「エンジニアにコミュニケーション能力は必要?」
「コミュニケーションスキルを身に付けるとどんなメリットがある?」
これからエンジニアを目指そうとしている方や、駆け出しエンジニアの中には、コミュニケーションスキルの重要性についていまいちわからないということもあるでしょう。
パソコンに向かって黙々とプログラミングをしているイメージが強いことから、「コミュニケーション能力が低くてもできる仕事」と考えている方も少なくないようです。
ところが、現実は違います。
結論からお伝えしますと、エンジニアにとってもコミュニケーションスキルは非常に重要となります。
この記事では、なぜエンジニアにとってもコミュニケーションが重要なのかについてや、コミュニケーションスキルを高めるメリット、コミュニケーションが苦手な方が実践すべき対策法などについて詳しく解説していきます。
エンジニアにコミュニケーションスキルが必要な理由

「エンジニアにとって大事なのはプログラミングスキルだから、プログラミングの腕があればコミュニケーションなんて必要ない」
このように考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、実際そうではありません。
どれだけプログラミングスキルが高くとも、コミュニケーションスキルは必要なのです。
例えば、チームで開発をする場合ならば、チームの仲間たちと適切にコミュニケーションを取りながら連携しなければ、開発効率が落ちてしまいます。
自分一人だけでどんどん作業を進めても、チームとしての進捗が悪ければ評価にも繋がりにくくなるでしょう。
そして、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーへのキャリアアップを考えている場合も、コミュニケーションは必須となります。
プロジェクトリーダーならば、開発メンバーたちをまとめるためのツールとしてコミュニケーションが欠かせませんし、プロジェクトマネージャーの場合も、クライアントと円滑なやりとりをするために高いコミュニケーション能力が必要となるのです。
また、もし転職しなければならなくなった時にも、コミュニケーションを疎かにしていると、自分の能力や実績を正確に伝えることができなかったり、表情や話し方を見て「付き合いづらい」と判断されてしまったりする可能性があります。
その結果、せっかく高いプログラミングスキルを持っているのに転職活動がうまくいかない、という憂き目に遭ってしまうことも充分に考えられます。
このように、エンジニアにとって、あらゆる場面でコミュニケーションは必要となるため、軽視することなくしっかりとスキルを身に付けておきましょう。
エンジニアがコミュニケーション能力を高めるメリット

エンジニアがコミュニケーション能力を高める具体的なメリットとしては、主に以下のようなものがあります。
- 開発が円滑に進みやすくなる
- マネジメント職への昇進が期待できる
- プレゼン力が高まる
開発が円滑に進みやすくなる
コミュニケーション能力を高めるメリットとしてまず挙げられるのは、「開発の円滑化」です。
通常、開発作業はチームを組んで行います。
互いに進捗を確認し合いながら、メンバー同士で連携していくためには、コミュニケーションが不可欠です。
例えば、新人エンジニアが自分に対し、業務上必要なことについて質問したいと考えていたとします。
しかし、普段のコミュニケーションが不足していると「話しかけづらい」と思われてしまい、結果、新人は質問や相談をすることができず、開発に支障が出てしまうという恐れもあるでしょう。
スムーズに開発プロジェクトを進めていくためには、適切な情報共有や相互協力が必要であるため、開発メンバーたちとの密なコミュニケーションが欠かせないのです。
マネジメント職への昇進が期待できる
エンジニアとしてキャリアアップしていくためには、マネジメントスキルが必要です。
マネジメントの中には、当然「メンバーたちを管理する」という能力も含まれるため、コミュニケーションというツールを疎かにするわけにはいきません。
メンバーのモチベーションを保ったり、抱えている問題を解決したりするためには、言葉を用いて相手に向き合うことが必須となります。
その際に、高いコミュニケーションスキルがあれば、メンバーたちからの信頼を得てチームをまとめ上げることに貢献でき、結果として開発効率の向上に繋がるでしょう。
こうした成果を認められれば、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーといったマネジメント職を目指すことも可能となります。
プレゼン力が高まる
コミュニケーション能力が高くなると、「どうすれば相手にうまく伝わるか」を自然と考えられるようになるため、プレゼン力が向上します。
プレゼンとは、相手に対して「物事」や「自分の考え」をわかりやすく伝えることです。
自分が言いたいことだけをただ主張するのではなく、「理解しやすさ」を重視しなければなりません。
この力は、以下のようなシーンで役立ちます。
- チームメンバーへの報告・連絡・相談
- クライアントへの提案
- 転職時の自己PR
プレゼン力が高まるという点も、コミュニケーションスキルを身に付ける大きなメリットです。
コミュニケーションが苦手な人の特徴

コミュニケーションが苦手な人の特徴としては以下のようなものがありますので、当てはまる方は、エンジニアとして活躍するためにコミュ力アップを意識すべきです。
- 表情の作り方がわからない
- 相手の目を見れない
- 気を使いすぎて自分から話しかけられない
- 相手の話を聞かない
- ネガティブなことばかり言ってしまう
表情の作り方がわからない
コミュニケーションとは、何も言葉でのやりとりだけを指すわけではありません。
表情や身振り手振り、声の抑揚など、様々な要素が含まれます。
中でも「表情」は特に重要であり、喋っている時に表情が硬かったり、常に薄ら笑いを浮かべていたり、笑って空気を和ませる場面でも目が笑っていなかったりすると、相手と信頼関係を構築できるようなコミュニケーションにはならないでしょう。
会話中の表情の作り方に自信のない方は、コミュニケーションが苦手である可能性が高いと言えます。
相手の目を見れない
相手と喋る時に、下を向いたまま一切目を合わせない、というような方も、コミュニケーションを苦手とする代表的なパターンです。
適度に相手の目を見ながら話さなければ、「やる気がない」「自分に好感を抱いていない」「真剣に何かを伝えようとしていない」とマイナスに判断されてしまうこともあり得ます。
相手の目を見ずに話すクセのある方は注意すべきでしょう。
逆に、相手の目を見据えたまま一切視線を外さない、というのもよくありません。
海外のデータとなりますが、科学専門誌『Royal Society Open Science』によると、目を合わせる時間として好ましいのは約3.3秒という調査結果があるので、目を合わせ続ける時間は3秒あたりを目途にするとよいのではないでしょうか。
気を使いすぎて自分から話しかけられない
気を使いすぎてしまう方の場合も、なかなか自分から話しかけられないことが多いはずです。
もちろん、迷惑のかからないタイミングで話しかけるという配慮は重要であり、特にエンジニアの場合、相手が集中してコーディングしているような時に声をかけるのは避けるべきです。
しかし、誰かと雑談しているような時でも、「楽しそうにしているし、今話しかけたら悪いかな…」といったようなことを考えて質問や相談ができないようならば、少し考えすぎでしょう。
「理屈ではわかっていても、つい考えすぎて話しかけられない」というタイプも、コミュニケーションを苦手だと捉えている傾向にあります。
相手の話を聞かない
自分の言いたいことばかりを一方的に話し、相手の話をあまり聞かないという人は、本人にその意識がなくとも、周囲から「あの人はあまりコミュニケーションが上手ではない」と判断されがちです。
「話し上手は聞き上手」ということわざにもある通り、話すのが上手い人は、聞くのも上手いものです。
うまく話せるようなコミュニケーション力を身に付けるには、「まず人の話を聞く」という姿勢が大事になってきます。
ネガティブなことばかり言ってしまう
相手の意見に対して、まず否定から入ってしまうことが多い人も、コミュニケーション力が低いと言えます。
誰しも、自分が発した言葉に対していきなりネガティブな言葉が返ってくれば、良い気はしません。
そのあたりを配慮できなければ、コミュニケーションに関して様々なトラブルが出てくるでしょう。
こうした傾向のある方は、後述する対策法を是非参考にしてください。
コミュニケーションが苦手なエンジニアがやるべき対策法

エンジニアを目指している方やエンジニアになったばかりという方で、コミュニケーションについて自信がない場合は、以下のような対策法を実践することで改善できる可能性が高まります。
- コミュニケーション関連の書籍を読む
- テキストで質問内容をまとめる
- 挨拶を欠かさない
- 相手に興味を持つ
- 否定から入る際は注意する
- 相手が喋り終えるまで待つ
- 報告・連絡・相談を徹底する
- セミナーや勉強会に参加する
- 意識的に人と接するようにする
コミュニケーション関連の書籍を読む
昨今、コミュニケーションスキルを高めるための書籍は大量に刊行されています。
それだけ、どんな業界でもコミュニケーションが重要であるという証明でもあります。
本を読めばすぐに理解できるというスキルではありませんが、「何から始めればいいかわからない」「そもそもコミュニケーションの重要性がわからない」という場合には、大いに参考になることでしょう。
コミュニケーションに関する基本的な部分から学びたい場合には、まず書籍から入ってみてはいかがでしょうか。
なお、初心者には以下のような書籍がおすすめです。
■超雑談力 人づきあいがラクになる 誰とでも信頼関係が築ける
挨拶を欠かさない
挨拶は、コミュニケーションの始まりであり基本です。
どれだけ気分が乗らなくとも、開発現場に入った時や誰かと顔を合わせた時には、しっかりと挨拶することだけは欠かさないようにしましょう。
日々きっちりと挨拶ができるかどうかだけでも、周囲の印象は大きく変わります。
そして、挨拶がきっかけで相手が話題を振ってくれて、そこからコミュニケーションが広がることもあります。
こうしたことが繰り返されれば、いつの間にか苦手意識は消え、何気なく仕事仲間たちとコミュニケーションを取れるようになるかもしれません。
相手に興味を持つ
コミュニケーションを苦手に感じている一つの原因として、「相手に興味が持てないから」ということが挙げられます。
興味がないからこそ、「特に話すこともないし、そもそも話そうという気にもならない」という状態になり、コミュニケーション不足となってしまいがちです。
しかし、どんな人でも何かしら自分との共通点があるものです。
- 出身地
- お酒
- グルメ
- 音楽
- よく観るテレビ番組
- 好きなスポーツ …などなど
このように、例を挙げていけばキリがないほど、いくつもの選択肢があります。
些細なことでもいいので、何かしら相手との共通点を見つけるように努力してみましょう。
共通点があれば、自然と相手に対して興味も湧きやすくなります。
否定から入る際は注意する
相手の言い分に対して、否定する必要がある場面も出てくるでしょう。
そんな時でも、いきなり否定から入ってしまうと、円滑なコミュニケーションが成立しづらくなります。
したがって、相手の言っていることがどんなに間違っていると感じても、まずは一定の理解を見せ、その後に自分の見解を柔らかく伝える、という進め方を意識してください。
例えば、クライアントから「こういう機能を追加したい」と言われた際に、「それはできない」「不要な機能だ」といった否定から入ると、当然クライアントとしてはあまり気分がよくないでしょう。
そういった場合は、「確かにその機能があると便利だが、仕様上その機能は追加できない」といった形で答えるべきです。
同じ「断る」という行為でも、一度相手の意見に対する理解を示すことで、頭ごなしに否定されたという感覚は覚えないはずです。
かつ、ただ否定するだけでなく、「追加するとしたら、■■のような機能はどうか?」といった提案も兼ねることができればなお良いです。
相手が喋り終えるまで待つ
まだ相手が喋っている時に、我慢できず自分が言いたいことを言ってしまう方もいますが、これは避けるべきです。
途中で言葉を遮ってしまうと、相手の気分を害する上、本来伝えたかった主旨を正確に汲み取ることができなくなります。
相手の言い分に対し、どんなに主張したいことがあったとしても、一旦喋り終わるまでは待つようにしましょう。
報告・連絡・相談を徹底する
何事においても重要とされる報告・連絡・相談、通称「報連相(ほうれんそう)」ですが、当然エンジニアの仕事でも非常に大事なことです。
「ほうれんそう」を意識的にしっかり行うだけで、ビジネスに必要なコミュニケーションの要素をある程度満たすこともできます。
コミュニケーションが苦手だという方は、まず「ほうれんそう」の徹底から始めてみてはいかがでしょうか。
- 何か問題が起こったら迷わず報告する
- 仕様変更などがあればすぐに連絡する
- 困ったことがあれば同僚や上司に相談する
何かが起こった時に、「まあいいか」と自分の中だけで済ませず、積極的に共有する姿勢を意識してください。
セミナーや勉強会に参加する
実際に人と対面してコミュニケーションを取るために、エンジニア向けのセミナーや勉強会に参加するという方法も有効です。
エンジニア向けの勉強会やセミナーは頻繁に実施されているため、参加の機会に困ることはないでしょう。
なお当然ですが、1~2回参加してそれで終わりではありません。
定期的に参加し、できる限り多くのエンジニアたちと交流していく必要があります。
セミナーや勉強会ならば、コミュニケーションについて実践的に学べるだけでなく、エンジニアとして成長するための刺激ももらえるため一石二鳥なので、是非積極的に参加すべきです。
意識的に人と接するようにする
コミュニケーション能力を磨くのに一番効果があるのは、「ひたすら実践を重ねる」という方法です。
人と接する機会を増やすことで、自ずとコミュニケーションに対する苦手意識が薄まっていくことでしょう。
したがって、前述したセミナーや勉強会へ参加して、できるだけ人に話しかけるようにしたり、場合によっては副業として接客業を体験してみるのもおすすめです。
人と接する時間が増えれば、時に失敗することもあるでしょう。
しかしその失敗を糧に、「ああいう場合はこういうことを言ってはいけないのだな」と反省し、改善すればよいのです。
そして、これを繰り返していくことでコミュニケーションスキルが磨かれいきます。
人間は、失敗しながら成長していくものですので、コミュニケーションスキルを高めたいと考えているのならば、失敗を恐れず、出来る限り多くの人と話せる場に身を置くようにしてみましょう。
コミュニケーションにおけるテクニック

コミュニケーションは、本来テクニックとして学ぶものではなく、人との触れあいの中で自然と磨かれていくものですが、「即効性のあるテクニックを知りたい」という方もいらっしゃるでしょう。
そこでこの項目では、心理学を踏まえたコミュニケーションに関する具体的なテクニックについて紹介していきます。
バックトラッキング
バックトラッキングとは、簡単に言うと「オウム返し」です。
相手の言葉をそのまま口にすることで、「私はあなたの話をしっかり聞いていますよ」ということを暗に伝えることができます。
ただし、本当にそのままオウム返しだけで終わってはいけません。
相手の話に興味を持っていることをアピールするために、話が広がるためのパスを出すようにしましょう。
例としては以下の通りです。
相手「最近運動不足だったから、ジョギングを始めたんだよ」
自分「ジョギングを始めたんですね。どれくらい走るんですか?」
相手「大体5kmくらいかな。結構疲れるんだよね」
自分「5kmも走るんですか。それだけ走ったら疲れますよね」
このように、相手の言葉を借りながらも、深堀りのための質問をしたり共感する言葉を並べたりすることで、相手が気分よく喋れるようになります。
こうした雑談で相手との距離を詰めることができれば、仕事の話についても良い方向に進む可能性が高まります。
ミラーリング
ミラーリングも、心理学上効果が期待されているテクニックで、「相手の行動を真似ることで親近感を得る」というものになります。
- 相手が飲み物を飲んだら自分も飲む
- 相手が笑ったら自分も笑う
- 相手が表情を曇らせたら自分も曇らせる
このように相手の行動に同調することで、「自分に対して好意的だ」と感じてもらえる可能性が高まるのです。
ただ、バックトラッキング同様に注意点もあり、あまり露骨にやりすぎると鬱陶しいと思われてしまうリスクがあります。
教科書通りに毎回律儀にやろうとせず、あくまで適切な頻度を心掛けるようにしてください。
ペーシング
ペーシングとは、相手の話すペースや口調に合わせるというテクニックです。
相手がゆっくりとした口調であれば、本来自分は早口なタイプであっても意図的に喋るペースを落とし、相手が楽しそうに話しているのならばこちらも声のトーンを上げて話す、というように、相手のテンションや話し方に合わせながら会話するという技術になります。
ミラーリングと近い手法ですが、やりすぎても鬱陶しいと思われづらい点が特徴です。
相手に合わせてテンションを調整しても、「本当に共感してくれているんだ」と思ってもらえればなんの問題もないですし、話すペースについても、最初から相手に合わせていれば違和感を与えてしまうこともないでしょう。
こちらも心理学上効果があるとされているテクニックですので、場面に応じて是非ご活用ください。
まとめ

以上、エンジニアにとってコミュニケーションスキルが必要な理由や、コミュニケーション能力を高めるメリット、コミュニケーションを苦手とする方が行うべき対策法などについて解説してきました。
エンジニアの場合、円滑な開発やキャリアアップのために、コミュニケーションスキルを高めることは必須と言えます。
苦手い意識を持っている方は、本記事を参考に是非スキルアップを目指してください。
- エンジニアにもコミュニケーションスキルは必須
- コミュニケーションスキルを高めることで様々なメリットがある
- コミュニケーションが苦手な方は、本記事で紹介した対策法を実践してスキルを伸ばすべき
なお、弊社が運営するプログラミングスクール「RUNTEQ(ランテック)」は、未経験からのエンジニア転職に強いスクールで、特にWebエンジニアの育成に力を入れています。
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