「Pythonってどんな言語?」
「Pythonを使ってどんなことができるの?」
簡易的で使いやすい言語として有名なPythonですが、具体的にはどのようなことができるのでしょうか?
今回、以下の内容について解説していきます。
- Pythonとは何か
- Pythonでできること
- Pythonで開発されたサービス事例
初心者にもおすすめされるPythonですが、活用の幅は広くさまざまなサービスに利用されます。
Webエンジニアを目指す方向けにプログラミングスクールを運営する弊社がPythonについてくわしく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Pythonとは何か?
ここでは、Pythonとは何か、以下の内容について解説していきます。
- Pythonとは
- Pythonの特徴
- Pythonを用いるメリット
Pythonとは
Python(パイソン)は1991年に開発された言語で、その名の通りニシキヘビがロゴに使われています。
2017年に囲碁AIであるAlphaGoが最強棋士である柯潔(カ・ケツ)に勝利してからAIが注目されるようになり、それと同時にPythonの需要も高まりました。
現在では、PythonはAI開発のスタンダードとなっていますが、AIに特化しているわけではありません。
データ分析やWebアプリケーションなど汎用性が高い言語の一つなのでさまざまな分野で活躍しています。
Pythonの特徴
Pythonの特徴は以下の通りです。
- コードがシンプルで分かりやすい
- ライブラリが充実している
- フレームワークも豊富
コードがシンプルで分かりやすい
インデントブロックを採用しており、誰が読んでも理解しやすいのが特徴です。
インデントとは字下げを意味し、JavaやPHPではブロックを{}で表現しますが、Pythonは特別な文字を使わずに同じ位置にインデントされている文を一つのブロックとしています。
分かりやすい構造になっているため初心者の人でも取りかかりやすく、学びやすいのが魅力の一つです。
コードがシンプルな上に多くの処理を記述できるため、データ量の多いサービスに利用されています。
ライブラリが充実している
Python標準ライブラリに加え、TensorFlow・PyTorch・NumPyなどの外部ライブラリなどが揃っています。
ライブラリが豊富な上に無料で使用できるものも多く、簡単にプログラムを作成するのに役立っています。
コードのシンプルさに加え、充実したライブラリ、学習のしやすさなど今後も注目される言語の一つです。
フレームワークも豊富
Pythonの代表的なフレームワークは以下の通りです。
- Django(ジャンゴ)
- bottle(ボトル)
- Flask(フラスク)
- Tornado(トルネード)
フレームワークとは、枠組みを意味し、あらかじめ大まかなロジックが書かれているものを表します。
具体的には、管理画面のためのサーバーやユーザー認証機能などが搭載されており、開発の負担軽減に寄与されます。
Djangoは大手サービスにも利用されますが、使用する際にはPythonの基本構文に加え、フレームワーク独自の構文も学ばなければなりません。
学習内容は多くなりますがフレームワークの有用性は高いため、学ぶ価値も高いと言えます。
Pythonを用いるメリット
Pythonを用いるメリットは以下の通りです。
- 開発工数を抑えられる
- 無料のオープンソースが多い
開発工数が抑えられる
Pythonはコードがシンプルであると説明しましたが、読みやすいということはミスも発見しやすいということでもあります。
かんたんに記述できてエラーも修正しやすいPythonを用いることで効率的な開発が可能なため、工数削減に繋がります。
また、後述するオープンソースを使用することで開発の手間を少なくすることも可能です。
無料のオープンソースが多い
Pythonは無料のオープンソースが多く、パソコンとインターネットがあれば誰でも環境構築できるのがメリットです。
オープンソースとは、ソースコードが公開されているソフトウェアを指します。
レストランのレシピが公開されているようなものなので、無料で利用できることは自社プログラム開発に役立つと言えます。
人気プログラミングランキングを発表しているTIOBEプログラミングコミュニティーインデックスによると、2022年の人気ランキングでPythonは1位になりました。
前年度が3位であるため世界的にも需要が高まっており、オープンソースも増えていることから利便性も増していくと言えるでしょう。
Pythonでできること
Pythonでできることは以下の通りです。
- AI開発・機械学習
- Webアプリケーション開発
- データ分析・解析
- ビジネスツール自動化
- 画像処理や画像解析
- ブロックチェーン開発
- ゲーム制作
AI開発・機械学習
Pythonでできることの中で一番注目されているのが、AI開発の分野です。
とくに、機械学習やディープランニングが注目されており、身近なもので言うとソフトバンクが開発したロボット「Pepper」が挙げられます。
Pepperには、コンピューターが自己学習できる感情ライブラリが使われていますが、開発にはPythonが用いられています。
以前からAI開発の研究に使われてきたPythonには、機械学習やディープランニング専用のライブラリ、AI専用のライブラリが存在します。
- scikit-learn:機械学習用
- TensorFlow:数値計算ができる
- PyTorch:ディープラーニング用
Pythonを使えばAI開発も簡単かつ直感的に進められるため、現在では欠かせない存在となっています。
Webアプリケーション開発
前述したとおり、Pythonにはフレームワークが充実しているためWebアプリ制作も可能です。
Pythonを用いて開発するメリットとしては、以下の4つが挙げられます。
- エラーを引き起こしにくい
- コンパイルが不要
- OSの種類を問わない
- AIとの連動も可能
コンパイルとは、プログラムをコンピューターが読み取れる形式に変換したあとに実行する仕組みのことです。
豊富なライブラリやフレームワーク、シンプルなコードや特性を活かしてスピーディかつ高品質な開発が可能になっています。
とくに、Djangoというフレームワークはフロントエンド部分からデータベース接続の部分まで必要なものがすべて揃えられるため充実したWebサイト作成も可能です。
データ分析・解析
Pythonは、大量のデータの分析・解析も行えます。
データ分析には、クローリングやスクレイピング、データ前処理が必要ですが、専用のライブラリを使うことで効率よく行えます。
クローリングとは、クローラーというプログラムが情報収集のためにWeb上を巡回することです。
スクレイピングとは、Webサイトから抽出したデータを格納・分析が可能な状態に変換することです。
データ前処理とは、収集したデータを扱いやすいように整える作業のことです。
よく使われるツールやライブラリは以下の通りです。
- Jupyter:ツール
- graph-tool:グラフの操作・統計解析
- Numpy:数値計算・データ操作
- Pandas:データ前処理
- Scipy:科学計算・技術計算
- RequestsやSelenium:スクレイピングに使用
膨大なデータのなかから必要なデータだけを取り出しコピーしたり、データを内部計算して読みやすいように行列表にまとめたりなど、業務効率化の促進も可能です。
また、クローリングやスクレイピングといった技術を用いて、定期的な情報収集やブラウザ操作が可能なため、株価の最新情報を自動で収集するなども行えます。
ビジネスツール自動化
パソコンで行うファイル操作はすべてPythonで自動化が可能となっています。
具体的な内容は以下の通りです。
- スクレイピング
- Webの自動化
- APIの自動化
- Excelの自動化
今まで手動で行っていた作業を自動化することで、工数が削減し業務効率化が図れます。
GmailやLINEではメールの自動送信、Excelでは自動計算やグラフ作成など業務処理に応用することが可能です。
画像処理や画像解析
Pythonは、専用ライブラリを活用して画像処理や画像解析も可能です。
専用ライブラリは以下の通りです。
- OpenCV:画像処理・解析
- TensorFlow:数値計算・解析
専用ライブラリを活用することで、以下のようなシステムを作ることが可能です。
- 顔認証アプリ
- 商品の自動整理
- 物体検知システム
- 体温検知システム
- 自動運転の物体検知
また、手書き文字をカメラで認識し、文字データとして処理する技術である「AI-OCR」にも活用されています。
画像処理や画像解析の分野でも市場拡大しつつあるので、今後もさまざまなサービスに利用されると言えるでしょう。
ブロックチェーン開発
Pythonは、ビットコインで有名になったブロックチェーン開発にも活用されます。
Pythonが活用される理由は以下の通りです。
- 標準ライブラリにhashlib(ハッシュ関数)を備えている
- HTTPリクエストを操作可能
- 数値計算ライブラリが豊富
ハッシュ関数とは、入力したデータを変換して返してくれる関数のことです。
HTTPリクエストとは、サーバーに表示したいページを要求することです。
豊富なライブラリやPythonの特性を活かしたブロックチェーン開発が注目されています。
ゲーム制作
Pythonは、2Dゲームと3Dゲームの開発が可能です。
使用するライブラリやフレームワークは以下の通りです。
- Pygame:ゲーム開発用ライブラリ
- Cocos2d:2Dゲーム開発用フレームワーク
Pygameは、20年以上開発が続けられているライブラリで現在も多く使用されています。
ブロック崩しゲームなど簡単なものであれば数百行のコードで書けてしまうため、学校の授業でも用いられます。
Coco2dは、10年以上開発が続けられている2Dゲームの開発に特化しているフレームワークです。
Pythonのみならず、C++やJavaなどにも移植可能で扱いやすいことから、こちらも人気を博しています。
Pythonで開発されたサービス7選
Pythonを用いて開発されたサービスは多くありますが、今回は主要なものを7つ厳選してご紹介します。
Pythonで開発されたサービスは以下の通りです。
- Amazon
- Dropbox
- Netflix
- YouTube
- Spotify
Amazon
出典:https://www.amazon.co.jp/
大手IT企業として有名なAmazonでもPythonが用いられています。
利用したことがある人はご存知だと思いますが、Amazonでは顧客の検索・購入情報をもとにおすすめが表示されるようになっています。
こういった顧客のニーズを分析し提案する機能にPythonが一役買っているわけです。
膨大な商品データを管理しつつ、時代の流れに適応していくために多くの言語が使われますが、Pythonは他プログラミング言語とも相性が良いのがポイントです。
Dropbox
出典:https://www.dropbox.com/ja/
元Google勤務の開発者がDropboxに移籍したことにより、Pythonが使われるようになりました。
オンラインストレージサービスとして有名になったDropboxですが、現在では全てのプログラムがPythonで書かれています。
OS問わず利用できるというメリットがありますが、その仕組みにはPythonの特性が利用されています。
Netflix
出典:https://www.netflix.com/jp/
大手動画配信サービスのNetflixでもPythonを利用しています。
多くの場面でPythonを活用していますが、具体的には以下の通りになります。
- プラットフォームの開発
- セキュリティ
- 顧客分析
- 保守運用
- 統計分析
実際に使用しているライブラリを公開していたりとPythonをフル活用している様子が伺えます。
映画のベストシーンを切り取る作業にもPythonの機械学習機能が採用されています。
出典:https://www.instagram.com/
写真や動画を共有できるInstagramでもPythonが活用されており、フレームワークであるDjangoを使用して作られています。
当初2人で設立された企業ですが、短期間で急速な成長を遂げました。
Pythonは少ないコードでWebアプリケーションが作れるのに加え、急速な変化に柔軟に対応できるのが魅力的です。
YouTube
出典:https://www.youtube.com/
動画共有サイトとして不動の地位を築くYouTubeにもPythonが活用されています。
YouTubeは2005年に設立されましたが、2006年には日本でも人気を博し、2007年にはニコニコ動画にも利用されるようになりました。
PythonはYouTubeのサーバーサイドの処理に使用され、世界で最も成功した動画サイトとして知られています。
Spotify
出典:https://www.spotify.com/jp/premium/
大手音楽配信サービスSpotifyでもPythonが使用されています。
2006年に創業、2016年に日本でのサービスが開始されましたが、現在では3億人以上のユーザーを抱えるまでに成長しました。
Spotifyでは、Pythonのデータ分析機能を利用して楽曲のデータ解析が行われています。
出典:https://www.pinterest.jp/
写真共有サービスであるPinterestもPythonで開発されたWebアプリケーションの一つです。
レシピやインテリア、ファッションコーデなど気に入ったアイディアを保存したり試したりすることができるアプリとして使われます。
2010年にサービスが開始され、2020年には月間アクティブユーザーが4億人に達したとも言われています。
未経験からWebアプリケーション作成を仕事にしたいならRuby
Pythonを使ったWebサービスは徐々に増えてきております。
しかし、あなたがもし今からWebアプリケーション開発を仕事にしたいと思うのであれば、Pythonはおすすめしません。
理由はPythonを使ったWeb系の開発の求人が非常に少ないからです。Web系の開発は、昔ながらのサービスではPHPで、新しいサービスではRubyがよく使われます。
求人が少なく、未経験の採用が非常に少ないため、仕事にするにはRuby on Railsから始めることをおすすめします。
まとめ
以上、Pythonで開発されたサービスについて解説しました。
- Pythonはコードがシンプルで豊富なライブラリやフレームワークがあるため様々な分野で活用される
- AI開発のみならず、Webアプリ開発やデータ分析、画像処理など大手サービスで利用されている
- Amazonを始めとし、NetflixやYouTubeなど多くのサービスが開発されており今後も将来性が期待される
コードがシンプルで扱いやすく初心者にもおすすめなPythonですが、できることは様々で汎用性が高い言語となっています。
2022年人気プログラミングランキング1位にも輝いており、今後も将来性が期待されます。
習得すれば興味あるジャンルに挑戦しやすいとも言えるため、ライブラリやフレームワークなど学習を進めると良いでしょう。
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