「メタバースエンジニアって何?」
「どうすればメタバースエンジニアになれる?」
まだまだ新しい領域ではあるものの、メタバース業界は拡大傾向にあります。
実際に総務省の令和4年版の発表では、世界市場において「4兆2,640億円」となっていましたが、2030年には「78兆8,705億円」まで拡大すると予想されています。
参照:総務省|令和4年版 情報通信白書|仮想空間市場など
成長業界で働きたいと考えるのは当然の思考ですので、メタバース業界の企業へ就職・転職したいと考えている方も多いでしょう。
そこでこの記事では、以下のようなことについて詳しく解説していきますので、是非参考にしてください。
- そもそもメタバースとは?
- メタバース関連のエンジニアの種類
- メタバースエンジニアに必要な言語
- メタバースエンジニアに必要なスキル
- メタバースエンジニアに資格は必要かどうか
- メタバースエンジニアのなり方
メタバースとは
メタバースとは、Web上に構築された3次元の仮想世界(仮想空間)のことです。
その仮想世界では、現実と同じように時間が流れ、その中でユーザーは「アバター」と呼ばれる自分の分身を操作して、メタバース内での社会生活や経済活動を体験することができます。
メタバースには、以下のような様々な活用方法があります。
- オンラインゲーム
- バーチャル会議
- ショールーム
- モデルハウス
- 教育やトレーニング …など
特にゲームの世界で活発に利用されており、マインクラフトやフォートナイトといった世界的に有名なゲームもメタバースを用いたゲームとなっています。
メタバース関連のエンジニア
メタバースに関連したエンジニアの種類としては、以下のような職種があります。
- ゲーム開発エンジニア
- インフラエンジニア
- iOSエンジニア/Androidエンジニア
- 3Dグラフィックデザイナー
ゲーム開発エンジニア
メタバースは様々な用途で利用されていますが、プラットフォームの開発については、基本的にゲーム開発と変わりません。
バーチャル会議でも、仮想空間を利用したショールームでも、ゲームで使用するようなプラットフォームを用意してから、それぞれの用途に合わせてカスタマイズしていきます。
したがって、メタバースのプラットフォームを設計して開発できるようなゲーム開発エンジニアが必要となります。
Unityを使用してのゲーム開発経験や、ゲームのサウンドやグラフィックを担当したことがあるようなエンジニア・クリエイターは、メタバース開発に欠かせない人材と言えるでしょう。
インフラエンジニア
メタバースを適切に構築し、安全かつスムーズに運営していくためには、サーバーやネットワークを管理するエンジニアも必要となります。
サーバーやネットワークといったインフラ面を担当するのが、インフラエンジニアです。
特にオンラインゲームの場合は、同時接続の人数が膨大になることもあるため、負荷を分散して混雑しないように対処し、ユーザーたちがストレスなく仮想空間を楽しめるようにすべきです。
こうした作業は、サーバーやネットワークについて熟知したエンジニアでなければ対応できません。
また、セキュリティ対策についても重要です。
ハッキングや第三者からの悪意ある攻撃などに備えておかなければなりませんし、何か不具合が発生したら迅速に処理する必要があります。
こうした作業に対応できるインフラエンジニアという存在も、メタバース開発には必須です。
iOSエンジニア/Androidエンジニア
メタバース関連のアプリやサービスは、パソコン向けのものだけでなく、スマホ向けのものも存在します。
そうなりますと、当然スマホアプリを開発するエンジニアである「iOSエンジニア」や「Androidエンジニア」も必要となってきます。
それぞれのOSに合わせてサービスを設計・開発することはもちろん、OSのアップデートがあれば迅速に対応するといった保守作業も担当します。
3Dグラフィックデザイナー
メタバースを構成する3Dの仮想空間内のグラフィックやアバターは、3Dグラフィックデザイナーによって作られます。
3Dグラフィックがなければメタバースは成立しないため、システムを作るエンジニアと同様にメタバース開発には欠くことのできない職種です。
背景やアバター、プロップなどのグラフィックが多様になれば、仮想空間の幅も広がっていくことでしょう。
メタバースエンジニアに必要な言語
メタバース関連の開発を行う場合には、「C++」・「C#」・「JavaScript」といったプログラミング言語が必要となることが多いです。
その他、JavaやPythonなどを使うこともありますが、この項目では、メタバース開発のメインとなる前述の3つの言語について紹介していきます。
C++
C++(シープラプラ)は、C言語の機能を拡張させた汎用プログラミング言語の一つで、処理速度の速さが特徴です。
そのため、多人数が同時接続するようなオンラインゲームでも、高速で処理することが可能となります。
ただし、非常に難易度の高い言語であり、習得するまでに時間がかかってしまうという難点があります。
C#
C#は、Microsoftが開発したオブジェクト指向のプログラミング言語です。
なお、「C」と付いてはいるものの、C言語とは無関係であり、習得難易度もあまり高くはありません。
メタバースの開発は、Unityを使って行われることが多いのですが、Unityで使用する言語がC#であるため、メタバースエンジニアを目指すのならば是非とも習得しておくべき言語と言えるでしょう。
JavaScript
JavaScriptは、主にWebブラウザ上の動的な部分を作る際に用いられるプログラミング言語です。
プログラムを一行ずつ実行可能な形式に変換していくインタプリタ型であるため、処理速度についてはコンパイラ型と比べると劣ってしまいますが、その分プログラミングが比較的簡単で、学習コストが低いというメリットがあります。
JavaScriptは、仮想空間やアバターなどの開発には直接関わってこないものの、メタバース自体が一つのWebサービスであるため、ブラウザ上で動作するケースも多いです。
したがって、ブラウザ上での動作を制御する言語であるJavaScriptについても学んでおくべきでしょう。
メタバースエンジニアに必要なスキル
メタバース開発には、主に以下のようなスキルが必要となってきます。
- Unity
- Unreal Engine
- 3DCG制作
- エンジニアとしての基本的なビジネススキル
Unity
最重要となるのが、Unityに関するスキルです。
メタバースを活用したゲームの多くがUnityで開発されているため、ゲーム開発がやりたいという場合は必須と言えるほど重要なスキルとなります。
Unityとは、2Dや3Dの空間を作ることのできるゲーム開発のためのゲームエンジンで、個人であれば無料で利用することができます。
Unityの主な特徴は以下の通りです。
- プログラミングなしでの開発が可能
- マルチプラットフォーム対応
- アセットストアが充実
最大の特徴は、プログラミングをしなくてもゲーム開発ができるという点です。
直感的に操作できる開発画面を使って、見た目や動きを確かめながら開発を進められるため、子供にも大変人気のあるゲームエンジンとなっています。
ただし、キャラクターの動作や演出などを細かくカスタマイズしたい場合には、プログラミングが必要となることもあります。
その際は、C#を使ってプログラミングを行います。
また、Unityで作ったゲームは様々な環境で動作する「マルチプラットフォーム対応」となっているため、「Windowsでしか動かない」「Macでしか動かない」といったことはありません。
したがって、完成したゲームを販売したり配布したりしやすいというメリットもあります。
最後に、アセットストアが充実しているという点もUnityの特徴です。
アセットとは、ゲームを拡張させるための素材のことです。
そして、他のユーザーが作成したアセットが登録されているストアがアセットストアとなります。
多くのアセットが存在するため、ゲームの幅を広げられそうなアセットや、自作が難しいようなアセットなども見つかりやすいでしょう。
Unreal Engine
Unreal Engineも、Unity同様にゲームエンジンであり、Unityと同じくらいの人気を誇ります。
最大の特徴は、「Unityよりも汎用性が高い」という点でしょう。
Unityはゲーム開発がメインとなっていますが、Unreal Engineはゲーム以外の開発にも用いられることが多いです。
例えば、以下ようなシーンです。
- 自動車の設計
- テレビ番組制作
- アニメ制作
- バーチャルモデルルーム …など
また、Unityで細かなカスタマイズを行う場合はC#を使いますが、Unreal Engineの場合はC++を使います。
使用言語が異なるという点も、UnityとUnreal Engineの違いとなります。
3DCG制作
メタバース空間を充実させるには、3DCGによる背景や建物、アバターなどの作成が欠かせません。
制作者の持つ3DCGのスキルによって、独自の世界観を感じられるようなクオリティの高い仮想世界になるかどうかが決まります。
プログラミングをするエンジニアが最高のゲーム環境を用意したとしても、CGのクオリティが低ければ、没入感を味わうことはできないでしょう。
「現実から離れて仮想の世界に浸れる」というのもメタバースの魅力の一つですから、その魅力を存分に発揮するためには、ユーザーを魅了するような空間を生み出す必要があります。
そういった空間を生み出せるかどうかは、制作者のCGスキル次第となるわけです。
エンジニアとしての基本的なビジネススキル
エンジニアは、チームを組んで他のメンバーと協力しながら開発を行うのが一般的です。
したがって、協調性やコミュニケーション力といった、社会人として持っていて当然のビジネススキルについても身に付けておかなければなりません。
一人の開発メンバーとして、プロジェクトマネージャーの指示のもと、周囲と円滑にやりとりしながら与えられた仕事をこなす、ということを強く意識する必要があります。
いくらプログラミングスキルだけが高くとも、ビジネススキルが低ければチームの生産力を下げてしまう恐れがあります。
そして、徐々にマネジメントについても学んでいき、社内でキャリアップしていくことも視野に入れるべきでしょう。
メタバースエンジニアに資格は必要?
メタバースエンジニアを目指したいと考え、採用に有利に働く資格があれば取得しようと考えている方も多いでしょう。
そこでこの項目では、メタバースエンジニアと資格の関係について解説していきます。
メタバースに直結する資格はほとんどない
結論からお伝えしますと、メタバース関連のエンジニアとして採用されるための、直接的に有利になるような資格というものは存在しません。
まだメタバースという概念自体が新しく、確立されていないということが大きな要因です。
一応、最近になって「メタバースマスター検定」という民間資格ができましたが、運営元は「株式会社リアルエステート・エージェント・ジャパン」という、不動産や英語の塾を運営している会社であり、内容としてもあまり本格的にメタバースを学ぶという形にはなっていません。
メタバースの基礎については学ぶことができるものの、こちらの資格を持っているからといってメタバースエンジニアとして採用されやすくなるということは考えづらいでしょう。
取得する価値のある資格
メタバースエンジニアを目指す場合に、資格を取得する必要はほとんどないものの、それでも「自信を持つために何かしらの資格を取っておきたい」と考えている場合は、以下のような資格がおすすめです。
- Unity認定資格
- CGクリエイター検定
- CGエンジニア検定
メタバースは、Unityというゲームエンジンを使って開発することが多いですし、メタバースは3DCGを使用するため、CGクリエイター検定やCGエンジニア検定も無駄にはなりません。
メタバースエンジニアを目指す際に資格取得は特に必要ないものの、資格取得の勉強を取っ掛かりにして学びたいと考えているような場合は、上記のような資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
メタバースエンジニアのなり方
メタバースエンジニアのなり方としては、主に以下の3パターンとなるでしょう。
- 独学
- メンターを探す
- プログラミングスクールに通う
独学
最も学習費用を抑えられるのが独学です。
自分で学習計画を立て、書籍や動画、オンライン学習サービスを使いながら知識やスキルを学んでいくという方法です。
特に、オンライン学習サイトを使って学ぶ人が多く、以下のようなサービスが人気です。
- Progate
- paizaラーニング
- ドットインストール
ただ、独学には「モチベーションを維持しづらい」・「非効率的な学習になってしまう可能性がある」といったデメリットがあります。
せっかく学習コストを抑えられたとしても、その分余計に時間がかかってしまったり、重要な部分を学び忘れていたりしては意味がありません。
それでも、最後まで学習を継続できればまだいいですが、最悪の場合、途中で勉強が嫌になって挫折してしまうということも充分に考えられます。
独学によるプログラミング学習の挫折率は約9割とも言われているので、独学で挑む場合は、自己管理を徹底し、モチベーション低下を防ぐための努力を忘れないようにしてください。
メンターを探す
「独学だけでは不安」という場合は、学びたい言語やスキルについて教えてくれるメンターを探して、有料で指導してもらうという方法もあります。
独学よりコストはかかりますが、その分わからない部分についていつでも質問できるので、学習がスムーズに進みます。
メンターを探す方法は、「SNSで探す」「友人・知人に頼む」などいろいろありますが、最も手っ取り早いのは「マッチングサービスを利用する」という方法でしょう。
なお、メンターとのマッチングを提供しているサービスは多くありますが、プログラミング関連ならば「MENTA」というサービスが人気です。
MENTAは、教えたい人と教わりたい人をマッチングさせるサービスで、エンジニアのメンターが多いのが特徴です。
詳細については、以下の記事を参照してください。
初心者にとって、プログラミング学習はわからないことだらけであり、なかなか学習が進まないということも珍しくありません。
しかし頼れるメンターがいれば、そんな悩みから解放されることでしょう。
プログラミングスクールに通う
メタバースエンジニアになるために最も確実な方法は、プログラミングスクールに通って学ぶという方法です。
プログラミングスクールならば、体系的に学習するためのカリキュラムが事前に用意されているため、最短距離で学習を終わらせることが可能となります。
もちろん、わからないことがあればいつでも講師に質問できるので、なかなか壁を越えられずに勉強が停滞してしまう、というようなこともありません。
また、挫折しそうになっても講師が支えてくれたり、仲間同士で励まし合えるようなコミュニティが用意されていたりするため、学習モチベーションを維持しやすいというメリットもあります。
デメリットとしては、ある程度高額な料金が必要となることが多いという点ですが、その分効率的な学習が可能となりますし、就職・転職の相談も可能となっているスクールが多いので、将来の自分への投資と考えれば決して高いものではないと考える方も多いでしょう。
まとめ
以上、メタバースエンジニアになるための必要なスキルや、メタバースエンジニアになる方法などについて解説してきました。
まだまだ新しい領域ですが、業界としては拡大傾向にあるため、今のうちからメタバース関連のエンジニアを目指して勉強しておく、というのも非常に有効でしょう。
特に、ゲーム開発に興味のある人にとっては魅力的な職種ではないでしょうか。
- メタバースエンジニアとは、主に「ゲーム開発エンジニア」・「インフラエンジニア」・「iOSエンジニア/Androidエンジニア」・「3Dグラフィックデザイナー」といった職種のことを指す
- メタバースエンジニアを目指すならば、「C++」・「C#」・「JavaScript」といったプログラミング言語や、「Unity」・「Unreal Engine」といったゲームエンジンのスキルを習得すべき
- メタバースエンジニアは独学でも目指せるが、効率的に学びたいのならばスクールの利用がおすすめ
なお、弊社が運営するプログラミングスクール「RUNTEQ(ランテック)」は、未経験からのエンジニア転職に強いスクールで、特にWebエンジニアの育成に力を入れています。
これからWebエンジニアを目指したいという方は、是非一度無料キャリア相談会へお越しください。