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Rubyで開発されたWebサービス国内事例5選&海外事例5選【学習メリットも解説】

Web業界でエンジニアとして働こうと思った時に、学ぶ言語としてまず候補に挙がるのが「Ruby」・「PHP」・「Java」あたりだと思われます。

いずれもWeb開発の現場で多用されている言語であり、中でもRubyはスタートアップ系企業の多くが採用しているという特徴があります。

そこでこの記事では、スタートアップ系企業へ就職できる可能性を高められる言語「Ruby」について掘り下げていきます。

Rubyとは何か?

Rubyとは

そもそもRubyとはどういった言語なのか?
どんな特徴やメリットがあるのか?

このあたりについて解説していきます。

Rubyの歴史

Rubyとは、1995年に「まつもとゆきひろ」という日本人によって開発されたプログラミング言語で、日本で開発された言語として初めて「IEC」で国際規格として認められました。
そのため、日本だけでなく世界中で使用される言語となっています。

当初はそれほど注目される言語ではなく、Web開発のバックエンドにおける言語は長らくPHPが主流となっていました。

しかし2004年に、「Ruby on Rails」というRubyに特化した開発効率の良いフレームワークが誕生したことで徐々にWeb業界に浸透していき、さらに2010年頃からスタートアップが出始めたことでRubyが一気に流行しました。

その開発効率の良さから、今もスタートアップ系企業はRubyを採用することが非常に多いです。

Ruby on Railsとの違い

Rubyについて調べようとすると、必ず「Ruby on Rails」もセットになって出てくると思います。

「Ruby」と「Ruby on Rails」、一見名前が似ているため、「似たようなものだろう」「バージョン違いの言語だろう」と勘違いしてしまう方も多いようですが、これらはまったくの別物です。
Rubyはプログラミング言語で、Ruby on Railsはフレームワークです。

フレームワークとは、Webアプリ開発のためにあらかじめ必要な機能やフォーマットが用意されているのもので、開発の効率化に役立ちます。

従って、Rubyを学ぶ場合はフレームワークであるRuby on Railsの学習も必須となります。

Rubyの特徴

Rubyが持つ最大の特徴は、「開発工数を抑えられる」という点です。

シンプルなコードで動作する上、Rubyに特化した強力なフレームワークであるRuby on Rails(通称Rails)があるため、比較的短期間で目的のサービスやアプリを開発することが可能となります。

スタートアップ系企業はスピードが命です。

企画したサービスやアプリを次々とリリースし、PDCAサイクルを回して改良していくことが求められます。

Webアプリケーションを最短で作れる上、色々な技術を網羅しているRuby+Railsは、スタートアップ系企業に非常に好まれています。

Rubyを学ぶメリット

特に未経験からRubyを学ぶ場合は、以下のようなメリットを享受できます。

スタートアップ系企業の需要が高い

前述の通り、Rubyはスタートアップ系企業に好かれているため、Rubyを身に付けておくことでスタートアップ系企業へ就職しやすくなります。

スタートアップ系企業に就職しやすいメリットは以下の通りです。

  • 首都圏の場合、スタートアップが多いため就職口が多い
  • 最新技術に触れる機会が多く、スキルを高めやすい
  • 成長スピードが圧倒的
  • 成功した時の見返りが大きい

Web系スタートアップ企業は、少人数の組織が多く一気に多くの経験を積むことができます。

Ruby on Railsを採用しているWeb系スタートアップ企業は、モダンな技術に触れる機会も増えるので、今後キャリアを積み上げていく上で非常に良い経験になります。

新しい技術に触れ、スキルアップを図りつつ、もしスタートアップが成功した時には大きな恩恵が得られるかもしれないという機会が得られることは、大きなメリットと言えるでしょう。

弊社が運営するプログラミングスクールではWeb系企業の中のスタートアップ企業への転職をおすすめしています。

スタートアップ企業に関して以下の動画で解説していますので、ぜひご視聴ください。

初心者でも学習を進めやすい

Rubyは記述がシンプルな上、日本で開発された言語なので日本語ドキュメントが多く、初心者でも学びやすいという特徴があります。

コミュニティも発展しており、何かわからないことがあってもすぐに質問できる環境が整っています。

なお「コミュニティが活発かどうか」は、その言語が今後廃れていくのか、今後も残っていくのかを見分ける大きな指標となります。

コードがシンプル

Rubyは、非常にシンプルな記述で動いてくれるという特徴があります。

例えば配列からランダムに値を取り出す場合、JavaScriptとRubyでは以下のような違いがあります

※ 共通で array = [1, 2, 3]という値が定義されているとします

JavaScriptの場合

array[Math.floor(Math.random() * array.length)];

Rubyの場合

array.sample

上記のように、同じ処理を行うコードでもRubyの方が記述がシンプルであることがわかります。

他のWeb系言語に応用できる

PHPの代表的なフレームワークである「Laravel」や、Pythonの代表的なフレームワークである「Django」といったものは、すべてRailsを参考に作られています。

そのため、Railsを学ぶことで他のフレームワークを学習する際にも転用しやすいというメリットもあります。

Rubyはオワコン?

「Rubyに将来性はない」
「Rubyはもうオワコン」

こういった声を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに、巷ではRubyに対するネガティブな意見も見受けられます。

しかし、これはRubyに限ったことではありません。
JavaやPHPも長らく「もう終わり」といったことが囁かれ続けていますが、そんな気配は一切なく、今でもWeb開発における主流言語です。

理由は簡単で、すでに多くの企業がRubyやJavaやPHPといった言語を採用してWebサービスやアプリを開発しているため、今更エンジニアを総入れ替えして違う言語に置き換えることは非常に困難なのです。

新規開発の際も、わざわざ歴史の浅い言語を使うよりも、実績ある言語を使おうと考える企業が多いため、なくなるどころか、むしろ需要は今後も伸びていくと考えるのが妥当でしょう。

Rubyで開発された国内サービス5選

Rubyを用いて国内で開発されたWebサービスを5つ列挙します。
いずれも、一度は目にしたことがあるサービスだと思われます。

①クックパッド

クックパッド

クックパッドは、月間ユニークユーザー数1,500万人、月間PV5億というとてつもない数字を誇る料理レシピサイトです。
Rubyで開発された国内サービスとして最も有名なものでしょう。

Rubyを用いて、ユーザーのアカウント情報の管理や、ユーザーからアップロードされるレシピ情報の更新などがスムーズに行われるシステムが構築されています。

Rubyはインタプリタ言語のため「処理が遅い」と言われがちですが、その反証として挙げられるサイトの1つとなっています。

またクックパッドは、開発者ブログを開設して積極的に情報を開示しており、クックパッドの開発に携わっているエンジニアが技術系セミナーで講演を行うことも多いです。

②Gunosy

グノシー

Gunosyは、ネット上に存在する国内外の様々な情報を収集し、評価付けも行った上でユーザーに提供するキュレーションサービスです。

Ruby on Railsによるスピード感のある開発があったことが、後の急成長に繋がったと言えるでしょう。

現在では、大量のトラフィックを処理する部分を「GO」という言語に置き換えたようですが、依然としてRuby on Railsで開発する部分も多く、開発目的に応じて言語を使い分ける形となっています。

なおRuby on Railsの具体的な活用場面については、Gunosyのテックブログにて解説されています。
大規模なキュレーションサイトがどのようにRuby on Railsを活用しているのかについては、エンジニアにとって非常に貴重な情報と言えます。

③クラウドワークス

クラウドワークス

クラウドワークスは、仕事を発注したい人と、仕事を請けたい人とをマッチングさせる国内最大規模のクラウドソーシングサイトです。
2014年には上場を果たし、今も会員数を伸ばし続けています。

スタートアップということで、少人数かつ短期間での開発が求められる中で、Ruby on Railsの開発生産性の高さは有効だったのでしょう。

クラウドワークスCTOの野村真一氏は、「Ruby on Railsでの開発により、将来への変化に対応できるシステムの構築ができた」と述べています。

規約に忠実なプログラミングが行われるというRuby on Railsの特徴から、「今後増員が予想されるプログラマたちに対し、個々人の能力に大きくは左右されないコード品質が期待できる」という評価によって生まれた言葉のようです。

④食べログ

食べログ

食べログは、飲食店検索やユーザーによる評価を見ることができる、飲食店口コミサイトとして国内最大規模を誇るサイトです。

そんな食べログは、運営2年目となる2007年、増加するアクセスを受けて更なるサービス改善を図るためにRuby on Railsへと乗り換えました。

「Ruby on Railsの採用により、コード量が格段に減ることやシステムとデザインの分業体制の効率化による、新規サービスの開発スピードの向上が見込める」と発表しています。

成長している国内サービスの中で、いち早くRuby on Railsに乗り換えたのが食べログです。

⑤freee

freee

freeeは、クラウド会計ソフトのパイオニアで、個人事業主や中小企業を中心とした会計処理を効率化するためのサービスです。

近年注目を集めているFintech(金融とITの融合サービス)の一つです。

以前までは「弥生」などのローカルで使用する会計ソフトが主流でしたが、手軽なクラウド会計への移行が徐々に進んでいます。

freeeの代表である佐々木氏は元Googleの社員で、Ruby on Railsを勉強してfreeeのプロトタイプを作ったという、スタートアップのお手本のような流れを辿った人です。

Rubyで開発された海外サービス5選

次に、Rubyを用いて開発された国外のWebサービスを5つ紹介します。
海外発のサービスですが、日本人ユーザーも多いサービスばかりとなっています。

①Airbnb

AirBnB

Airbnb(エアビーアンドビー)は、部屋を借りたい人と貸したい人を繋ぐ民泊マッチングサービスで、世界190か国以上の人に利用されています。
世界中の旅行者やショートステイを希望する人たちから愛用され、その利用者数は1日あたり世界10万都市で200万人となっています。

Airbnbは、スタートアップとして開発を進める上でどのようにしてRubyでサービスを構築していったのかという「スタイルガイド」を無料資料として公開しています。

すべて英語ではありますが、サンプルコードがあるので、コードを見るだけでも充分参考になる部分はあるでしょう。

②GitHub

GitHub

GitHubは、Gitという仕組みを利用して、世界中のエンジニアたちが公開可能なプログラムをアップロードし共有できるサービスです。
エンジニアならば使用したことがあるという方も多いでしょう。

GitHubの出現によって、コーディングのやり方や仕事の進め方が変わったという企業も多いと思われます。

そんなGitHubのサービスの肝となる「世界中のエンジニアとプログラムを共有できるSNS機能」は、Rubyで構築されています。

③hulu

hulu

hulu(フールー)は、映画や国内外のドラマ、アニメやバラエティなどが見放題となる、アメリカで誕生した定額制動画配信サービスです。

数ある動画配信サービスの中でも、知名度・会員数ともにトップクラスの人気を誇っています。

huluもRuby on Railsで開発されており、年に一度開催されるRailsのカンファレンスである「RailsConf」にて、2012年にスポンサーにもなっています。

④Kickstarter

Kickstarter

Kickstarterは、2009年にアメリカで誕生したクラウドファンディングサイトです。

スタートアップの資金調達の場としても活用されていますが、そんなKickstarterもスタートアップであり、Ruby on Railsでスピード感を重視して開発されました。

⑤Twitter

Twitter

誰もが知る、世界的に有名なSNSサービスであるTwitter。
このサービスも、Rubyで開発されています。

ただ、世界中で爆発的に利用者数が増え続けたことで、現在はJavaVM上で動作するScalaに移行しています。

Rubyはアプリ開発にも最適

アプリ開発

Webサービスだけなく、アプリ開発にもRubyは適しています。

上記は当ブログ内の記事ですが、WEBエンジニア養成プログラミングスクールである「RUNTEQ」の卒業生によって作られたアプリを紹介しています。

Webアプリ

例えばこちらのようなアプリでは、「簡単に5秒でユーザーの声を分析し、その声に似た有名人を表示してくれる」というユニークな仕様となっています。
自分の声がどの有名人の声に似ているか、というのは非常に興味深く、気になる方も多いのではないでしょうか。

技術力ももちろんですが、エンジニアにはこうした発想力も求められます。
ポートフォリオ充実のためには、スキルだけでなく発想力も意識すべきでしょう。

他のアプリもすべて素晴らしいものばかりですので、是非アプリ開発の参考にしてください。

まとめ

スタートアップ

Rubyは、国産で日本語のドキュメントも多く、未経験からの学習にもおすすめです。

学びやすいというだけでなく、スタートアップ系企業で重宝されていることや、海外でも認められている言語ということもあり、学ぶ価値は非常に高いと言えるでしょう。

「自分がどういう方向へ進みたいか」によっても異なりますが、スタートアップ系企業への就職を目指すのならば、RubyとRailsの学習を選択するのがベストです。

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