
30代 | 530万円 |
40代 | 637万円 |
50代以上 | 685万円 |
日本全体の全年代の平均年収が430万円~440万円ほどと言われていますので、30代以降は大きく上回っています。
上記はあくまで平均ですので、高いスキルを持つエンジニアならば平均を大きく超える年収も望めます。
ちなみに、私たちが運営するプログラミングスクールRUNTEQの卒業生のデータです。
業務未経験からWeb系エンジニアに転職される場合で、内定時の年収がいきなり450万円を超えている方もいらっしゃいます。
ここ1年でWeb系エンジニア(バックエンドエンジニア)の年収がどんどん上がり、底上げされてきています。
詳しい理由やデータの解説は以下のRUNTEQのYouTube動画で解説していますのでぜひご視聴ください。
将来性
「AIやIoTの発達やFirebaseの登場によって、将来的にはバックエンドエンジニアは不要になるんじゃないか?」
そんな不安をお持ちの方もいるかもしれませんが、その心配はまずありません。
まず、Iotというのは人体でいうところの「目や耳」です。
そしてAIは「脳」です。
当然のことですが、人間は目と耳と脳だけでは活動ができず、「神経」によってそれらを上手く繋ぎ合わせて機能させることで初めて活動できるのです。
その神経の役割を果たすのが、バックエンドエンジニアです。
IoTで情報を収集してサーバー内にデータだけが溜まっていっても、そのデータをどう処理するのか判断するためのエンジニアがいなければ無意味です。
AIやIoTを作るエンジニアと、バックエンドを作るエンジニアとでは作業内容がまったく違うため、サーバーやデータベースの扱いにはバックエンドエンジニアを頼るしかないのです。
スマホアプリやWebアプリケーションにおけるバックエンド開発にて、開発スピードやコスト削減が図れるプラットフォーム「Firebase」についても同様です。
Firebaseはバックエンドの中の一部を作るものに過ぎず、それを繋げるエンジニアの存在は必須なのです。
こういった事情から、バックエンドエンジニアが不要になることはありません。
また、現時点でも不足していると言われているITエンジニアですが、人材不足は今後もどんどん加速すると予測されています。
特に、Web開発の根幹を担うバックエンドエンジニアの需要は今後もますます高まっていくでしょう。
バックエンドエンジニアを目指すために取得しておくべき資格
未経験からバックエンドエンジニアを目指すために取得しておくべき資格について紹介します。
資格は、実務ではあまり役に立たないということも多いですが、エンジニアとしての基礎知識の担保になりますし、努力の証明にもなりますので、可能であれば取得しておくべきでしょう。
基本情報技術者試験
「基本」という名がついているものの決して簡単に取れる資格ではなく、ITに関する基本知識はもちろん、実践的な活用能力まで問われる国家資格です。
ITエンジニア関連の資格を取得する場合は、まず基本情報技術者試験から挑んでみるのがよいでしょう。
応用情報技術者試験
基本情報技術者試験の上位に位置付けられている国家資格です。
対象像として「高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者」となっている通り、かなり高いレベルが要求されます。
Ruby技術者認定試験
- Rubyでのシステム設計・開発・運用を行なうエンジニア
- Rubyでシステム提案を行なうコンサルタント
- Rubyを教える講師及びRubyを学ぶ学生
Ruby技術者認定試験は、上記の人を対象としたRuby言語のスキルを問う資格です。
「Silver」と「Gold」の2段階に分かれており、ともに75%以上の正答で合格となります。
サーバーサイドで使用する代表的な言語に関する資格ですので、取得価値は高いと言えるでしょう。
PHP技術者認定試験
Ruby同様、サーバーサイドでのシステム構築を行なうのによく用いられる言語であるPHPに関する資格です。
PHPは、IT業界の中でも幅広く使われている言語です。
Web業界だけでなく、SI業界も視野に入れつつ将来的な選択肢を広げておきたいと考えている人にとっては価値のある資格です。
バックエンドエンジニアのキャリアパス
エンジニアとして日々勉強してスキルを高めていくことも大事ですが、漫然と勉強・仕事をこなしていくのではなく、ただのエンジニアで終わらないために「どのようなキャリアパスを歩むのか」を決めなければなりません。
バックエンドエンジニアのキャリアパスとしては、大きく分けると以下の2つになります。
- 技術を追求し、テックリードと呼ばれる技術面のリーダーを目指す
- マネジメントを学び、プロダクトマネージャーやプロジェクトマネージャーを目指す
技術系
技術系に進む場合は、テックリードを目指すべきでしょう。
テックリードとは、プロジェクト内における技術面のリーダーのことを指し、チーム内の技術を引っ張っていくような役割を担います。
そして、テックリードの最高峰はCTO(最高技術責任者)となります。
とにかく学ぶことが好きで、日々新しい技術に触れながらスキルを高めていきたいというタイプの人はテックリード系に進むのがよいでしょう。
マネジメント系
マネジメント系に進む場合は、まず「エンジニアリングマネージャー」を目指す形となります。
その名の通り、エンジニアたちをまとめる立場です。
そしてその先にあるのがVPoEです。
VPoEとは、「Vice President of Engineering」の略称で、より多くのエンジニアたちのマネジメントを総合的に行なう立場のことです。
実際に何をやるかについては企業ごとに多少異なりますが、基本的には「エンジニアの採用・育成・評価」が主な役割となります。
未経験からWeb業界に入るためにはバックエンドエンジニア1択
以上、バックエンドエンジニアがどういった存在かについて解説しました。
前述の通り、フロントエンドエンジニアはまだ歴史の浅い職種のため、職域がどこまでなのかはっきりしていないということもあり、そもそも受け入れ先が少なく、未経験からいきなり目指すのは厳しいという現実があります。
従って、未経験の状態からWeb系エンジニアになろうとする場合は、まずバックエンドエンジニアを目指すのが最適解となります。
バックエンドエンジニアとして経験を積んだ上で、フロントエンドエンジニアへの転身といった横展開や、マネジメントやマーケティングを学んで上位の職域へのステップアップを目指すといった縦展開を図るのがよいでしょう。
なお、未経験からWeb系エンジニアとなるためのロードマップについては以下の記事にて詳しく解説していますので、是非参考にしてください。