「PHPとJavaはどっちが難しいんだろう?」
「PHPは時代遅れというけど、将来性はあるのだろうか?」
Webエンジニアを目指している方の中に、このような疑問をお持ちの方もいるかと思います。
両方とも求人数が多く需要がある言語の一つのため、未経験者はどちらから学習すべきか悩んでしまうことでしょう。
どちらの言語が自分に向いているか判断するためには、両者の違いや将来性を理解しておくことが重要なため、今回は以下の内容について解説していきます。
- PHPとJavaの特徴の違い
- PHPとJavaの将来性
- PHPとJavaに向いている人の特徴
結論、Web系エンジニアを目指すのであればPHP、とりあえず仕事ができるようになりたいのであればJavaを選ぶのがおすすめです。
それぞれにメリット・デメリットがあるので自分に合っている方を選んでみましょう。
Web系エンジニアを目指す方に向けてプログラミングスクールを運営する弊社がPHPとJavaについて解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
PHPととJavaの違いを比較
PHPはWeb系、Javaはあらゆる分野で使用される言語でおもにサーバーサイドに関わります。
サーバーサイドとは「サーバー側で動くもの」を指し、ユーザーが求めるものに対して適切な処理を行います。
では、同じサーバーサイドに関わる言語であるPHPとJavaには、どのような違いがあるのでしょうか?
ここでは、以下の内容について解説していきます。
- PHPとJavaの特徴
- 作れるものの違い
- 習得難易度の違い
- 使用事例
PHPの特徴
PHPは、1995年にラスマス・ラードフ氏によって開発されたサーバーサイドのプログラミング言語です。
開発当初はC言語で作られた小規模な言語で、個人の履歴書を公開するための簡易ツールでしたが、大手IT企業が採用したことにより現在では広く普及しています。
PHPの特徴をまとめると以下のようになります。
- おもにWeb系で使用される
- HTMLとともに記述可能
- フレームワークが充実している
- 適当に書いても動いてしまう
PHPは「Web上のやりとりを便利にする」という目的で作られており、動的なWebページを作成できるのが特徴です。
動的なWebページとは、アクセスした際の状況に応じて異なる内容が表示されるページのことで、例えば以下のようなものが挙げられます。
- 掲示板サイト
- ブログ
- ショッピングサイト
- 会員制サイト
Web上でのやりとりが得意であるため、その利点を活かしてYahooやFacebookなど大手ITサイトで使用されています。
また、現在ではスクリプト言語に進化を遂げ、WordPressを始めとしたWebアプリ開発に使用されます。
スクリプト言語とは、OSやアプリケーションソフトに必要な機能や動作を簡易的に記述できるプログラミング言語の一種です。
HTMLとの親和性も高く、PHPファイルに直接記述可能なため直感的に組み合わせることが可能です。
また、他の言語と比べて使用するフレームワークが多くあり、代表的なものでも以下の6つが挙げられます。
- Laravel
- CakePHP
- Phalcon
- FuelPHP
- Symfony
- CodeIgniter
適当に書いても動いてしまう点は良くも悪くも捉えられ、以下のようなケースも見受けられます。
- エラーに気づかず放置してしまう可能性がある
- 書き方の自由度が高いため複数人での開発では書き方がバラバラになってしまうことがある
このような懸念点があるため、扱いが難しいのも特徴です。
Javaの特徴
Javaは、C言語やC++をもとにして作られたプログラミング言語の一つです。
もともとは、双方向通信を可能とするテレビ用に開発されていた言語で、1995年にアメリカのサン・マイクロシステムズ社が発表しました。
特徴をまとめると以下のようになります。
- 大規模開発に使用される
- ライブラリーが豊富で拡張性が高い
- 実行速度が速い
始めは家電製品向けに開発されていましたが、現在では比較的大規模な開発に用いられることが多いです。
そのため、個人で使用する言語というよりは、おもにSI業界で使用されている言語となっています。
また、WindowsやMac、Linuxといった様々なOSで動作するなどライブラリーが豊富で拡張性が高いため、Webアプリケーションのみならず組み込みソフトなど多くの形態で開発できます。
PHPとは違いコンパイラ型の言語であるため、実行速度が速いというメリットもあります。
コンパイラ型言語とは、一度に全てのソースコードを翻訳してからプログラムを実行する言語のことで、逐一翻訳しながら実行するインタプリタ型言語よりも実行速度が速いのが特徴です。
「すぐに実行可能」「簡単で覚えやすい」といったスクリプト言語とは異なり実行速度が速いため、動きの速いゲームや結果がすぐに反映される加工アプリなどに利用されます。
作れるものの違い
PHPとJavaは扱いやすさや機能など、それぞれ特性があるため作れるものが異なります。
以下に実際に作られたサービスをまとめましたので、参考にしてみてください。
- Wikipedia
- ぐるなび
- ココナラ
- Slack
- WordPress
- Yahoo
- CAMPFIRE
- SAGOJO
PHPはWebに特化している言語のため、WebサービスやWebアプリの開発に使われます。
比較的軽量で容易に導入できることから小中規模のサービスに使用され、開発期間は月単位と短い傾向にあるのが特徴です。
- ATM
- Androidのアプリ
- ブルーレイ
- クレジットカード
- Gmail
Javaは、汎用性の高さからITサービス全般をカバーでき、アプリ系のみならずロボットやIoT、AIなど幅広いジャンルで利用されます。
PHPと比べて大規模開発に使用されるため、開発期間は年単位と長めになるのが特徴です。
また、Google開発に使用されている三言語である「Java・C++・Python」のひとつとしても人気があります。
難易度の違い
学習難易度として見ると、PHPよりJavaのほうが難しいのが特徴です。
PHPの場合、他言語と比べても文法が簡易的なうえに、初心者向け書籍など参考書類が豊富なため学びやすい言語となっています。
また、実際にWebアプリを作りながら進めるため、基本文法からオブジェクト指向、データベースへと学習がスムーズに進むメリットがあります。
一方Javaの場合、オブジェクト指向の考え方が複雑であるため、結果が出るまで時間がかかるケースが多いです。
しかし、理論や使い方などをじっくり学びながら進めるため、学習後のレベルはPHPより高くなります。
将来性があるのはPHPとJavaのどっち?
サーバーサイド言語であるPHPとJavaですが、将来性があるのはどちらでしょうか?
ここでは、以下の3つに分けて解説していきます。
- 求人数
- 年収
- 今後の需要
求人件数
大手転職サービスであるレバテックが2020年7月に発表した言語別正社員ITエンジニアの求人数割合は以下の通りです。
- 1位Java:34.98%
- 2位PHP:16.43%
- 3位Python:9.43%
- 4位JavaScript:9.38%
- 5位Ruby:7.42%
上記の通り、JavaとPHPには2倍以上の開きがあります。
両者で全体の50%以上を占める形となっていますが、求人数だけで見るとJavaに軍配が上がるようです。
とはいえ、昨年に引き続き同様の順位であるため、PHPもJavaも将来性は高いままと言えるでしょう。
年収
TECH Streetのプログラミング言語別年収の調査によると、2020年の平均年収は以下のようなデータとなっております。
- 20代:361万円
- 30代:467万円
- 40代:586万円
- 50代以上:547万円
- 20代:380万円
- 30代:505万円
- 40代:608万円
- 50代以上:629万円
また、レバテックには以下のように書かれています。
2021年1月時点でレバテックフリーランスに公開されているPHPの求人・案件の平均月額単価は71万円です。この単価を12ヶ月分に換算すると、税金や保険料を引く前のPHPエンジニアの平均年収は852万円となります。
〜中略〜
PHP同様に根強い人気があるJavaの求人・案件は、2021年1月時点で平均月額単価が69万円となっています。12ヶ月分に換算すると、Javaエンジニアの平均年収は828万円になり、PHPと比較して少し低くなりますが、案件数は多く高単価案件も豊富にあるので、Javaエンジニアは安定して仕事を得られる可能性も高いと言えます。
レバテックに書かれる数字はフリーランス案件がもととなっているため金額が大きくなっていますが、TECH Streetと併せてみるとそれほど変わらないのが見て分かります。
PHPに比べてJavaの方がやや高い傾向にあるため、高年収を希望する人はJavaの方が良いかもしれません。
今後の需要
PHPはWeb業界では大きなシェアを占めていますが、裏を返せば、他分野ではあまり利用されていないのが現状です。
そのため、Web業界が衰退しなければこのまま利用され続けると考えられますが、他言語による代替が起こる可能性も否定できません。
それこそ、近年ではJavaを始めとしてScala・Pythonなどの言語もWeb業界において利用され始めています。
PHPはWebに特化していますが、近年ではWeb系スタートアップ企業のアプリ開発にRuby on Railsが使用されることも増えています。
Ruby on Railsが開発されて以来、RubyもWeb系でのシェアを伸ばしているため、PHPの将来は安泰とは言い切れないでしょう。
PHPの将来性について詳しく知りたい人は、こちらにまとめてありますので併せてご覧ください。
一方、JavaはWebのみならず幅広い分野で利用されるため、需要が高い言語の一つです。
ソフトウェア品質マネジメントコンサルティング企業のQ-Successの調査サイトW3Techsの調査によると、サーバーサイドにおけるJavaのシェアは2021年1月で3.2%、2022年6月で4.1%と1年で約1%増加しています。
少しづつですがシェアを拡大しつつあるため、今後も将来性が期待されます。
PHPに向いている人の特徴
比較的難易度が低く開発生産性が高いPHPですが、実際にはどのような人に向いているのでしょうか?
PHPの学習や習得に向いている人の特徴としては、以下の3つが挙げられます。
- Web系の仕事をしたい人
- すぐに仕事につきたい人
- 地方やフリーランスとして働きたい人
Web系の仕事をしたい人
前述した通り、PHPはWeb系の開発に特化しており、求人数もJavaに次いで多いため、多くの案件からWeb系の仕事を選びたい人におすすめです。
実際には、企業のWebサイト制作やSNS、ECサイト制作でPHPが多く使用されています。
WordPressを利用する企業も近年増加傾向にあるため、Web系企業を考えるなら大きなシェアを占めるPHPを選ぶと良いでしょう。
すぐに仕事につきたい人
学習難易度やコストが低いことから、すぐに仕事につきたい人や未経験者の人にも向いています。
途中で挫折しやすいことで有名なプログラミング学習ですが、PHPはスムーズに学習が進められるかつ結果も出やすいというメリットがあります。
そのため、すぐにスキルをみにつけて働きたいという人にぴったりな言語と言えるでしょう。
「プログラミング学習が苦手で挫折したことがある」という人もWeb系エンジニアであれば未経験から目指すことも可能なのでPHPから学習してみるのも良いかもしれません。
未経験からWebエンジニアを目指したい人はこちらを参考にしてみてください。
地方やフリーランスとして働きたい人
フリーランス求人は圧倒的にPHPが多いため、地方やフリーランスで働きたいという人にもおすすめです。
Web系エンジニアはスキルや経験値さえあれば案件をこなしていけることが多いため、フリーランスとして活動しやすい職種とも言えます。
ただし、Web開発系企業のWebエンジニアはWeb制作より高いスキルが求められるため、PHPを学んでもすぐにはフリーランスになれません。
「いち早く自由な環境でWeb系の仕事をしたい」という人は、Web制作系のWebエンジニアを目指しましょう。
Javaに向いている人の特徴
PHPより習得が難しいJavaは、実際にはどのような人に向いているのでしょうか?
Javaの学習や習得に向いている人の特徴としては、以下の3つが挙げられます。
- プログラミングスキルを高めたい人
- 幅広い分野で活躍したい人
- 大きな案件に携わりたい人
プログラミングスキルを高めたい人
Javaはオブジェクト指向の考え方などじっくり学習を進めるためPHPに比べて応用力が身につきます。
そのため、単純に「プログラミングスキルを身につけたい」という人におすすめです。
ただし、汎用性が高いことから、ハードウェアやソフトウェアなどプログラミング以外の知識も必要になる可能性は高いと言えます。
- プログラミングについてしっかり学びたいけど、何がしたいかは明確になっていない
- プログラミング以外の知識についても興味がある
このような人はJavaを選んでみると良いでしょう。
幅広い分野で活躍したい人
Javaは、PHPと同様にWebアプリの開発に使用されるほか、IoTや組み込み機器、AIなどさまざまな分野で活用されます。
- Web系を始めとして色々な分野に挑戦したい
- まだ何がしたいかは明確でない
- 今後、発展した言語の学習や習得にも挑戦したい
このような人はJavaを選ぶことで進みたい道も決まるでしょう。
大きな案件に携わりたい人
Javaは大規模開発に使用されることが多いため、大きな案件に携わりたい人にもおすすめです。
また、SI業界で多く使用される言語でもあるため、SIerで働く場合は大手IT企業の案件に関わることも多々あります。
大規模案件の制作期間は年単位と長くなるのが特徴です。
「プロジェクトに長く関わりたい」「大きな案件に携わりたい」という人はJavaを学んでおくと良いでしょう。
まとめ
以上、PHPとJavaの違いや将来性について解説しました。
- PHPはWebに特化した言語で比較的習得しやすいのが特徴で、Javaは汎用性が高い反面、習得難易度が高いのが特徴
- 両者とも高い需要があるが、幅広く使用されて希少価値が高いのはJavaと言える
- Web系一択で「習得難易度や働き方」で選ぶならPHP、進む道が決まっておらず「スキルや収入の高さ」で選ぶならJavaがおすすめ
PHPとJavaにはそれぞれの良さがあり、どちらも将来性の高い言語です。
どちらを学習すべきか悩んでいる人は、「将来自分が何をしたいか」を基準に考えると良いでしょう。
弊社では、開発現場が求めるエンジニアになるためのプログラミングスクール「RUNTEQ」を運営しております。この記事を読んで少しでもWebエンジニアに興味を持った方は、ぜひ無料のキャリア相談会へ足を運んでくださいね。