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ChatGPTに学習させるには?プロンプト活用やファインチューニング方法を解説

「ChatGPTに学習させるための方法を知りたい」
「ChatGPTと従来のチャットボットとの違いは?」

ChatGPTというツールを知っているものの、どうやって学習させて使用するのか、また既存のチャットボットと何が違うのか、理解するのが難しいと思っている方は多いでしょう。

そのような疑問を解消するために、本記事では具体的な学習法として、プロンプトの活用方法や、ファインチューニングの手法を詳しく解説します。
さらに、ChatGPTと従来のチャットボットとの違いもお伝えします。

ChatGPTを活用していきたいと考えている方から、現役エンジニアの方まで、幅広く参考になると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

ChatGPTの仕組み

ChatGPTの仕組みは、以下の3つの要素で成り立っています。

ChatGPTの仕組み
  • アルゴリズム
  • データセット
  • 評価モデル

これらの要素によって、ChatGPTは構成されています。
具体的な内容を1つずつ確認していきましょう。

アルゴリズム

ChatGPTの基盤となっているのは、大規模言語モデル「InstructGPT」です。
InstructGPTは、インターネット上の大量のテキストデータを学習することで、まるで人間のような文章を作成することができます。

具体的な学習の仕組みとしては、何百万ものテキストを読み込み、文章の中での単語の関連性を理解します。

例えば「犬がボールを追いかける」といった文章を学習することで「犬」「ボール」「追いかける」といった単語の関係性を把握します。

次の段階である「ファインチューニング」では、特定のタスクの達成を目指した追加の学習が行われます。

人間が監督するこのプロセスを通じて、ChatGPTはより精度の高いテキスト生成能力を身につけることができるのです。

これらの学習ステップを経て、ChatGPTはユーザーが投げかけた質問や指示に対するレスポンスを生成することができます。

ただし、AIが提供する回答は、常に完全なものであることを保証するわけではないため、あくまで参考にしながら活用することが大事です。

データセット

ChatGPTの強みの1つは、その学習データの多様性から生まれています。
具体的に言えば、インターネット上のWebページから、書籍、雑誌、学術論文、ニュース記事に至るまで、さまざまな情報源からデータを集め、それらを一緒にして学習データセットを構築しています。

主要なデータソースとしては、誰でも無料で利用できるペタバイト(100万GB)単位のデータを含む「Common Crawl Corpus」や、多種多様なジャンルをカバーしている「BookCorpus」があり、これらのデータから幅広い情報を吸収しています。

例えば「各キャラクターが特定のシーンで抱く感情は何か」など、書籍の情報から感情的な要素までも学習しています。
これにより、ChatGPTはより豊かな表現力を持った人工知能となっているのです。

評価モデル

ChatGPTの特徴の1つとして、「報酬モデル(Reward Model)」と呼ばれる評価モデルを使用していることが挙げられます。
この報酬モデルは、ChatGPTが生成した文章の品質をスカラーと呼ばれる値で評価する制度で、これにより高品質なテキスト生成が実現します。

評価としては、「正確性」「倫理観」「有益性」などの要素に基づいて行われます。
「正確性」では情報が正確であるかを判断し、「倫理観」では生成された内容が人々や環境を傷つけないかを考慮します。
さらに「有益性」では、その情報がユーザーにとって有用かどうかを評価します。

これらの評価基準を通じて、ChatGPTはユーザーに対して、質の高い文章を生成し続けることができます。

ChatGPTと従来のチャットボットとの違い

ChatGPTは、従来のチャットボットと比較して、まるで人間と対話しているような自然さがあります。

その主な要因は、強大な機械学習モデルの活用と、大規模なテキストデータからの言語パターンの学習が可能であることです。

従来のチャットボットは、事前に決まったプログラム通りの対話のみ提供するといった仕組みです。
一方ChatGPTは、ユーザーからの具体的な要求や疑問に対して、自然な関連性のある反応を返すことができます。

ここまで大きな違いが出る理由としては、ChatGPTが膨大な自然言語処理データによって学習し続けたからです。
また自己学習により、ユーザーの質問を理解することで、さらにレベルの高い回答を返すことができるのです。

ChatGPTに学習させる方法

ChatGPTの学習方法は、以下の3つの手法があります。

ChatGPTの学習方法
  • プロンプトに学習データを入力
  • 独自データを学習モデルとして登録
  • ファインチューニング

これらの手法を通して、ChatGPTの性能を向上させることができます。
それぞれの方法について簡単に見ていきましょう。

プロンプトに学習データを入力

ChatGPTの学習方法には「プロンプト」を利用する手法が存在します。
プロンプトとは、ChatGPTに対して何らかの入力を提供することを指します。

この入力は一般的には質問や命令など、あるいは特定のトピックについての開始点を提供する文章などです。

たとえば「パリの観光スポットについて教えてください」という文はプロンプトとなります。
このプロンプトに対し、ChatGPTは学習データから、パリの観光スポットに関する情報を取り出し、それに基づいてユーザーに適切な応答を生成します。

しかし注意点としては、ChatGPTが各プロンプトに対して、特定のデータを学習または記憶しているわけではないということです。
ChatGPTは、大量のテキストデータを学習することで、言語のパターンや文脈を徐々に理解していくのです。

そして、この理解を基にして、与えられたプロンプトに対する適切な応答を生成します。
これによりChatGPTは、様々なテーマや文脈に対応することができます。

独自データを学習モデルとして登録

独自データを学習モデルとして登録するというChatGPTの学習方法は、自分だけが持っている特別な情報をChatGPTに教えるための方法です。

たとえば、あるレストランがChatGPTを使ってお客さんからの質問に答えるチャットボットを作りたいとします。

そのレストランは、メニュー、営業時間、予約方法など、レストラン独自の情報をChatGPTに教えるために、その情報を含むデータを用意します。
それから、そのデータをChatGPTに入力し、ChatGPTにその情報を学習させます。

すると、ChatGPTはそのレストランのメニューや営業時間などについて知識を持ち、お客さんからの具体的な質問に答えられるようになります。

しかし、ChatGPTには2021年9月までの情報のみの対応であることや、独自のデータを教えることは現状難しいと言われています。

1つの方法としては「anybot for ChatGPT」を導入することで、ChatGPTに自社データ内容を取り込むことが可能になります。
これが、独自データを学習モデルとして登録する方法です。

ファインチューニング

ファインチューニングとは、すでに訓練済みのモデルを特定のタスクに対して最適化する手法です。

これは、一般的な学習データを使用して大規模な言語モデルを初期訓練した後に、特定の目標に合わせて微調整しながら変更していくといったプロセスになります。

たとえば、ChatGPTが医療関連の質問応答を改善するといった特定の目標がある場合、医療に関連するテキストデータを使用してモデルをファインチューニングします。
これにより、その特定のタスクに対する再学習が進み、パフォーマンスが向上します。

結果的に、ChatGPTはユーザーとの対話の中で、より適切かつ有用な応答を提供することができるようになります。

ChatGPTの学習には限界がある

ChatGPTの学習には、限界があると言われています。
その主な理由は、単にモデルのパラメータを増やすことによって、生成される文章の質が無限に上がるわけではないからです。

パラメータはAIが次に何をすべきかを決定する際の選択肢の確率を推し量るためのものですが、それらを増やすだけでなく、適切に調整することも重要です。

例えば、パラメータの数を無限に増やしても、一定以上は結果の向上が見られなくなると言われており、これは「飽和」とも呼ばれる現象です。

しかし、この限界を突破する試みとして、ネットの情報だけでなく、利用者からのフィードバックも取り入れています。
多くの人との会話を通じて、より正確な文章を出せるかの実験を行っているのです。

まとめ

今回の記事では、ChatGPTの学習方法と、そのパフォーマンスを最大限に引き出すための具体的な手順を紹介しました。

それぞれの学習方法や調整により、ChatGPTはより洗練された会話を可能にすることができる優秀な人工知能だということがわかったと思います。
しかし、完全な文脈を理解することや、対応できない点など克服すべき課題もあります。

そのような課題はあるものの、ChatGPTはすでに驚異的な進歩を遂げており、今後も技術の進化によって、さらに高度な会話が可能になるのではないでしょうか。

今回の記事のまとめ
  • プロンプトへ学習データを入力することで、ChatGPTは適切かつ自然な会話文を生成することができる
  • 独自のデータを学習モデルとして登録することで、ChatGPTに特定のトピックに対する知識を教えることができる
  • ファインチューニングにより、ChatGPTのパフォーマンスを最大限に引き出し、より具体的かつ精度の高い文章を生成することも可能

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