「リスキリングの補助金は個人でも利用できるもの?」
「そもそも補助金・助成金・給付金は何が違うの?」
このように、リスキリングを行うにあたり、補助金や助成金を利用したいと考えている方も多いのではないでしょうか?
最近ですと、国民1人に対して10万円が給付される「特別定額給付金」というものがありましたが、国から支援されるお金は全てが個人で貰える訳ではありません。
補助金や助成金、給付金はそれぞれ役割や仕組みが異なるため、違いについて把握するとともに適切に利用する必要があります。
そこで今回は、以下の内容について解説していきます。
- 補助金・助成金・給付金の違い
- リスキリングの補助金は個人でも利用できる?
- リスキリングの際に個人が活用できる補助金・助成金・給付金
本記事を読み終えれば、個人で利用できる補助金について理解し、リスキリングに有効活用していくことができるでしょう。
開発会社とWebエンジニア向けのプログラミングスクールを運営する弊社が、個人で利用できる補助金・助成金・給付金について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
補助金・助成金・給付金の違い
ここでは、補助金・助成金・給付金の違いについて解説していきます。
「呼び方が違うだけで同じものだと思っていた」という方は、ここで役割について把握しておきましょう。
補助金とは
補助金とは、事業者の取り組みをサポートするために、国や地方自治体から支給されるお金のことです。
代表的な補助金としては、「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」「ものづくり補助金」などが挙げられます。
公募期間内に所定の書類を揃えて申請し、採択されれば給付を受けられるという仕組みですが、採択件数や金額があらかじめ決まっていることが多いですので、誰でも申請すれば貰えるという訳ではありません。
多くの場合、採択件数よりも応募件数が上回るため、審査で落ちてしまうことも多々あります。
給付を受けるには、
- 企業や個人事業主として申請すること
- 申請内容を吟味すること
- 公募期間内に申請すること
の3つが必要となります。
助成金とは
助成金とは、特定の活動や事業を支援するために、国や地方自治体から支給されるお金のことです。
代表的な助成金としては、
- 雇用調整助成金
- 業務改善助成金
- 人材確保等支援助成金
- 働き方改革推進支援助成金
- 産業保健関係助成金
などが挙げられます。
補助金との違いは、一定の要件を満たしていれば給付が受けられるという点です。
補助金のように採択件数や金額が決められていないため、審査に通るためのハードルは低いと言えます。
なお、支給を受けるには、以下の3つの要件を満たしている必要があります。
- 雇用保険適用事業所の事業主(雇用保険に加入していること)
- 審査協力をすること
- 適正な労務管理
給付金とは
給付金とは、条件を満たしていれば、申請をすることで個人でも受け取ることができるお金のことです。
代表的な給付金としては、「特別定額給付金」「持続化給付金」「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」などが挙げられます。
補助金や助成金は、用途や目的がはっきりしている必要がありますが、給付金は「何に使ってもよい」「申請要件に当てはまれば誰でも貰える」というように制限が緩いのが特徴です。
なお、給付を受けるための要件は給付金の種類によって異なりますので、それぞれ確認する必要があります。
リスキリングの補助金は個人でも利用できる?
ここでは、補助金の個人利用が可能かどうか、リスキリングの重要性とともに解説していきます。
個人でも補助金の利用は可能
リスキリングの補助金は個人でも利用可能です。
ただし、「補助金」と「助成金」は事業主に対して支給されるものですので、個人が主体となって利用するのは難しいと言えます。
個人で補助金や助成金を利用する場合は、法人として申し込み、そこに属している個人が間接的に利用するといったイメージです。
個人向けとして一般的なのは「給付金」ですので、◯◯給付金と書かれたものが直接利用可能なものになります。
そもそもリスキリングとは?
リスキリングとは、技術革新や働き方の変化に対応するために、新しい知識やスキルを学び直すことです。
なぜ、今リスキリングが注目されているのか?と言うと、主に以下の4つの理由が考えられます。
- デジタル技術の導入が広まっている
- デジタル技術を用いた産業の拡大
- 転職に必要なスキル獲得のため
- デジタル格差を緩和するため
現代のビジネス環境は急速に変化しているため、できることを一つでも増やしていかなければ時代に取り残されてしまいます。
リスキリングで身につけておきたいスキルは、以下の通りです。
- デジタルスキル
- コミュニケーションスキル
- マーケティングスキル
- データ分析
- マネジメント
これらのスキルは、現代の労働市場で特に汎用性が高いものなので、取得することでキャリアアップや差別化に繋がります。
参考記事:
リスキリングの際に個人が活用できる補助金・助成金・給付金
リスキリングの際に個人が活用できる補助金・助成金・給付金は、以下の4つです。
- 教育訓練給付制度
- 人材開発支援助成金
- リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業費補助金
- DXリスキリング助成金
制度の概要やコース、給付や申込み条件などが異なりますので、それぞれ見比べてみてください。
教育訓練給付制度
教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講し、条件を満たす人に対して、支払った費用の一部を支給する制度のことです。
なお、教育訓練給付制度は、以下の3種類に分けられます。
- 一般教育訓練給付金
- 特定一般教育訓練給付金
- 専門実践教育訓練給付金
対象者や給付割合などが異なるため、それぞれ確認しておきましょう。
一般教育訓練給付金
一般教育訓練給付金とは、一定の条件を満たした方が厚生労働大臣の指定する講座を受講し修了した場合、支払った学費のうち20%(最大10万円)が支給される給付金です。
なお、一般訓練給付金の概要は以下の通りとなります。
概要 | |
---|---|
対象者 | ■一般教育訓練を修了した方 ■受講開始日までに雇用保険加入期間が通算1年以上ある方 ■前回の受講開始日から今回の受講開始日までに雇用保険加入期間が通算3年以上あり、なおかつ前回の給付金受給日から受講開始日までに3年以上経過している ■離職者は離職日の翌日以降受講開始日までの、雇用保険の支給要件期間が1年以内である |
給付額 | ■受講者本人が支払った教育訓練費の20%に相当する額が支給される ※上限は10万円。教育訓練費が4千円以下の場合は支給対象外となる。 |
申請方法 | ■受講終了日の翌日から1ヶ月以内にハローワークに申請する |
一般教育訓練給付金は、労働者の長期的な雇用や再就職の促進などを図るものですので、キャリアアップやスキル向上を目指している方に当てはまります。
特定一般教育訓練給付金
特定一般教育訓練給付金は、平成31年に新たに作られたもので、支払った学費のうち40%(最大20万円)が支給される給付金です。
なお、特定一般教育訓練給付金の概要は以下の通りとなります。
概要 | |
---|---|
対象者 | ■特定一般教育訓練を修了した方 ■受講開始日までに雇用保険加入期間が通算1年以上ある方 ■前回の受講開始日から今回の受講開始日までに雇用保険加入期間が通算3年以上あり、なおかつ前回の給付金受給日から受講開始日までに3年以上経過している ■離職者は離職日の翌日以降受講開始日までの、雇用保険の支給要件期間が1年以内である |
給付額 | ■受講者本人が支払った教育訓練費の40%に相当する額が支給される ※上限は20万円 |
申請方法 | ■講座の受講開始1ヶ月前までに訓練前キャリアコンサルティングを受け、 ジョブ・カードを作成し、ハローワークにおいて受給資格確認を行う ■受講終了日の翌日から1ヶ月以内にハローワークに申請する |
特定一般教育訓練給付金は、介護職やIT系スキルなどキャリア形成効果が高い講座を対象としているため、速やかな再就職やキャリアアップを目指している方に当てはまります。
専門実践教育訓練給付金
専門実践教育訓練給付金は、1年以上4年以内の長期の教育訓練を想定した制度で、支払った学費のうち80%(最大64万円)が支給される給付金です。
なお、専門実践教育訓練給付金の概要は以下の通りとなります。
概要 | |
---|---|
対象者 | – 専門実践教育訓練を修了した方 – 受講開始日までに雇用保険加入期間が通算1年以上ある方 – 前回の受講開始日から今回の受講開始日までに雇用保険加入期間が通算3年以上あり、なおかつ前回の給付金受給日から受講開始日までに3年以上経過している – 離職者は離職日の翌日以降受講開始日までの、雇用保険の支給要件期間が1年以内である |
給付額 | – 受講者本人が支払った教育訓練費の50%に相当する額が支給される – 資格を取得してから1年以内に雇用保険に加入すると、費用の20%が追加支給される – 専門実践教育訓練を修了し、資格取得・就職して、訓練修了後の賃金が受講開始前の賃金と比較して5%以上上昇した場合、同経費の10%が追加給付される |
申請方法 | – 講座の受講開始1年以内に訓練前キャリアコンサルティングを受け、 ジョブ・カードを作成し、原則2週間前までにハローワークにおいて受給資格確認を行う – 6か月ごとにハローワークで支給申請を行う。 – 受講終了日の翌日から1ヶ月以内にハローワークに申請する |
専門実践教育訓練給付金は、業務独占資格(弁護士や税理士など)や名称独占資格(美容師や保育士など)を取得し、長期的に働くことを目標に実施されているため、1〜3年の訓練を通して転職したい方に当てはまります。
なお、専門実践教育訓練給付金を受給するための受給対象条件等は、ご自身で最寄りのハローワークにてご確認ください。
詳しい概要については、厚生労働省のリーフレットを御覧ください
参照:
厚生労働省「Q&A~専門実践教育訓練給付金~」
厚生労働省リーフレット
専門実践教育訓練給付金についてより詳しく知りたい方や、教育訓練給付金が使えるスクールを知りたい方は以下の記事からご確認ください。
専門実践教育訓練給付金をわかりやすく解説!おすすめスクールも紹介
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは、労働者のキャリア形成を行う企業のサポートをする助成金制度です。
事業主が正規雇用者に対して、仕事内容に関連した専門知識やスキルを習得させるために、職業訓練や人材育成を行った際に、費用負担の一部が支給されるものとなります。
法人で利用した際に得られる助成金ですので、個人で直接申請することはできませんが、間接的に恩恵を受けることは可能です。
なお、人材開発支援助成金を受けるためのコースは以下の7つとなります。
コース | 助成条件 |
---|---|
人材育成支援コース | ①雇用する労働者に対して職務に関連する知識やスキルを習得させるための訓練 ②厚生労働大臣の認定を受けたOJT付きの訓練 ③非正規雇用労働者を対象とした正社員化を目指す訓練 上記訓練を実施した場合に費用の一部が助成される |
教育訓練休暇付与コース | 有給教育訓練等の制度を導入した上で、労働者が教育訓練休暇を取得し訓練を受けた場合 ※令和8年度までの期間限定助成 |
人への投資促進コース | ①デジタル人材・高度人材を育成する訓練 ②労働者が能力開発に向けて自発的に行う訓練 ③定額制訓練(サブスクリプション型の研修サービス) 上記訓練を実施した場合に費用の一部が助成される ※令和8年度までの期間限定助成 |
事業展開等リスキリング支援コース | 新規事業の立ち上げなどの事業展開に伴い必要となる新たな知識やスキルを習得させるための訓練を実施した場合 ※令和8年度までの期間限定助成 |
建設労働者認定訓練コース | ①認定職業訓練または指導員訓練のうち建設関連の訓練を実施した場合 ②建設労働者に有休で認定訓練を受講させた場合 上記訓練を実施した場合に助成される |
建設労働者技能実習コース | 雇用する建設労働者にスキル向上を目的として実習を有給で受講させた場合に費用の一部が助成される |
障害者職業能力開発コース | 障害者に対して職業に必要な能力を開発・向上させるために一定の教育訓練を継続的に実施した場合に費用の一部が助成される |
また、受給要件は以下の通りです。
- 雇用保険の適用事業所である
- 支給審査へ協力する
- 期間内に申請する
研修終了後(2ヶ月以内)に支給申請を行うため、研修を行ったとしても必ず支給されるとは限りません。
また、対象の訓練でなければもちろん支給はされないので、コースごとに要件の詳細を確認しておく必要があります。
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業費補助金
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業費補助金は、キャリアアップを目的として、新たなスキルを身につける方を応援する制度です。
具体的には、下記の3つのサービスを受け、一定の要件をクリアすることで、最大で受講料の70%(56万円)の給付を受けられます。
- キャリア相談:これまでのキャリアの棚卸しやキャリアゴールの設定、スキルの棚卸し、一人一人に適したリスキリング講座の検討のサポートなどが含まれる
- リスキリング講座:キャリア相談の結果を踏まえて、リスキリング講座を受講する
- 転職支援:キャリア相談とリスキリング講座の受講を踏まえた上での転職支援を受ける
こちらも、法人で利用した際に得られる補助金ですので、個人としては間接的に恩恵を受ける形となります。
なお、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業費補助金の対象要件は、以下の通りです。
- 正社員・契約社員・派遣社員・パートやアルバイトなど、企業と雇用契約を締結している在職者
- 雇用主の変更を伴う転職を目指している方
年齢制限はないですが、経営者や個人事業主といった雇用契約を結んでいない方や、リスキリング講座の受講のみが目的の方は対象外となります。
DXリスキリング助成金
DXリスキリング助成金とは、都内の中小企業もしくは個人事業主を対象者とした助成金制度です。
民間の教育機関が提供しているDXに関する職業訓練またはeラーニングなどのデジタル分野関連の講座を受講した際に、費用負担の一部(講習に要した費用の2/3)を助成するものとなります。
受給要件は、以下の通りです。
- 東京都内に本社または事業所の登記があること
- 訓練に要する経費を従業員が負担していないこと(事前に従業員が個人で支払った場合は対象外となる)
- 助成を受けようとする訓練について、国または地方公共団体から助成を受けていないこと
東京都のみとなりますが、個人(個人事業主)でも利用可能で、受付期間内であれば複数回の申請することもできます。
なお、対象講座はAIやIoT、クラウドなどのデジタル分野の講座のみとなっています。
まとめ
今回は、個人が利用できるリスキリングの補助金・助成金・給付金について解説しました。
- 補助金と助成金は「事業者向け」、給付金は「個人向け」に国や地方自治体から支援されるお金である
- リスキリングの補助金は個人でも利用可能だが、直接的に利用可能なのは「給付金」となる
- リスキリングの際に個人が活用できる主な補助金・助成金・給付金は、「教育訓練給付制度」「人材開発支援助成金」「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業費補助金」「DXリスキリング助成金」である
リスキリングでITスキルを身につけたいと思っても、独学ではハードルが高くて自信がないという方も多いかと思われます。
補助金を活用しようと思っても、個人で使えるものはどれか?調べてもよく分からないですよね。
そこでおすすめなのが、個人でも申請可能な給付金(教育訓練給付制度)の活用です。
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