働き方

ポータブルスキルとは?鍛え方・スキル一覧・必要資格について解説

「ポータブルスキルの詳細や鍛え方を知りたい」
「ポータブルスキルを鍛えるとどういうメリットがあるの?」

近年、転職活動に対するネガティブな印象が徐々に薄れつつあり、どの職場でも応用可能な「ポータブルスキル」の習得が重視されています。

しかし、「ポータブルスキル」という言葉はまだ馴染みの薄いもので、具体的な内容や、どのようにこれらのスキルを育てていけば良いのかが明確ではない人も多いでしょう。

そんな疑問を解消するべく、今回の記事では、ポータブルスキルが何を指すのか、そしてそれをいかに育て、活用していけばいいのかを、具体的かつ分かりやすく解説します。

キャリア形成や転職を考えている方々にとって、より幅広い職場で活躍するための重要な知識となりますので、ぜひ最後までお読みください。

ポータブルスキルとは何か?

ポータブルスキルとは、特定の職種や企業だけに限定せず、様々な状況で活用できるスキルのことを指します。

具体的な内容について、1つずつ解説していきます。

ポータブルスキルとは

ポータブルスキルとは「持ち運びのできるスキル」とも言われており、特定の会社や業種、時代背景などに縛られない中で使える汎用性の高いスキルを指します。

昨今では雇用の流動性が高まっていることで、専門的な知識や実務的なスキルなど、特定のスキルに依存しない普遍的な能力を求められる風潮にあるため、重要視されつつあるスキルです。

たとえば、リーダーシップやコミュニケーション能力、問題解決能力などは、どの業種や職種、さらにはどの時代でも求められるスキルであり、ポータブルスキルの良い例と言えるでしょう。

これらは、時代や状況の変化に応じても、使いやすいスキルとして、個々のキャリアを支えています。

ポータブルスキルを構成する9要素

ポータブルスキルは「仕事のし方」と「人との関わり方」における9つの要素で構成されています。
具体的には、以下の9つに分類されます。

ポータブルスキルを構成する9要素
  • 現状の把握
  • 課題の設定
  • 計画の立案
  • 課題の遂行
  • 状況への対応
  • 社内対応
  • 社外対応
  • 上司対応
  • 部下マネジメント

「現状の把握」から「状況への対応」までは、仕事の全体像を把握し、それぞれの部分に対して、どのスキルが必要であるかを明確化するための項目です。
それぞれを意識することで、個々のキャリア形成において重要な役割を果たしています。

また、対人スキルの観点から見ると、これらの要素は社内外を問わず、様々な人々との関わり方を見るものになっています。
これらのスキルも汎用性が高く、どのような環境でも活用することができるため、ポータブルスキルの重要性を裏付けています。

アンポータブルスキルとは

アンポータブルスキルとは、特定の場所や人にのみ適用可能で、その範囲を超えて活用することが難しい限定的なスキルのことを指します。
これらのスキルは、環境や条件が変わるとその価値を失う可能性があり、汎用性が低いとも言えます。

例えば、古いソフトウェアに関する知識や、それを使うためのスキル、あるいは特定の会社の社風や文化に合わせるスキルなどがこれに該当します。

もちろん、1つの会社で定年まで働くことが可能であれば、そのスキルを磨くことは大きな意味があります。

しかし反対に、一部の環境や状況を超えて適用することが難しい特性を持つため、アンポータブルスキルと称されます。

それ故に、キャリア形成の視点からは、これらアンポータブルスキルの習得よりも、様々な場面で活用可能なポータブルスキルの習得が重要とされています。

今後はポータブルスキルの需要が高まる

近年、経済や労働環境の変動により、汎用性の高いポータブルスキルの需要が高まると言われています。

これは、人材の流動性が高まり、転職に対するネガティブなイメージが薄れている現代社会において、どのような場面でも通用するスキルが価値を持つからです。
さらに、大企業であっても、そのビジネスモデルが旬なのは、平均して15年から20年程度とされ、定年まで同一のスキルだけで生き抜くという時代は終わりを告げています。

したがって、どのような状況でも対応可能なリーダーシップやコミュニケーション、問題解決といったポータブルスキルを身につけることが、長期的なキャリア形成において重要視されています。

ポータブルスキルの具体例

ビジネスマンが活躍するためには、次の5つのポータブルスキルの習得が必要です。

ポータブルスキルの具体例
  • コミュニケーションスキル
  • 課題解決スキル
  • マネジメントスキル
  • プレゼン力
  • 交渉力

これらのポータブルスキルは、業界や職種を問わず、組織のどのレベルでも有用です。

これらのスキルを身につけることで、ビジネスマンはより効果的に成果を出すことができ、キャリアを形成しやすくなるというメリットがあります。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルは、ビジネスパーソンが日々の業務を遂行する上で欠かせないスキルの1つです。

成功するビジネスマンは、メール、電話、対面の会議、そして1対1の対話の場面など、さまざまなコミュニケーション手段を通じて、明確で適切なメッセージを相手に伝えることが求められます。

あらゆる場面で人と関わるからこそ、相手が伝えたい情報を正確に理解し、自分の意図や考えを相手に理解させるためには必要不可欠なスキルと言えます。
また、このスキルは人間関係の構築はもちろん、チームワークの向上にも寄与します。

したがって、コミュニケーションスキルは、ビジネスの成功にとって、非常に重要なポータブルスキルであると言えるでしょう。

課題解決スキル

課題解決スキルは、個々が遭遇する問題を適切に分析し、効果的な解決策を見つけ出すための重要な能力です。

このスキルは、単に表面的な問題を取り扱うだけでなく、問題を見つけ出し、それを理解した上で、最も適切な解決策を選び実行する力のことを指します。
優れた課題解決スキルを持つ人は、問題に対してあらゆる視点から考えることができます。

課題解決スキルは汎用性が高く、活かせる場面も多いからこそ、あらゆる職業や業界で活躍することが可能です。

個々が直面する問題や課題はもちろん、チームでの課題も効果的に解決する手段を見つけられることで、より良い結果を出すことができるでしょう。

マネジメントスキル

マネジメントスキルは、プロジェクトやチームのリーダーシップを担う能力のことを言います。

具体的な内容としては、タスクの優先順位を設定したり、目標を達成するためのプロジェクトやスケジューリングなどの進行管理を行ったり、といったスキルが含まれます。

さらに、優れたマネジメントスキルを持つ人は、変化する状況に対応し、問題を解決し、チームを一緒に引っ張っていく能力を持っています。

このようなスキルを柔軟に適応させることで、多様なバックグラウンドを持つチームメンバーとも、効果的に働くことができます。

一朝一夕で身につけるのが難しいスキルですが、これらのスキルを磨くことで、自身のキャリアを有利に進めることができるでしょう。

プレゼン力

プレゼン力は、自身のアイデアや成果を鮮明に伝達するための能力のことです。

優れたプレゼンテーション力を持つ人は、緊張せずに大衆の前で話すことができ、自身の考えや観点を効果的に伝達することができます。
加えて、視覚的な資料やデータを使用して情報を整理し、重要な箇所をさらに明確にすることができます。

また、人を動かすためには論理的な説明に加えて、感情に訴えかける必要も出てきます。
そのため、情報を整理して伝える能力とともに、共感されるような要素を含めて伝えることが大切になります。

このスキルを磨くことで、聴衆の反応やフィードバックをうまく取り入れつつ、より反応してもらえるような提案ができるようになるでしょう。

このようなプレゼンテーションスキルは、どの業界や役職でも有用であり、個々のアイデアを広く伝え、サポートを得るためには不可欠です。

交渉力

交渉力とは、利害関係者との間で最良の結果を達成するための能力で、明確な目標設定、効果的な聴き取り、対立解決のスキルが含まれます。

交渉力を持つ人は、交渉の全体像を見渡す能力と、主要な要素を把握し優先順位をつけるスキルを持っています。

また、優れた交渉力を持つ人々は、他人の意見や感情を理解し、それに対応する方法を見つけるための優れた傾聴力も持っています。

さらに、対立が生じたときにも、冷静に対処することができるでしょう。
対立の原因を理解し、対話を通じて解決策を見つけ出すことが求められるため、事態をエスカレートさせず、信頼関係を保つことが可能になります。

このような交渉力は、ビジネスの様々な状況で価値を発揮します。

契約の交渉から、プロジェクト内の対立解決、さらには給与や役職の交渉まで、このスキルは多方面で活用することができます。

ポータブルスキルを鍛えるメリット

ポータブルスキルを鍛えることは、社会人として生きていく上で、大きく分けて以下の2つのメリットがあります。

ポータブルスキルを鍛えるメリット
  • 職場が変わっても活躍できる
  • 転職しやすい

1つずつ確認していきましょう。

職場が変わっても活躍できる

ポータブルスキルを磨くことで、どの会社でも活躍できるようになり、新しい環境にもすぐに対応できます。

論理的思考力や問題解決力、コミュニケーションスキルはどんな職種でも求められる能力で、これらを身につけておくと、自分のキャリアの可能性が広がります。

特に、今のような変化の速い時代では、これらのスキルがあれば、新しいビジネスチャンスを掴むことができ、自分のキャリアをより自由にデザインすることが可能になります。
だからこそ、ポータブルスキルを磨き続けることが大切です。

転職しやすい

ポータブルスキルを磨くことのメリットとして、転職時にも大きな活躍が期待できるという点が挙げられます。
なぜならポータブルスキルは、業種や職種を問わず適用できる、即戦力となる一般的な技能や知識であるからです。

具体的には、課題解決能力やコミュニケーションスキルは、人と関わる上では必要不可欠であり、どのような業務でも必要とされるからこそ、転職後の環境でもすぐに生かすことができます。

そのため、これらのスキルは転職市場で求められる資質と一致し、多くの企業がポータブルスキルを持つ人材を重視しています。
このため、ポータブルスキルを持つことは、転職市場での競争力を高める重要な手段となります。

ポータブルスキルの鍛え方

ポータブルスキルを鍛えるための方法として、各ステップごとに解説したいきます。

ポータブルスキルの鍛え方
  • STEP1:現状をしっかり把握する
  • STEP2:日記をつける
  • STEP3:伸ばすスキルを絞る
  • STEP4:書籍や動画やネットで鍛えたいスキルを磨く
  • STEP5:日々実践していく

これらのステップを1つずつ確認することで、自分自身を見つめ直しつつ、ポータブルスキルを磨くことができます。
段階的に解説していくので、1つずつ見ていきましょう。

STEP1:現状をしっかり把握する

ポータブルスキルを磨くためには、現状を把握することから始めていきましょう。
例えば、自分の得意なスキルや必要なスキル、どのスキルが市場で求められているのかを把握することで、客観的に自分見つめることができます。

具体的な方法としては、自分の得意・不得意を把握することから始めて、何が足りていないのかを知り、苦手なスキルを意識的に磨くといいでしょう。

苦手なスキルと向き合うことは、大変ではありますが伸び代もあるため、キャリア形成をする上で役に立ちます。

自分自身の成長を促し、自己肯定感を高め、最終的には自分自身のキャリアをより効果的に発展させるためにも、重要なステップです。

STEP2:日記をつける

ポータブルスキルを効果的に磨くためには、現状の把握に続いて、日記をつけることをおすすめします。

その理由は、日記を通じて日々の行動や経験、感じたこと、挑戦したことなどを記録することで、より深い自己分析が可能となるからです。
また、自己分析を行うことで、自身の進歩や成長できた箇所を把握でき、同時に課題や改善が必要な部分まで、確認することができます。

このように日記をつけることで、成長過程を確認し、モチベーションを保つことができ、更にスキルを磨くための戦略を立てることが可能となります。

STEP3:伸ばすスキルを絞る

ポータブルスキルを効率的に伸ばすためには、焦点を絞って特定のスキルを伸ばすことが大切です。

なぜなら、人間の注意力やエネルギーは有限であり、あまりに多くのスキルを同時に磨こうとすると、それぞれのスキルの向上が途中で止まってしまうことがあるからです。
そのため、自己分析によって自身の得意分野と改善が必要な部分を把握した上で、特定のスキルに集中して取り組むことで、そのスキルの向上を速めることができます。

例えば、コミュニケーションスキルを強化するためには、会話の上手い人の話し方を参考にしたり、書籍を買ったりして、コミュ力アップだけに集中し、他のスキルの学習を一時的に休止することも有効です。

STEP4:書籍や動画やネットで鍛えたいスキルを磨く

現代の情報社会では、各種のスキル向上に役立つ知識や情報が、書籍やオンライン講座、YouTubeなど様々なメディアを通じて広く提供されています。
そのため、ポータブルスキルを磨くには、書籍や動画、インターネットを活用すると効率的でおすすめです。

また多くの企業では、社員が新たなスキルを習得するための教育費を補助することや、場合によっては全額負担する制度が設けられています。

これにより、新しい知識を学び、スキルを磨き、自身のキャリアをより一層強化するための支援を受けることが可能となります。

STEP5:日々実践していく

ポータブルスキルを身につけるためには、何よりも日々の実践が必要です。

知識を得るだけではなく、それを活かすためには具体的な行動に移すことで、初めて習得が可能になるからです。
そのため、仕事や日常生活の中で新たなスキルを活用する機会を増やすことや、試行錯誤しながら反復練習を行うことが重要です。

具体的な例としては、プレゼンテーションスキルを身につけたい場合、実際にプレゼンテーションの機会を増やし、質問を引き出すような内容を考えることや、視覚的な資料作成に取り組むなど、直接そのスキルを使ってみることが重要です。

これらの経験を通じて、理論だけでなく実践力も養われ、本当の意味でスキルが身につきます。

テクニカルスキルとの違い

テクニカルスキルとポータブルスキルの違いは、業種や職種が違っても活かせるかどうかで判断すると分かりやすいです。

テクニカルスキルは、特定の業務を遂行するために必要な専門的な知識や技術、資格を指します。

これらのスキルは、その分野での専門性が高いほど、業務の効率化やパフォーマンスの向上に直結し、転職活動時にもアピールしやすくなるという特性があります。

具体的な例として、ITエンジニアの場合、プログラミングスキルや、システム設計の知識などがテクニカルスキルに該当します。

これに対し、ポータブルスキルとは、具体的な業務に関係なく、どの状況や職種でも活かせる汎用的な能力を指します。

コミュニケーション能力や問題解決能力、自己管理能力など、職場環境や業種を問わず必要とされるスキルがここに含まれます。

テクニカルスキルが特定の業務に直結するのに対し、ポータブルスキルはより幅広い業務内容で活用することができます。

まとめ

今回はポータブルスキルの重要性から、具体的な鍛え方まで幅広く解説しました。

ポータブルスキルは、どの職業でも通用するスキルのことで、今の転職市場ではあらゆる企業が求めています。
専門的なスキルを活かしたキャリア形成をするか、転職を前提にキャリアアップしていきたいかにより、どのスキルが必要になるかは人それぞれ変わるでしょう。

本記事を参考に、ポータブルスキルを磨くべきかどうかの参考にしていただければ幸いです。

今回の記事のまとめ
  • ポータブルスキルとは、各種職業で通用する基本スキルのこと
  • 主要なスキルには、コミュニケーション力、マネジメント力、課題解決力など、どのような環境でも活かすことができるものが挙げられる
  • ポータブルスキルを鍛えるには、自己分析、日記などの記録づけ、伸ばすべきスキルの絞り込み、継続的な練習といった段階的な取り組みが必要

弊社では、IT業界未経験の状態から、自社開発企業への就職を目指すプログラミングスクール「RUNTEQ」を運営しております。

現場で活躍できるエンジニアになりたい方は、ぜひ弊社の公式HPより無料のキャリア相談にお越しください。

この記事を読んだ方にオススメ