「SQLとはどんな言語? 簡単に解説してほしい」
「SQLを学ぶメリットって何?」
SQLという言語に興味を持ち、具体的に何ができる言語なのか、学ぶことでどんなメリットがあるのか、といったことを知りたくなった方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、以下のようなことについて解説していきます。
- SQLとは何か?
- SQLでできること
- SQLとプログラミング言語の違い
- SQLを学ぶメリット
- SQLにおける基本用語
- SQLが使える主なデータベース
昨今ではビジネスサイドの仕事のマーケターやカスタマーサクセス、セールスの方もSQLを学び、データをそれぞれの仕事にいかしています。
「SQLとは何か?」について簡単に解説
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SQLが言語の名称であるということまでは知っていても、具体的にどんな言語なのか、何ができるのか、といったことまではよくわからないという方も多いでしょう。
そこで、SQLとはどういった言語なのかを簡単に解説しつつ、SQLの歴史やできること、プログラミング言語との違いなどについて詳しく紹介していきます。
SQLとは
SQLとは、「Structured Query Language」の略で、データベースを操作するための言語である「データベース言語」のことです。
データベース言語はいくつかあるのですが、その中でもSQLが最も普及しています。
SQLを用いることで、大量のデータが格納されているデータベースに対して、データの抽出や更新、追加、削除などを自在に行うことが可能です。
データベースはあらゆる場面で利用されるため、エンジニアの種類を問わずSQLの知識は必要となります。
データベースとは
データベースとは、構造化(決まった形式で格納)されたデータの集合体のことです。
顧客ID
|
名前
|
フリガナ
|
性別
|
年齢
|
A00001
|
伊藤雄一
|
イトウユウイチ
|
男性
|
26
|
A00002
|
佐藤健一
|
サトウケンイチ
|
男性
|
55
|
A00003
|
清水弘子
|
シミズヒロコ
|
女性
|
34
|
A00004
|
鈴木博司
|
スズキヒロシ
|
男性
|
41
|
・
・ ・ ・ |
このように、あらかじめ決められた項目や入力形式に従って登録されたデータの集まりとなっているため、データ操作が容易になります。
なお、データベースは単体で用いられることは少なく、それぞれ構造化された複数のテーブルを主キーで繋いで利用するRDB(リレーショナルデータベース)が一般的です。
例えば、顧客情報を管理するデータベースを構築する際でも、以下のような複数のテーブルが必要になってくるでしょう。
- 名前や住所や年齢といった顧客の基本情報
- 顧客のクレジットカードや銀行口座などの決済に関する情報
- 顧客が購入した物や購入回数
- 顧客からの問い合わせ回数や内容 …など
これらのテーブルすべてに、「顧客ID」のような完全にユニークとなる主キーを設置することで、自由に情報を抽出したり、目的に応じたテーブルを一時的に作成したりといったことが可能となります。
SQLの歴史
SQLの原型となるデータベース言語は「SEQUEL(シークェル)」で、1970年代にIBM社によって開発されました。
SEQUELは、世界初のRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)である「System R」を操作するための言語で、その後は以下のような変遷をたどります。
- 1976年 : SEQUELのバージョンアップに伴い「SQL」へ名称変更
- 1980年代 : 商用のRDBMSがいくつも登場するが、SQLにはまだ標準規格がなく、ベンダーごとに独自の進化を遂げていく
- 1986年 : ISOによってSQLの標準統一規格が発表される
こうして1986年に規格化された後、標準SQLは年々充実していき、今に至ります。
SQLでできること
SQLでできることは、「データベース操作全般」です。
具体的には、データベースに対して以下のようなことができます。
- データ検索
- データ追加
- データ更新
- データ削除
- テーブル作成や削除
- テーブルのプライマリーキーの設定 …など
データベースに対して、様々な操作が可能となるのがSQLです。
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SQLはプログラミング言語ではない
誤解している方も少なくありませんが、SQLはデータベース言語であり、プログラミング言語ではありません。
プログラミング言語とデータベース言語の違いとしては、主に以下の通りです。
■コンピュータを操作するための言語
■実現したい処理を順番に記述していく「手続き型言語」
■データベースのみを操作するための言語
■一方的に命令を送る⇒返ってきた結果に対して再度命令を送るといった「対話型言語」
このように、プログラミング言語とデータベース言語は、似て非なるものです。
SQLの特徴
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SQLの主な特徴としては以下の通りです。
- 初心者でも習得しやすい
- 一文で完結する
初心者でも習得しやすい
SQLはデータベースに特化した言語であり、単純な構文を入力するだけで、データの追加や削除、抽出、更新といったデータベース操作を自由に行うことができます。
そのため学習コストが低く、初心者でも習得しやすいのが特徴です。
なお、SQLを使ってのデータベース操作スキルは、エンジニア以外の人にとっても習得する価値は高いと言えます。
データベースを操作できない場合、データ管理はExcelやGoogleスプレッドシートなどに頼ることになるかと思われますが、これらはデータ量が膨大になると扱いづらいという欠点があります。
しかしRDBならば、どれだけデータ量が増えても問題ありません。
データを扱う仕事に就いているのならば、エンジニアかどうかを問わず身に付けておくと便利でしょう。
一文で完結する
基本的にSQLは、データベースに対して行いたい処理を一文のみで完結させます。
「こんなデータを一覧で表示してほしい」「特定のテーブルにこのデータを挿入してほしい」といったような命令を、一文で収めるのです。
例えば、「社員名簿」というテーブルから、「社員番号」と「姓名」と「性別」を取り出して表示したい場合には、以下のような命令文を書きます。
このSELECT文により、「社員名簿」テーブルに登録されている全社員の情報のうち、「社員番号」と「姓名」と「性別」のみが抽出され、一覧で表示されます。
SQLを学ぶメリット
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SQLを学ぶことで、以下のようなメリットを享受することができます。
- 業務効率化に役立つ
- データに関して正しい判断ができるようになる
- 人材価値が上がる
業務効率化に役立つ
SQLを覚えてデータベース操作が可能になることで、わざわざSQLを扱えるエンジニアに依頼することなく、自ら実現したい処理を行えるため、業務効率が上がります。
データの抽出や削除といった作業が必要になった際、都度依頼に行くのは手間になりますし、相手の時間も奪うことになります。
また、何度も依頼しに行くとなると、精神的負担にもなることでしょう。
そんな煩わしさから解放されるだけでなく、業務効率化にも繋がるのですから、SQL習得は大きなメリットだと言えます。
データに関して正しい判断ができるようになる
SQLを学ぶことで、データベースから業務に必要なデータを集めようとした時に、「何ができて何ができないか」ということを正しく判断できるようになることもメリットでしょう。
SQLを知らない場合、データベースに対してどんな操作でも可能に思えてしまうかもしれませんが、当然できないこともあります。
SQLを習得し、できることとできないことを把握すれば、「うちの会社のデータベース構造からいくと、この命令文で欲しい一覧データの抽出ができそうだな」といったことがわかるようになります。
人材価値が上がる
データベースエンジニアやデータサイエンティストといった職種であれば、SQLを扱えることが必須となりますが、その他のエンジニアがSQLを習得すれば人材価値を上げることができます。
また、昨今データ活用は業種を問わずあらゆる場面で行われていますので、エンジニアでない人でもSQLを身に付ける価値は高いです。
SQLのスキルがあれば、今の職場で重宝されることはもちろん、もし転職の必要が出てきた際にも有利に働くでしょう。
SQLの種類
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SQLは、主に以下の3種類の言語に大別されます。
- データ定義言語(DDL)
- データ制御言語(DCL)
- データ操作言語(DML)
データ定義言語(DDL)
データ定義言語(DDL)とは、「Data Definition Language」の略で、テーブル作成や削除、索引、権限などについての命令を出す言語です。
主なDDL文とその内容については以下の通りです。
命令
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内容
|
CREATE
|
データベースやテーブルを新規作成する。
|
DROP
|
データベースやテーブルを削除する。
|
ALTER
|
データベースやテーブルの定義を変更する。
|
TRUNCATE
|
テーブルからすべての行を削除する。
|
RENAME
|
テーブル名やテーブルの項目名を変更する。
|
データ制御言語(DCL)
データ制御言語(DCL)は、「Data Control Language」の略で、データベース内のデータをコントロールするための言語です。
主なDCL文とその内容については以下の通りです。
命令
|
内容
|
COMMIT
|
トランザクション処理を確定させる。
|
ROLLBACK
|
トランザクション処理を破棄する。
|
SAVEPOINT
|
トランザクション内に特定のセーブポイントを設定する。
|
GRANT
|
テーブルに対して処理を行う権限を付与する。
|
REVOKE
|
与えた権限をはく奪する。
|
データ操作言語(DML)
データ操作言語(DML)は、「Data Manipulation Language」の略で、データベース内のデータを変更したり、新たにデータを追加したりといった操作をするための言語です。
主なDML文とその内容については以下の通りです。
命令
|
内容
|
SELECT
|
テーブルからデータを抽出する。
|
UPDATE
|
テーブルの行を更新する。
|
DELETE
|
テーブルの行を削除する。
|
INSERT
|
テーブルに行を追加する。
|
SQLにおける基本用語
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SQLについて学ぶには、基本用語を理解しておく必要があります。
そこでこの項目では、SQLの学習・活用において頻出する用語についてわかりやすく簡潔に解説していきます。
クエリ
クエリとは、データベースに対する処理を行うための命令文のことです。
例えば、テーブルに新たなデータを追加する場合の構文は、このようになります。
この一文がクエリです。
レコード
レコードとは、テーブルに格納されている一行分のデータのことです。
単純に「レコード=行」と解釈しても問題ありません。
フィールド
フィールドとは、テーブルの列名のことです。
顧客情報テーブルならば、「顧客ID」「氏名」「フリガナ」「性別」といった項目がフィールドにあたります。
カラム
カラムとは、テーブルの列のことです。
フィールドとの違いは、フィールドが「列の名称(項目名)」であるのに対し、カラムは「列に存在するデータ」であるという点です。
主キー(プライマリーキー)
主キー(プライマリーキー)とは、テーブルに存在するデータを識別するための項目のことです。
主キーとして設定できるのは、「ユニークな項目であり、一行だけをピンポイントで特定できるもの」でなければいけません。
重複する可能性のあるものは主キーとして利用できないのです。
例えば、世の中には同姓同名の人がいることから名前を主キーにはできませんし、共同生活を送っている人もいることから住所も主キーには適しません。
主キーとなる適切な項目があることで、複数のテーブルから必要なデータだけを抽出して結合する、といったことが可能となります。
SQLが使える主なデータベース
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SQLが使えるデータベースはたくさん存在しますが、特に利用頻度の高いデータベースとしては以下のようなものがあります。
- MySQL
- PostgreSQL
- Oracle Database
- Microsoft SQL Server
- Maria DB
MySQL
MySQL(マイエスキューエル)は、世界で最も利用されているデータベースで、あのWordPressでもMySQLが採用されています。
大量データの高速処理が可能なことはもちろん、利便性の高い機能が多く搭載されているため、WordPressだけでなく、Yahoo!やYouTube、Facebookなど、MySQLが採用されている有名サービスやシステムは数えきれないほど存在します。
特にPHPとの相性が良く、PHPを用いた開発には第一選択肢に挙がるデータベースです。
■オープンソース
■高性能かつ拡張性が高い
■セキュリティ面で信頼できる
PostgreSQL
PostgreSQL(ポストグレスキューエル)は、標準SQLの多くに準拠しているという特徴を持つデータベースです。
そのため、PostgreSQL以外のデータベースとの親和性が高く連携しやすいという強みがあります。
PostgreSQLはMySQLと同様にオープンソースですが、MySQLとの違いは「読み取り専用操作に適しているかどうか」や「機能の多さ」にあると言えるでしょう。
PostgreSQLは、読み書き操作に向いていますが、MySQLは読み取り専用操作に向いています。
また、搭載されている機能についても違いがあり、PostgreSQLの方が数多くの機能が備わっています。
ただしその分、MySQLの方が軽量で処理速度が速いという特徴があります。
■オープンソース
■MySQLよりも搭載されている機能が多い
■他のデータベースと連携しやすい
Oracle Database
Oracle Databese(オラクルデータベース)は、世界で初めて商用リレーショナルデータベース管理システムをリリースしたオラクル社が提供するデータベースです。
データベース開発会社として長い歴史があり、データベースとして高い堅牢性を誇るため、大企業に採用されやすい傾向にあります。
高度な機能を多数有していることから、使いこなすにはかなりの知識が必要となることから、Oracle Databeseを扱うための資格も存在します。
MySQLやPostgreSQLのように無償利用はできませんが、高額な料金を払う価値があるほど高セキュリティ・多機能なデータベースとなっています。
■非常に高い堅牢性を誇る
■大企業が好んで採用する
■複雑な処理も実現可能
Microsoft SQL Server
Microsoft SQL Serverは、マイクロソフト社が開発したデータベースで、「SQL Server」「MS SQL」とも呼ばれます。
直感的な操作が可能なので初心者でもわかりやすい上、チュートリアルも充実していることから、非常に学びやすいデータベースとなっています。
また、いくつものエディションが存在し、大規模開発ならば「Enterprise」、小規模開発ならば「Express」といったように、開発規模に応じて自由に選択できるという点も強みです。
中には、無償で提供されているデータベースも存在します。
■マイクロソフト社が開発したデータベース
■初心者でも扱いやすい
■無償版と有償版を選択できる
Maria DB
Maria DB(マリアデービー)とは、MySQLから派生したオープンソースのデータベースです。
したがって、MySQLと似たデータベースと言えますが、処理速度に関してはややMaria DBの方が早いと言われています。
登場したのが2009年と、まだ歴史の浅いデータベースではありますが、「MySQLよりも使いやすい」と感じているユーザーもいるようです。
■オープンソース
■MySQLから派生したことからMySQLとの互換性が高い
■MySQLよりもやや高速
まとめ
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以上、SQLとは何かについて簡単にわかりやすく解説しつつ、SQLを学ぶメリットや、SQLが使える主なデータベースなどについて紹介してきました。
データの重要性は年々高まっているため、データベース言語であるSQLを習得する価値は非常に高いと言えます。
データを扱う業務を担当している方は、エンジニアかどうかに関わらず、積極的に学習してみてはいかがでしょうか。
- SQLとはデータベースを操作する言語で、プログラミング言語とは違う
- SQLは初心者でも習得しやすい
- SQLを習得することで人材価値を高めることができる
なお、弊社が運営するプログラミングスクール「RUNTEQ(ランテック)」は、未経験からのエンジニア転職に強いスクールで、特にWebエンジニアの育成に力を入れています。
未経験から学習を始めた多くの卒業生が、Web系開発企業へのエンジニア転職を成功させています。
今でも需要の高いWebエンジニアですが、今後はさらに需要が高まっていくと言われています。
これからWebエンジニアを目指したいという方は、是非一度無料キャリア相談会へお越しください。