「Laravelを効率的に学べる勉強法が知りたい」
「そもそもLaravelってどんなもの?」
プログラミング経験者・未経験者を問わず、これからLaravelを学習しようと思っている人ならば、できるだけ効率的にLaravelに関するスキルを身に付けたいと思っているでしょう。
特に未経験の場合は、学習のためのロードマップを間違いやすく、無駄に遠回りしてしまうことが多いので注意が必要です。
そこでこの記事では、以下のようなことについて解説していきます。
- 効率的なLaravelの勉強法
- そもそもLaravelとは
- Laravelを学習するメリット
- Laravelが他のフレームワークより優れている点
- Laravelの学習に便利なサイトや書籍
- 独学でLaravelを身に付けようとすると挫折しやすい理由
Laravelとは何か?
まずは、Laravelが一体どういうものなのかについて解説していきます。
Laravelとは
Laravel(ララベル)とは、「PHP」というプログラミング言語のフレームワークのことです。
PHPにはいろいろなフレームワークが用意されていますが、その代表的なものがLaravelとなります。
Web開発に適したオープンソースの汎用スクリプト言語。特に、サーバーサイドで動的なWebページを生成する機能を多数備えているのが特徴。
アプリやシステムを開発する際によく使われる機能が用意された枠組み。フレームワークを活用することでゼロからプログラムを組む必要がなくなり、効率的な開発が可能となる。
Laravelは、2011年にアメリカでリリースされたフレームワークです。
PHPのフレームワークは、「CakePHP」・「Symphony」・「CodeIgniter」などいくつも存在するのですが、中でもLaravelは世界的に人気があり、多くの開発現場で採用されています。
なお、Laravelは「Symphony」をもとに開発されたフレームワークですので、PHP+Symphonyで開発していた方にも馴染みやすい仕様となっています。
Laravelを学習するメリット
Laravelがリリースされる前までは、「CakePHP」というフレームワークのシェアが最も高かったのですが、2011年にLarabelが登場し、徐々にシェア率を伸ばした結果、2019年にはPHPのフレームワークとして世界1位のシェアを誇るようになりました。
それだけ開発現場で採用されている割合が高いため、学習しておくことでスキルとしてアピールすることができます。
また、Laravelは従来のフレームワークをもとに「良いとこ取り」をしているため、非常に使いやすく、初心者でも学習しやすいというメリットもあります。
その利便性の高さや世界的人気を背景に、日本語によるWeb上での参考ドキュメントや、Laravelに関する書籍も大変数が多く、学びやすい環境が整っています。
Laravelにできること
Laravelで開発できるシステムやアプリは、主に以下のようなものとなります。
- ToDoリスト
- 勤怠管理や顧客管理といった業務システム
- ショッピングサイト
- 掲示板
- SNS
簡単なシステムならば、Laravelをうまく活用することで、あまりコードを書くことなく実装できてしまいます。
Laravelが他のフレームワークより優れている点
Laravelは、他のフレームワークと比べると以下のような点で優れています。
- 分業での開発に向いている
- 拡張性の高さ
- 頻繁にアップデートやプラグイン開発が行われる
分業での開発に向いている
Laravelは、「MVC」というアーキテクチャを採用しています。
MVCとは「Model(データベース連携)」・「View(ユーザーへの情報出力)」・「Controller(入力を受けての出力や全体的な制御)」のことで、複雑になりやすい処理を大きく3つの役割に大別することでわかりやすくし、複数人での分業開発を容易にしています。
開発規模がある程度大きくなると、分業で開発できた方が効率がよいため、Laravelの採用は非常に効果的だと言えます。
拡張性の高さ
Laravelには、他のフレームワークのように、コードやフォームの入力を自動で補助してくれるといった機能も当然備わっていますが、それ以外の部分では自由にカスタマイズすることが可能です。
そして、文法や規則などが他の言語やフレームワークと比べて柔軟なため、必要に応じて「その時に実現したい処理」を書くことができる拡張性の高さも、Laravelの大きな強みと言えるでしょう。
頻繁にアップデートやプラグイン開発が行われる
PHPにおけるフレームワークとしての人気の高さから、Laravelは頻繁にアップデートやプラグインの開発が行われています。
新しい機能が追加され続けるということは、実装の簡易性もどんどん増していくため、もちろん開発効率も向上しやすくなります。
初心者におすすめなLaravel勉強法
この項目では、PHPとLaravelについてほとんど何も知らないという方向けの勉強法を紹介します。
初心者の場合、以下のロードマップに従って学習を進めるのが効果的でしょう。
- PHPの基礎を学ぶ
- 動画でLaravelの概要を掴む
- 学習サイトや書籍でLaravelへの理解を深める
- Webアプリを開発する
PHPの基礎を学ぶ
LaravelはPHPのフレームワークであるため、PHPを知らない状態で学んでも意味がありません。
従って、まずはPHPの基礎について学んでおきましょう。
抑えておくべきポイントは以下の通りです。
- HTML/CSS
- PHPにおける変数と配列
- 繰り返しと分岐(loop文やif文)
- 関数やClass
- namespace
- GETとPOSTの違い
- Cookieやセッションの管理
- データベース連携
- SQL
上記を理解しないままLaravelの学習に入ろうとしても挫折してしまう可能性が高いので、まずはPHPの基礎から学ぶようにしてください。
目安としては、フレームワークを使わずPHPだけで「ログイン機能」・「簡易的な掲示板機能」といったサービスを作れるようになることです。
動画でLaravelの概要を掴む
PHPの基礎を抑えた後は、いよいよ「Laravelがどういったものなのか」を知る段階となります。
Laravelの概要を掴むには、Google検索だけでなく、YouTubeでの動画検索を利用するのがおすすめです。
テキストより動画の方がわかりやすいことも多いですし、今ではLaravelの基本を学ぶための動画もたくさんアップされているため、是非活用すべきでしょう。
YouTubeの検索窓で「Laravelとは」・「Laravel 入門」といったキーワードで検索をかけると、初心者向けのコンテンツが多くヒットします。
こういった動画を参考にしながら、まずはLaravelがどういったものなのかをざっくりと把握できるように意識してください。
特に「MVC」という概念を理解できているかどうかが重要になってくるので、その点にはしっかり留意してください。
学習サイトや書籍でLaravelへの理解を深める
PHPとLaravelの基本を抑えたら、いよいよ学習サイトや書籍で理解を深める段階に入ります。
何事もそうですが、基礎だけでは現場で満足いく仕事などできません。
従って、より実践的なスキルや知識を身に付ける必要があります。
PHPとLaravelについて、さらにスキルを高められる学習サイトや書籍については後述します。
Webアプリを開発する
基礎を身に付け、学習サイトや書籍でさらにスキルを高めた後は、いよいよオリジナルのアプリの開発に取り組みます。
いきなり難易度の高い課題に挑もうとすると挫折する可能性が高いので、王道である「ToDoアプリ」や「顧客管理システム」などから入るのがよいでしょう。
まずは、ゼロから独自でアプリを作れるようになることを目指してください。
Laravelの学習に便利なサイト・チュートリアル5選
ここでは、Laravelの勉強を進める際に便利な学習サイトやチュートリアルサイトを紹介していきます。
Laravel学習帳
Laravel学習帳は、とにかく初心者に寄り添った作りとなっている学習サイトで、プログラミングを学んだことがないという人でも理解できるように図解などを用いてわかりやすく解説しています。
入門サイトとして最適で、ゼロからLaravelを勉強する場合にはまずLaravel学習帳から入った方がよいでしょう。
ララ帳
こちらも初心者向けのLaravel学習サイトとなっています。
記事数が豊富にあり、初心者がつまづきやすいポイントについてまとめられている記事もたくさんあるため、Laravel学習帳と合わせて利用するとよいでしょう。
■ララ帳
Laravel入門 – 使い方チュートリアル –
「Laravel入門 – 使い方チュートリアル – 」は、エンジニアに関する知識を共有するサービスである「Qiita」の中にあるページで、Laravelの複雑な環境構築について手取り足取り丁寧に解説してくれます。
初心者向けであり、主に環境構築面に重点を置いているチュートリアルなので、早く開発できる環境を整えたい時に便利です。
入門Laravelチュートリアル
入門Laravelチュートリアルでは、以下のようなことについて学ぶことが可能です。
■入門Laravelチュートリアル (1) イントロダクションと環境構築
■入門Laravelチュートリアル (2) ToDoアプリケーションの設計
■入門Laravelチュートリアル (3) ToDoアプリのフォルダ一覧表示機能を作る
■入門Laravelチュートリアル (4) ToDoアプリのタスク一覧表示機能を作る
■入門Laravelチュートリアル (5) ToDoアプリのフォルダ作成機能を作る
■入門Laravelチュートリアル (6) ToDoアプリのタスク作成機能を作る
■入門Laravelチュートリアル(7)ToDoアプリのタスクの編集機能を作る
■入門Laravelチュートリアル (8) ToDoアプリの認証機能を作る
■入門Laravelチュートリアル (9) ToDoアプリの認証機能を作る パート2
■入門Laravelチュートリアル (10) エラーハンドリング
■入門Laravelチュートリアル (11) ToDoアプリをHerokuにデプロイする
環境構築、Laravelの基礎や応用、実際のアプリ開発方法までわかりやすく解説されています。
どのチュートリアルを読めばいいのか、タイトルを見れば一目でわかるところも利便性がよくユーザーにとってありがたいところです。
Laravel公式サイト
こちらは、Laravelの公式サイトとなっています。
環境構築のためのインストールや設定方法、パッケージの作成といった基本から、Laravelを使った開発手法といった応用まで幅広くカバーされています。
ただし公式サイトだけあって、あまり初心者に寄り添った内容になっていないため、まずは初心者向けの学習サイトを利用してからこちらの公式サイトを利用した方がよいかもしれません。
Laravelの学習に最適な書籍5選
ここでは、Laravelの学習に活用できる良書5冊を厳選して紹介します。
ネットでいくらでも情報を集められる今の時代ではありますが、学習が断片的になりやすいという欠点もあります。
その点書籍は、専門家によって必要な情報が抜け漏れなく解説されているため、体系的に学ぶことができるというメリットがあります。
書籍から学ぶことの重要性を軽視しないようにしましょう。
プロフェッショナルWebプログラミング Laravel
プロフェッショナルWebプログラミング Laravel〈最新Laravel 9対応〉
著者
|
久保田 賢二朗、荒井 和平、大橋 佑太 |
価格
|
3,520円(税込) |
発行日
|
2022年3月28日 |
ページ数
|
320ページ |
Laravelの最新バージョンである「Laravel 9」に対応した、これからプロを目指そうとしている方向けの入門書となっており、Laravelの最新環境で、汎用性の高いWebアプリケーションの構築方法を学ぶことができます。
本書は、特に以下のような方におすすめです。
- これからLaravel 9の学習を始める人
- Docker+Laravel Sailを利用した構築方法を学びたい人
- Laravelの標準的な構築方法を知りたい人
- GitHubを利用したテストやデプロイを自動化したい人
書籍の内容は次の通りです。
〈本書の内容〉
■CHAPTER1 Laravelを始める準備
■CHAPTER2 アプリケーションの基本構造を作る
■CHAPTER3 アプリケーションを完成させる
■CHAPTER4 Laravelのさまざまな機能を使う
■CHAPTER5 アプリケーションのテスト&デプロイ
動かして学ぶ! Laravel開発入門
動かして学ぶ! Laravel開発入門
著者
|
山崎 大助 |
価格
|
3,300円(税込) |
発行日
|
2021年3月15日 |
ページ数
|
328ページ |
著者の山崎大助氏は、デジタルハリウッド・ジーズアカデミーで学校長をしており、Laravel講座の講師も担当しています。
そのLaravel講座の受講生の声を反映させて執筆したのがこの書籍となります。
この本を読むことで、以下のような知識を得ることができます。
- LaravelによるWebアプリの設計や作成の基本
- ルーティング
- リクエスト処理
- ビュー
- 認証
- ページネーション
- モデルのリレーション
- ファイルアップロードの基礎
なおこの本では、開発環境として「AWS Cloud9」を採用しています。
WindowsやmacOSでのLaravelの環境構築は非常に時間がかかってしまうことがあり、その時点で挫折する人も少なくありません。
しかしブラウザだけで開発可能なAWS Cloud9を使えば、環境構築でつまづくという心配はほとんどなくなるので安心です。
PHPフレームワークLaravel入門
著者
|
掌田 津耶乃 |
価格
|
3,300円(税込) |
発行日
|
2019年12月27日 |
ページ数
|
356ページ |
Laravelの解説書としてロングセラーとなっていた書籍が、Laravelの新バージョンにも対応して改訂されたのがこの「PHPフレームワークLaravel入門」です。
この本では、以下のようなことがわかりやすく解説されています。
- Laravelのインストール
- MVCモデルの使い方
- 開発に役立つ各種機能紹介
- 「@csrf」や「@error」といった新しいディレクティブ
- バリデーションルール
- Bootstrapによるペジネーションリンク
- Authの使い方
なお、「Laravel 6」を使用する場合にはPHP 7.2が必要ですのでご注意ください。
PHPフレームワーク Laravel実践開発
著者
|
掌田 津耶乃 |
価格
|
3,300円(税込) |
発行日
|
2019年7月26日 |
ページ数
|
368ページ |
先ほど紹介した「PHPフレームワークLaravel入門」と同じ著者による書籍で、入門を読み終えた後に、MVC以外の機能実装についてもっと詳しく知りたいという方におすすめの一冊です。
- コア機能の詳細
- サービス
- DBクラスとEloquent
- ジョブ管理
- Vue.js、React、Angularといったフロントエンドとの連携
- ユニットテスト
- Artisanコマンド
MVCだけでなく、上記のような知識も身に付きます。
PHPフレームワーク Laravel Webアプリケーション開発
PHPフレームワーク Laravel Webアプリケーション開発
著者
|
竹澤 有貴、栗生 和明、新原 雅司、大村創太郎 |
価格
|
4,180円(税込) |
発行日
|
2021年6月1日 |
ページ数
|
531ページ |
今でも現場の第一線で活躍する4人のPHP&Laravelのエキスパートたちによって執筆された、Webアプリケーション開発の実践的な指南書で、500ページ超えという非常にボリュームのある一冊です。
内容としては、大規模化・複雑化していく今のWebアプリケーション開発に対応するための新たな設計技法や技術について詳しく紹介しています。
その他、MVCに代わるモダンなPHP開発案件で採用されることが増えてきた「ADR」についての解説や、エラーハンドリング・ログ収集などの運用に欠かせないノウハウなども充実しています。
独学でのLaravel学習が挫折しやすい理由
プログラミングやフレームワークの学習は、独学だと挫折しやすいものです。
Laravelも同様で、未経験の状態から独学で習得するのは決して簡単なことではありません。
そこでこの項目では、Laravelを独学で身に付けようとした時に挫折しやすい理由について解説していきます。
環境を構築できない
この記事の中でも何度か触れましたが、Laravelを利用するための環境構築はやや難しく、うまく環境を作れずに途中で挫折してしまうことが珍しくありません。
PHPだけで開発するならば、PHPとMySQLをインストールするだけで問題ありませんが、Laravelの環境構築は、パッケージ管理ツールである「Composer」を使って行わなければなりません。
ここでつまづいてしまうことが多いのです。
また、PHPとLaravelの組み合わせや、Laravelのバージョンによっても設定が変わってくるため、このあたりについても留意しなければなりません。
本記事で紹介した学習サイトやチュートリアルを活用して、一つひとつ丁寧にこなしていきましょう。
MVCモデルを理解していない
Laravelは、MVCモデルを前提としたフレームワークです。
従って、MVCモデルについてあまり理解できていないと、学習がスムーズに進みません。
MVCモデルとは、プログラムを「Model」・「View」・「Controller」の3つに大別することで、それぞれの役割を明確にするというアプリケーション設計における概念です。
MVCに分割することで、開発効率や保守性を高めることができます。
■Model(モデル)の役割
データの処理や検証、データへのアクセスなど、データベースとの連携
■View(ビュー)の役割
ユーザーへの情報出力
■Controller(コントローラ)の役割
ユーザーからの入力を受けてのビューの選択・生成
まずはこの概念をしっかり理解できなければ、Laravelの学習は挫折しやすくなってしまいます。
規約が少なすぎる
普通に考えると、規約が少なく自由に記述できる方が簡単なようにも思えますが、一概にそうとも言えません。
あまりにルールが少ないと、逆に何をどうすればいいのかわからなくなり学習が進まない、ということが往々にしてあります。
働き方に例えるとわかりやすいかと思われます。
始業時間と終業時間が決まっているサラリーマンならば、その時間は集中して仕事をしなければなりません。
実にシンプルなルールです。
しかしフリーランスの場合、いつ仕事をするかは自分次第であることが多いため、うまく自己管理ができず破綻するというケースも少なくありません。
このように、規約が少なすぎるというLaravelの自由度の高さが、逆にネックとなってしまうこともあります。
エラーが解決できない
これはLaravelだけに当てはまることではありませんが、プログラミング学習全般において、エラーが解決できずに挫折してしまうというケースはよくあります。
自分の周囲に相談できる人がいれば問題ありませんが、未経験の状態から独学で勉強している時に、そう都合よくLaravelに詳しい人がいるとは限りません。
Qiitaのようなエンジニアに特化したサイトで質問するという方法もありますが、必ずしも的確な回答が得られるかどうかは不透明です。
従って、わからないことやエラー発生などで都度学習が止まってしまうような事態を避けたい人は、プログラミングスクールの利用を検討してみるとよいでしょう。
まとめ
以上、Laravelの効率的な勉強法、学習に役立つサイトや書籍の紹介、独学でのLaravel学習で挫折しやすい理由などについて解説しました。
PHPを用いたWeb開発に取り組む場合、Laravelは是非とも学習しておいた方がよいフレームワークです。
世界トップのシェアを誇るため、これからPHPでの開発現場で働く場合には役立つ可能性が高いですし、今現在は別のフレームワークを使っていたとしても、次の現場でLaravelが必要となるかもしれません。
可能であれば、是非身に付けておくことをおすすめします。
- Laravelは、PHPのフレームワークとして最も人気がある
- Laravelの勉強法としては、PHPの基礎学習⇒動画でLaravelの概要を掴む⇒学習サイトや書籍でLaravelの知識を深める⇒Laravelを使って実際にWebアプリを開発する、という流れがベスト
- 独学では挫折しやすいので注意が必要