「PHPに将来性はある?」
「なぜPHPが時代遅れと言われるのか知りたい」
このように、多くのプログラミング言語がある中で、PHPの需要や将来性がどうなるのか気になっている方も多いでしょう。
そこで今回は、下記の内容を解説していきます。
- PHPが持つ4つの特徴
- PHPが時代遅れと言われてしまう理由
- PHPに将来性があると言える5つの理由
記事を最後までご覧いただくことで、PHPの将来性の高さが伝わるかと思われますので、是非参考にしてください。
PHPの特徴
PHPの大まかな特徴について、以下の表にまとめました。
開発者
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ラスマス・ラードフ
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分類
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動的型付け、オブジェクト指向
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フレームワーク
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Laravel、CakePHPなど
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発表された年
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1994年
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上記の表の通り、30年ほど前からある歴史のある言語です。
この項目では、さらに詳しくPHPの特徴を紹介していきます。
- 文法がわかりやすく未経験でも学びやすい
- 歴史のある言語なのでエンジニアの数が多い
- HTMLとの親和性が高い
- Web系に特化している
文法がわかりやすく未経験でも学びやすい
PHPは他の言語と比べて比較的習得しやすいと言われています。
その理由としては、流行りの言語のような難しい構文がないからです。
コードの記述法も英語を書くような感覚に近いため、プログラミング初心者でも抵抗が少ないでしょう。
【文字の出力】
<?php
echo 'Hello world!';
?>
【計算】
<?php
echo 1 + 7;
?>
【変数を使う場合】
<?php
$greeting = 'Hello world!';
echo $greeting;
?>
出力の仕方はシンプルで、PHPファイルの中に「<?php 〜 ?>」を書いて、その中に命令の文章を書く形になります。
このように、文法がシンプルなためPHPは初心者の方でも理解しやすいはずです。
歴史のある言語なのでエンジニアの数が多い
PHPは30年ほど前からある歴史の長い言語のため、エンジニアの数も非常に多いです。
そのため、PHPに関する書籍が多く出版されていますし、ネット上にも多くの情報が存在します。
- 独学でつまづいても検索すれば解決する可能性が高い
- 学習教材が豊富に存在する
- PHPを扱えるエンジニアが多く質問しやすい
このように、PHPに関する情報が多いメリットはたくさんあります。
歴史が長く、エンジニアが多いからこその特徴と言えるでしょう。
HTMLとの親和性が高い
PHPは、マークアップ言語であるHTMLと親和性が高いと言われています。
その理由としては、PHPファイルに直接HTMLを書くことができるからです。
- プログラムであるPHPの部分を記載できる
- ブラウザに出力できるHTMLの部分を記載できる
このように、1つのPHPファイルにプログラム部分とブラウザ出力部分を埋め込めるため、HTMLとPHPを直感的に組み合わせることも可能です。
HTMLと親和性が高いことで、動的なWebサイトのページ構築も容易になります。
Web系に特化している
PHPは、Webアプリの開発に特化したプログラミング言語です。
2023年11月時点では、Webサイトの約77%(※)にPHPが使われているとされるほど、Webと相性の良い言語となっています
※参考 : W3Techs
したがって、誕生から30年近く経った2023年においても、Web開発からWeb制作まで幅広くPHPが採用されています。
なお、PHPを用いることで、以下のような機能を実装することができます。
- SNSサイト制作
- ECサイト制作
- WordPressなどのブログ制作
- 予約システムの構築
- お問い合わせフォームの実装
- 検索機能やデータベースとの連携
Web制作でいえば、個人サイトや企業ブログに使用されているWordPressも、PHPを使えば外観の変更や新着記事の投稿ができます。
またWeb系の開発では、FacebookのようなSNSのアプリやWikipediaのような読者が投稿できる大手メディアにもPHPが使われています。
このように、PHPはWeb制作・Web開発のどちらにも対応できるプログラミング言語になっています。
Web制作やWeb開発についての詳しい解説や必要なスキルなどは、以下の記事でも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
PHPが「時代遅れ」と言われる理由
PHPが時代遅れ・オワコンなどと言われるのは、以下のような理由が原因となります。
- 処理速度が遅い
- 他の言語でも代用できる
- Web系スタートアップ企業ではRubyが主流
処理速度が遅い
PHPはインタプリタ型言語のため、コンパイラ型言語と比べると処理速度が遅いと言われています。
- インタプリタ型言語 : 実行時に一行ずつ機械語に変換していくので処理が遅い
- コンパイラ型言語 : 実行前に一括で機械語に変換するので処理が速い
コンパイラ型と比べると、インタプリタ型はプログラムを実行する時に「変換→実行」の作業を逐次繰り返します。
したがって、インタプリタ型言語であるPHPは処理速度が遅いと言われています。
ただし、最近のPHP7系は処理速度が上がってきているため、大規模なシステムでない限りはあまり大きな障壁にならないでしょう。
他の言語でも代用できる
Web開発においては、PHPにこだわる必要はなく、他のプログラミング言語でも代用できてしまいます。
その点から、相対的に価値が下がり時代遅れではないかと言われているのです。
- Ruby
- Python
- Java
- Go
PHP以外にも、Web系の開発に使える言語は多数あります。
しかし、既にPHPで開発されたサービスはたくさんあるため、2023年現在でも保守案件などの需要が高いです。
あくまでも、相対的に見てPHPの価値が下がったのではないか、と言われているだけで、需要自体はいまだに高いままだと言えるでしょう。
Web系スタートアップ企業ではRubyが主流
PHPは、Web系企業で広く使われています。
しかし、モダンな技術を扱うWeb系スタートアップ企業では、RubyとそのフレームワークであるRuby on Railsが使われることが多いです。
なお2023年現在では、5~10年ほど前に比べると以下のような変化があります。
- PHPのバージョン7が登場して処理速度が大幅に上昇
- PHPのフレームワーク「Laravel」が主流になった
これらの変化により、PHPのパフォーマンスが向上して使い勝手もよくなったのです。
特に「Laravel」は、開発できるシステムやアプリの幅が広いです。
そのため、PHPを扱う会社がLaravelを通して効率的に開発を進められることになり、非常に重宝されています。
PHPに将来性がある5つの理由
PHPの将来性について不安に思う声がありますが、まだまだ需要が高く将来性のある言語です。
その理由としては以下の通りです。
- 他の言語に対して応用が効く
- WordPressに採用されている
- サーバーサイドシェアの大多数を占めている
- 求人数が多い
- PHPのシステム保守案件がある
PHPで求人数が多い理由としては、のちほど紹介する他の理由とも関連性があります。
それでは、1つずつ順番に解説していきます。
他の言語に対して応用が効く
PHPは他の言語に対して応用が効くため、将来性があるといえます。
なぜなら、PHPは横展開しやすい言語だからです。
たとえば、PHPで学んだ変数の定義や出力方法などの知識は、別言語においても役立ちます。
- Pythonの場合はどうするか?
- Rubyの場合はどうするか?
1つの言語の基本を身につけてしまえば、上記のような別言語の取得もしやすいです。
PHPを学んでおくことで、いざという時に他の言語の習得にも役立つでしょう。
WordPressに採用されている
PHPは、WordPressに使われている言語として知られています。
WordPressとは、個人のブログや企業のオフィシャルサイトなどを作るCMSです。(Contents Management System:CMS)
2023年現在、WordPressは世界中のWebサイトの約43%ものシェアを占めています。
日本においては、CMSシェアの8割以上を占めるというほど圧倒的であるため、PHPをマスターすることによって多くの開発案件に対応することができるようになります。
サーバーサイドシェアの大多数を占めている
PHPは、サーバーサイドのプログラミング言語として約80%ものシェアがあります。
サーバーサイド言語は、一言で表すとサーバー内部で動く言語のことを指します。
この圧倒的なシェア率があるため、PHPで作られた既存サービスの保守・運用案件は非常に多く存在します。
今後注目されるWeb系のプログラミング言語が現れたとしても、ここまで高いシェア率を誇っているPHPをすぐさま駆逐するようなことはまずあり得ないでしょう。
求人数が多い
2023年におけるPHPの求人件数は、依然として開発言語別で上位に位置しています。
プログラミング言語
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2023年11月時点での求人数
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Python
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45,094件
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PHP
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43,865件
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Ruby
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27,990件
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Swift
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17,668件
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Kotlin
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17,171件
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スマホアプリ開発に用いられるSwiftやKotlinを圧倒するほどの求人数で、今でも大変需要の高い言語であることが伝わるでしょう。
なおPHPには、以下のように幅広い求人があります。
- Webアプリ開発
- システムの保守案件
- ECサイトの開発
- 自社Webサイト開発
- ホームぺージ制作
PHPのシステム保守案件がある
PHPで作成された数多くのシステムがあるため、保守案件の需要が見込めるでしょう。
すでにPHPで作られたものは、そのままPHPを使って管理することが多いです。
そのため、PHPで実装されたシステムがなくならない限り求人も無くならないでしょう。
実際に一部の企業は乗り換えることもありますが、以下のようなリスクもあります。
- 多くの時間やお金が必要になる
- トラブルやエラーが起きる
メリットばかりではないため、全ての企業が乗り換えるわけではありません。
そのため、PHPのまま長くシステムを運用し続ける企業の保守案件の需要は今後もあるでしょう。
PHPが使われている有名サービス10選
PHPを使って開発されたサービスを一挙紹介していきます。
国内・国外問わずに誰しもが利用したことのあるサービスもあるでしょう。
- Wikipedia
- Slack
- Hootsuite
- Yahoo!
- ぐるなび
- CAMPFIRE
- ココナラ
- WordPress
- SAGOJO
そうなんです。
世界最大級のSNS「Facebook」も最初はPHPで開発されていました。
いまでは、PHPを改良したHackという言語を使っています。
- ログイン機能
- ユーザーの登録や更新
- チャットなどのメッセージのやり取り
SNSアプリには必須と言われる機能は、PHPの得意分野となっています。
その他にも、アメリカに本社を置く「Yahoo!」は誰しもが知る検索エンジンでしょう。
昔はPHP開発者の「ラスマス・ラードフ氏」もエンジニアとして勤務していた話は有名です。
ラードフ氏を筆頭に、PHP開発者が多数在籍しているとも言われています。
またグルメ情報検索サイト「ぐるなび」では、PHPのフレームワーク「Laravel」を利用したり、日本最大級のクラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」はPHPのフレームワーク「CakePHP」で作成されています。
このように、みなさんが知っている有名なサービスのいくつかはPHPから作られているのです。
まとめ
今回の記事では、PHPの今後の需要や将来性ついて解説しました。
- PHPは有名なWebサイトの開発に使われており初心者でも習得しやすい
- Web制作からWeb開発まで幅広く対応できる言語である
- PHPが「オワコン」と言われる理由は相対的なもので、需要はいまだに高い
30年ほど前に開発されたPHPという言語ですが、今では便利なフレームワークやバージョンアップによって、より使いやすいプログラミング言語になりました。
これから初心者でPHPを学ぶべきか、それとも他の言語を学ぶべきか迷っている方がいましたら、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。