「組み込みエンジニアはオワコンと言われているけど需要はあるの?」
「やめとけ・つまらないと言われる理由はなに?」
このように組み込みエンジニアの将来性について不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか?
Googleなどで組み込みエンジニアについて検索してみると、「古い」「つまらない」などと出てきますが、実際はAIやIoTの普及により需要が高まっているのが事実です。
組み込みエンジニアを目指すにあたり、働き方やスキルについて理解しておくことが必要なため今回は以下の内容について解説します。
- 組み込みエンジニアの将来性
- やめとけ・つまらないと言われる理由
- 求められる人材になるために必要なスキル
先端技術の発達により組み込みエンジニアの将来性は高くなっているため、目指す価値は大きいと言えます。
プログラミングスクールRUNTEQを運営する弊社が、組み込みエンジニアの働き方について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
組み込みエンジニアとは?
ITエンジニアには、システムエンジニアやWebエンジニアなどさまざまな職種がありますが、組み込みエンジニアは他のエンジニアと比べて異なる点が多々あります。
とくにWeb系エンジニアとは仕事内容が大きく異なるため、働き方についてきちんと把握しておきましょう。
組み込みエンジニアとは
組み込みエンジニアとは、家電製品や自動車、AV機器など電化製品にソフトウェアを組み込む職種です。
電化製品にさまざまな機能をもたせるには、細かなプログラムが必要となります。
例えば、「ボタンを一回押すと電源がつき、二回押すとロックがかかる」といったように電子機器を使いやすくするためにさまざまな設定をすることが可能です。
組み込みエンジニアは、家電製品を始めとした電子機器の開発に欠かせない存在です。
主な仕事内容
組み込みエンジニアの主な仕事内容は以下の通りです。
- 電化製品や小型機器の動きを制御する
- 工場の生産ラインや発電所を稼働するシステムを作る
- ネットワークで使用される組み込みソフトをつくる
組み込みエンジニアは、小型マイコンを組み込むことで電子機器の動作をコントロールします。
スマートフォンや洗濯機などの電化製品を始めとし、自動車やパソコンを作る工場の生産ロボットのシステム開発を行うのも組み込みエンジニアの仕事です。
また、近年高速化しているネットワーク環境への適応やIoT機器に対応したソフトの開発にも関わります。
利便性や安全性を追求したソフトウェアの設計や基盤の構築など重要な役割を担うのが組み込みエンジニアの特徴です。
必要なスキル
組み込みエンジニアに必要なスキルは以下の通りです。
- プログラミングスキル
- 組み込み系OSの知識
- 電子回路の知識やスキル
- マイコン処理のオブジェクト化
エンジニアの仕事はプログラミングが中心ですが、ただプログラムを組むだけではいけません。
特に組み込みエンジニアの場合、対象となる媒体に多機能のシステムを組み込むため、いかに効率よくプログラミングできるかが重要です。
主に使われるプログラミング言語は以下の通りです。
- C言語
- C++
- Java
- アセンブリ言語
C言語は処理速度が早く、コードが軽いことからハードウェアの制御に多く用いられます。
C言語でまかなえない部分をC++やJavaで補うため、C言語を中心に学習しておくことが必要です。
扱う電子機器に応じて使用する言語も異なるため、その都度学習することも多々あります。
アセンブリ言語はコンピューターに理解しやすいように作られており、おもに電卓やFAXで用いられる言語です。
人間が理解しやすいようにできているC系言語と違い、コンピューター本来の動きに近いようにできているため、CPUやOSなどの知識も深められます。
上記プログラミングスキルに加え、ハードウェアやソフトウェア、OSに関する幅広い知識やスキルを身につける必要があるため、電子機器について深く学ぶ姿勢が求められます。
平均年収
組み込みエンジニアの平均年収は480万円となっています。
必要とされるスキルが多いことから、他のITエンジニアに比べ年収が高いのが特徴です。
AIやIoTなど先端技術に関わるスキルを持っていることで年収500万円〜700万円以上を狙うことも可能な職種です。
年齢や持ち合わせるスキル・企業によって年収は変わりますが、IT業界では比較的高水準であるため、高収入を目指したい人には特におすすめと言えるでしょう。
組み込みエンジニアの将来性は高い
組み込みエンジニアの将来性について不安を覚える方もいると思いますが、エンジニア業界のなかでも需要がある職種の一つです。
将来性が高い理由として、以下の3つが挙げられます。
- AI技術の発達
- 若手エンジニアの需要が高い
- IoT機器の普及
AI技術の発達
AI技術の発達に伴い電子機器にAIを搭載することが増えたため組み込みエンジニアの需要が高まっています。
AIはどのような製品にも付与することが可能で、身近なものにも多く存在します。
- 自動運転の自動車
- お掃除ロボット
- 工場の不良品検知
- クレジットカードの不正利用検知
- SiriやAlexaなどのバーチャルアシスタント
上記製品は既に普及しており、日々改良改善が行われています。
今後も、新たな機能の追加や改善が行われていくと予想されるため、先端技術に関する知識やスキルを持った組み込みエンジニアの需要がさらに高まるでしょう。
AIを専門的に扱う職種としてAIエンジニアがありますが、組み込みエンジニアと働き方が異なるため、詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみてください。
若手エンジニアの需要が高い
組み込みエンジニアは40代〜50代の方が多く、20代〜30代の若手エンジニアが不足しているのが現状です。
出典:duda
ITエンジニア全体で人手不足が叫ばれている中、とくに供給が追いついていない分野であるため、若手エンジニアの需要は高まっています。
なぜ、組み込みエンジニアの数が少ないかというと、以下の3つの理由が挙げられます。
- 習得するのが難しく参入障壁が高い
- 高度な知識やスキルが求められる
- Web系企業の人気が高い
組み込みエンジニアには、セマフォやリアルタイムOS(RTOS)など他のエンジニアが耳にしないような電子回路やOSに関する知識やスキルが求められます。
また、JavaScriptやPythonなどシステム開発で多用される言語はあまり使わず、C言語やアセンブリ言語などハードウェア開発に適した言語が広く用いられます。
習得まで時間がかかるのに加え、細かな仕組みまで理解する必要があるため難易度が高いのが特徴です。
プログラミング言語のトレンドに乗っていないこともあり、若手エンジニアの多くはWeb系企業を目指す傾向にあります。
Web系エンジニアは、未経験者でも目指しやすいため人気が高い職種でもあります。
未経験からWeb系エンジニアを目指す方法について知りたい方はこちらを参考にしてみてください。
また、一度リリースされた製品には修正がきかないため、組み込みエンジニアはありとあらゆる場面を想定してプログラム設定を行うことが必要です。
現在では豊富な知識や高いスキルを持ったエンジニアが少ないため、積極的に学べる人は組み込みエンジニアとして将来活躍していけることでしょう。
IoT機器の普及
AI技術の発達に加え、IoT機器の普及によりさらに組み込みエンジニアの需要が高まっています。
これまでシステムとインターネットが繋がることは少なかったですが、近年では電子機器とインターネットをつなぐIoT機器が増えています。
身近なIoT機器としては、以下のものが挙げられます。
- スマホでコントロールできる証明「フィリップスフュー」
- スマホが鍵になる「キュリオロック」
- スマホでスイッチやリモコンを一元管理できる「スイッチボット」
- 食品の賞味期限を管理できる冷蔵庫「クリスタルミラー」
- 室温を自動調整・管理できる「ネスト ラーニングサーモスタット」
組み込みエンジニアは、IoT機器に搭載されるセンサーが読みとった情報をシステムに反映させる工程を担います。
IoT機器は家電製品のみならず、医療や製造の現場でも利用されるため、今後も需要が拡大していくと言えるでしょう。
組み込みエンジニアはさらなる知識や技術のアップデートが必要となりますが、スキルの高いエンジニアになれれば、さまざまな分野で活躍することが期待できます。
組み込みエンジニアはやめとけ・つまらないと言われる理由
「組み込みエンジニアはつまらない、やめとけ」
このように否定的な意見が多いのは、以下の理由が考えられます。
- 仕事が大変
- 必要な知識や技術力が高い
需要があり将来性の高い組み込みエンジニアですが、IT業界では否定的な意見も多くあり、人手不足問題に悩まされる職種でもあります。
組み込みエンジニアを目指す際は、これから解説する理由について良く理解しておきましょう。
仕事が大変
組み込みエンジニアの仕事は大変なため、激務が理由でやめてしまう方が多いです。
ITエンジニアの業務は比較的大変と言われることが多いですが、ここまで言われる理由はなぜでしょうか?
考えられる理由は以下の通りです。
- 製品をリリースしたら修正がきかないため品質管理が重要である
- スケジュールが厳しいことが多い
- 慢性的な人手不足
Webサービスやアプリ開発とは異なり、システムにエラーやバグが生じた際に簡単に修正改良ができないため品質管理が重要です。
例えば、自動運転の自動車のシステムに不具合が生じてしまった場合、破損や事故など大きな問題が想定されます。
また遠隔での操作が可能になるなど家電製品の機能が高くなっていることもあり、火災などが起きてしまうケースもあります。
このように、組み込みエンジニアはあらゆるリスクを考慮してシステム開発する必要があるのです。
加えて、下請け企業である場合はクライアントの納期や要望に従う必要があります。
ときには、急な仕様の変更を求められることもありますが、人材不足である企業が多いため、納期前は残業や徹夜での作業が必要なケースもあります。
IT業界の労働環境は徐々に見直されているため、全ての企業で言えることではありませんが、中には厳しい働き方となってしまうことも想定しておきましょう。
とはいえ、組み込みエンジニアは一般的なシステム開発を行うエンジニアよりも責任重大な職種であるため、多少の覚悟は必要です。
仕事がハードな分やりきった後の達成感は大きく、やりがいが感じられる職種と言えるでしょう。
必要な知識や技術力が高い
他のエンジニアと比べて必要とされるスキルが高く難しいため、つまらないと感じる方がでてしまいます。
とくに難しいと感じることが多いのが以下の内容でしょう。
- スペックの検討
- リアルタイムOSで普及している「ITRON」や「T-Kernel」
- 回路図や周辺機器など電子回路に関する知識
- 回路図などを作成するのためのソフト「KiCad」について
プログラミングによるシステム開発のみならずハードウェアやソフトウェアの設計も必要であるため、扱う電子機器に関する幅広い知識や技術が求められます。
AIやIoTなど先端技術にも触れるため、現場での経験も長く積む必要があります。
それほど興味のない分野である場合、もしくは内容についていけない場合に「つまらない」と感じてしまうでしょう。
人によって向き不向きはあるため、組み込みエンジニアを目指す前に向いているかどうか判断することをおすすめします。
- C系言語(C言語・C++・Java)のプログラミングが得意
- ハードウェアやソフトウェア、電子回路に興味がある
- AIやIoTに対応した機器に興味がある
- 仕事のハードさはあまり重視しない
- 質重視で開発に取り組める
プログラミング以外の部分に興味があるかどうかが重要なため、自分が携わりたいと思う電子機器などを調べてみると良いでしょう。
求められる人材になるには
組み込みエンジニアは需要があり将来性の高い職種ですが、どのようなエンジニアでも求められるというわけではありません。
将来求められる人材になるには、基本的な業務遂行能力に加え、他のひいでたスキルも必要なため以下の4つを意識して取り組むと良いでしょう。
- コミュニケーションスキルを磨く
- 課題発見力を養う
- 新しいITの知識や技術を身につける
- 並列処理できるスキルを身につける
コミュニケーションスキルを磨く
組み込みエンジニアには多くの知識やスキルが必要とされますが、求められる人材になるためにはコミュニケーションスキルが欠かせません。
例えば、設計や不具合の対処法などが不明確な場合、システムエンジニアに相談するなど他職種間で情報共有することが大切です。
どのエンジニアにも言えることですが、より一層品質が重視される職種であるためチームでコミュニケーションをとりながらシステム開発を進める必要があります。
プロジェクトリーダーやマネージャーなどキャリアアップしたい方は、とくに多くのエンジニアとコミュニケーションをとることをおすすめします。
チームをまとめるにあたっては、エンジニア一人ひとりが行っている業務を把握・管理することが求められます。
最初のうちから多くの人と関わり、質問力や伝える力を養っておくとスムーズなキャリアアップも可能になるでしょう。
課題発見力を養う
システム開発を行う技術力ももちろん必要ですが、さらにステップアップするためには新たな課題を見つけ出し解決する能力が必要です。
組み込みエンジニアはAIやIoT機器が生まれる前からある職種ですが、いつの時代も課題を見つけるところから開発は始まります。
先端技術が発達している現代では課題発見力や解決力がより一層求められるため、積極的に情報収集し、トレンドや時代の流れをつかむことが重要です。
率先して行動できる人は現場で必要とされるため、どの分野でも活躍していけることでしょう。
新しいITの知識や言語を身につける
組み込みエンジニアは基本的にC言語を用いてプログラミングを行いますが、ときにC++やC#などの派生した言語も使用します。
例えば、以下のようにそれぞれ特徴を活かした使われ方をします。
- C++:業務用アプリケーション
- C#:Windowsのデスクトップアプリケーション・検索エンジン
- Java:Androidスマートフォン
また、企業によってはソフトウェアとハードウェアの設計をそれぞれ専門のエンジニアに役割分担することもあります。
しかし、お互いにベースとなる知識が共通認識されていないと、両者の意向を汲み取ることができず効率の良い開発が行えません。
自分1人のスペックを上げて個人で活躍できるエンジニアになるのも良いですが、チームとして役に立てる、もしくは周りをまとめられる人材になるためには幅広い知識を持っておくことが望ましいでしょう。
並列処理できる力を身につける
40代以上のエンジニアの方には、並列処理のスキルが求められます。
並列処理とは、複数の命令を同時に処理するプログラミングの仕組みのこと
ハードウェアに内蔵されるCPUの進化により、並列処理できる環境が整ってきました。
並列処理を行うことでデータの処理時間短縮に繋がり、作業効率アップが図れます。
並列処理を行うには、CPUのみならずソフトウェアでの実装が必要ですが、デバイスの性能を最大限に発揮するためにマルチコアやマルチスレッドに関する知識や経験が必要です。
40代以上の方は、実務経験に加え効率よく業務を遂行する能力も求められるため、並列処理について学ぶことをおすすめします。
組み込みエンジニアになるために必要な資格
組み込みエンジニアになるために必須なスキルはありませんが、エンジニア業界でも必要とされるスキルは高いため、資格取得を目指して学習を進めると良いでしょう。
組み込みエンジニアにおすすめの資格は以下の2つです。
- ETEC(組み込みソフトウェア技術者試験)
- Linux技術者認定試験
ETEC(組込みソフトウェア技術者試験)
ETECは、社団法人組込みシステム技術協会(JASA)が実施する試験で、組み込みエンジニアとしての知識レベルの指針となることを目的として作られています。
2つのクラスがありますが、クラス2(エントリレベル)は制限なく誰でも受験可能で、クラス1(ミドルレベル)はクラス2で500点以上のスコアをとった人のみが受験可能です。
それぞれの試験内容は以下の通りです。
- 仕様・設計の分析に関する問題
- 仕様・設計並びに管理の表現、理解に関する問題
- システムやソフトウェアに関する知識を問う問題
- 技術要素
- 開発技術
- 管理技術
- 通信
クラス1の取得ができれば、組み込みエンジニアとして必要な知識や実装能力の証明になります。
資格取得に挑戦する際は、クラス1のミドルレベルを目指すと良いでしょう。
Linux技術者認定試験
Linux技術者認定試験とは、NPOであるLPI(Linuxプロフェッショナル)協会が実施するLinux技術者向けのプログラムで国際的に認められている資格です。
試験はレベル1〜3まで3段階に分かれていますが、1から順番に受験し取得していく必要があります。
それぞれレベル別の内容は以下の通りです。
- レベル1:Linuxの基本操作とシステム管理が行える
- レベル2:Linuxのシステムデザインやネットワーク構築において企画・導入・維持などができる
- レベル3:システムの設計・構築・運用・保守ができる
レベル1は入門者向け、レベル2は実務経験者向け、レベル3は高度なスキルをもつエンジニア向けなので未経験者でもレベル1から受験可能です。
取得するとLinuxを扱える証明になるため、組み込みエンジニアを目指す方は挑戦してみるのがおすすめです。
まとめ
以上、組み込みエンジニアの働き方や将来性について解説しました。
- 組み込みエンジニアは電子機器にソフトウェアを搭載する職種である
- 製品の品質を重視するため他ITエンジニアよりハードワークと言われ、「やめとけ・つまらない」との声が多い
- 家電製品を始めとして、さまざまな分野でAIやIoT機器が普及しているため組み込みエンジニアの需要は高まっている
組み込みエンジニアは電子機器を扱うため、プログラミングスキル以外にさまざまなスキルが求められます。
ソフトウェアやハードウェアなど製品に関する幅広い知識が必要とされることから、つまらないと感じる人もいるのが事実です。
人手不足問題がありますが、AIやIoT機器が著しく発達しているため組み込みエンジニアの将来性は高いと言えます。
興味のない分野に無理に挑戦する必要はないので、向いているかどうか見極めて進む道を決めるのが懸命でしょう。
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