働き方

エンジニアで残業が多いのは当たり前?残業が多いと言われる理由や実態を解説

「エンジニアは残業が多くて当たり前?」
「なぜエンジニアは残業が多いと言われる?」

エンジニアを目指そうと思っている方・エンジニアになったばかりの方の中には、このような不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
プライベートな時間もしっかり確保したいと考えている場合は、特に心配でしょう。

そこでこの記事では、以下のようなことについて詳しく解説していきます。

  • エンジニアにとって残業は当たり前なのか?
  • エンジニアの残業が多くなってしまう理由
  • エンジニアの働き方の実態
  • エンジニアの残業に関する実態調査結果
  • エンジニアが残業を減らすための方法

エンジニアにとって残業は当たり前?

エンジニアにとって残業は当たり前?

エンジニアにとって残業するのは当たり前なのかどうかについて一言で答えると、「ケースバイケース」としか言えません。

環境・状況によってはきつい残業が当たり前になってしまうこともありますし、逆にほとんど残業がないか、残業があっても法定内残業の範囲で収まるということもあります。

残業が当たり前になるかならないかは、様々な要因によって変わってきます。

例えば、企業の体質として平気でエンジニアたちに残業を強いるのならば、毎日のように過度な残業を要求されることもあるでしょう。
また、単純にエンジニア本人のスキルが足りていない場合も、残業しなければ仕事が終わらないという状態に陥りやすいため、日常的な残業に繋がりやすいです。

このように、エンジニアにとって残業が当たり前なのかどうかは一言では言い切れず、様々な要素の影響を受けます。

エンジニアの残業が多くなってしまう理由

エンジニアの残業が多くなってしまう理由

エンジニアの残業が多くなってしまう理由としては、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 開発にはトラブルが付き物
  • エンジニアが足りていない
  • 急な仕様変更が珍しくない
  • エンジニアのスキル不足
  • 任されるタスクが多すぎる

開発にはトラブルが付き物

開発プロジェクトというものには、何かとトラブルが付き物です。
よほど小規模なプロジェクトでもない限り、何の問題もなく当初の予定通りスムーズに終わった、というようなプロジェクトなどほとんど存在しないのではないでしょうか。

開発プロジェクトにおけるトラブル例

■クライアントとの認識の齟齬があった
■開発チームのメンバーが辞めた
■スケジュールに無理があることがわかった
■予想以上に予算がかかってしまった
■見積もりが甘かった …など

上記はほんの一例であり、様々なトラブルによって開発に遅れが出てしまい

トラブルによって足りなくなった時間は、エンジニアが残業して取り戻すしかありません。
クライアントと交渉して納期を伸ばしてもらうという方法もありますが、信用問題もあるため、それは最後の手段となります。

エンジニアが足りていない

現場のエンジニアの数が足りていなければ、必然的に残業が発生しやすくなってしまうでしょう。

少しでも開発予算を削るために、どう考えても開発メンバーが足りていない状態でプロジェクトが始まってしまうようなこともあります。
このような場合、スタート直後から「デスマーチ」の雰囲気が漂ってきます。

デスマーチとは

プロジェクトマネジメントの失敗により、人員や予算が圧倒的に不足していて、どれだけエンジニアが残業してもプロジェクトが終わらず、心身ともにエンジニアを追い込むような状況のこと。

プロジェクトの規模に対してエンジニアの数が足りていないことが明らかな場合、過度な残業に繋がる可能性が非常に高くなります。

急な仕様変更が珍しくない

開発プロジェクトは、クライアントの都合によって急に仕様が変更されることも珍しくありません。

開発がほぼ終わりかけているような時に突然仕様変更を告げられることもあり、現場のエンジニアたちにとって大変な精神的ストレスになるだけなく、残業という形で肉体的にも疲弊させられます。

しかし、相手はお金を払ってくれるクライアントです。
物理的に不可能な要求以外は、基本的に受け入れるしかないという開発会社も多いでしょう。

プロジェクトマネージャーの腕次第では、クライアントとうまく交渉して仕様変更の幅を小さくしたり、納期を伸ばしてもらったりすることで負担を軽減できますが、そうしたマネージャーがいない場合には現場のエンジニアの残業によって補うしかなくなります。

エンジニアのスキル不足

単純にエンジニア自身のスキルが足りていないことから、残業が多くなってしまうというケースもあります。

他のチームメンバーと同じ量の業務を任されているのに、スキル不足によって一人だけ遅れが出てしまうと、当然残業によってカバーしなければなりません。

この点は、個人差が激しくなってきます。
それぞれのメンバーで日々業務外でも学習する必要があります。

任されるタスクが多すぎる

いくらスキルのあるエンジニアでも、勤務時間内に終わらせることが物理的に無理な量のタスクを振られてしまっては、残業せざるを得なくなります。

これは、無茶なスケジュールや人員不足が原因で起こりがちな現象であり、プロジェクトを納期までに完了させるには、エンジニア一人ひとりの負担を増やすしかありません。

「残業ありき」で仕事を振られている以上、どれだけスキルがあっても、どれだけ努力しても、残業を避けることは難しいでしょう。

エンジニアの働き方の実態

エンジニアの働き方の実態

エンジニアが就職する会社は、主に以下の3種類となります。

  • 自社開発企業
  • 受託開発企業
  • SES企業

それぞれの会社によって働き方が変わるため、残業の多さも違ってきます。

この項目では、自社開発・受託開発・SESにおける残業事情について紹介していきます。

自社開発企業は残業が少ない傾向がある

まず自社開発企業ですが、残業については少なめとなっている企業が多いです。
理由は、サービスや商品を自社で開発している分、納期の調整がしやすいからです。

もし開発スケジュールに無理があることがわかれば、リスケして多少納期を伸ばす、といった柔軟な対応をしても、誰に迷惑をかけるわけではありません。
会社側の意志一つで納期変更が可能なため、クライアントから案件を受注する受託開発企業と比べると残業は発生しづらいと言えます。

とはいえ、サービスや商品をリリースしなければ売り上げに繋がらないので、無制限に後ろ倒しすることはできず、納期間際に残業が発生することもあります。

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受託開発企業はクライアント次第

受託開発企業の場合は、クライアントから開発案件を受注し、「いついつまでに納品する」という契約を交わしているため、簡単に納期の変更ができません。
したがって、プロジェクトによっては厳しい残業が必要となるケースもあるでしょう。

特に、もともと厳しい開発スケジュールを組んでいたり、急な仕様変更を平気で要求してきたりするクライアントの場合は覚悟が必要です。

受託案件の場合は、プロジェクトマネージャーの交渉力の高さが、エンジニアたちの残業の多寡に強く影響します。
クライアントとの交渉で、余裕を持ったスケジュールを組むことができれば、残業の少ない平和なプロジェクトとなる可能性が高いです。

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SES企業は本来残業がほとんどない

SES企業のエンジニアは、本来ほとんど残業がありません。
なぜならば、SES契約には成果物の納品義務がなく、労働力を提供するという契約なので、プロジェクトがどういう状況であろうと定時で帰れるからです。

しかし、法令を遵守していないクライアントも少なくないため、残業が当たり前になっているSESエンジニアも多いのが実情です。

クライアントからSESエンジニアに対する残業要請は違法なのですが、それを知らないクライアントや、知った上で「どうせエンジニアはそんなことを知らないだろう」と考えて残業や休日出勤をさせるケースがあります。

また、それを容認しているブラックなSES企業もあるため、こういった点には要注意です。

なお、クライアントからではなく、指揮命令権のあるSES企業の方から残業の指示があった場合には残業が必要となることもあります。

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エンジニアの残業に関する実態調査結果

エンジニアの残業に関する実態調査結果

エンジニアの残業の実態については、いくつかの調査結果があります。

まず、リクナビNEXTが運営する「Tech総研」の調査結果です。
こちらは、エンジニア300人を対象に「退社する時刻」を集計したものとなります。

退社時刻
割合
定時~19:00
28%
19:00~21:00
41%
21:00~23:00
28%
23:00以降
3%

参照:エンジニア的残業☆生態図鑑|【Tech総研】

上記の通り、定時から19時に仕事を切り上げているエンジニアが3割弱で、21時までに退社している割合でみるとほぼ7割となります。

この結果をどう捉えるかは人それぞれだと思いますが、3割弱、つまり約3人に1人は定時や定時に近い時間に退社していることから、「エンジニアは残業するのが当たり前」と思っていた人にとっては、印象が変わったのではないでしょうか。

また、パーソルグループの調査によると、エンジニアの月の平均残業時間について、以下のような結果が出ています。(550人のエンジニアへのアンケート結果)

月の平均残業時間
割合
5時間未満
10.0%
5~10時間未満
12.8%
10~30時間未満
33.2%
30~40時間未満
17.2%
40~45時間未満
9.1%
45時間以上
13.8%
答えたくない
3.8%

参照:エンジニアは残業ばかり?550人へのアンケートから分かる残業事情 | パーソルクロステクノロジー

ご覧の通り、月30時間未満の割合が56%となっています。
月に30時間の残業であれば、月に20日の労働だと仮定しても、1日あたり1.5時間の残業です。
しかも、30時間は最大値であり、月に20時間や10時間といった残業時間のエンジニアも多いでしょうから、平均すると1日あたり1時間未満の残業で収まっているエンジニアも少なくないでしょう。

これらの実態調査から見る限りでは、「エンジニアは長時間の残業をして当たり前」というのはあまり一般的ではないのかもしれません。

エンジニアが残業を減らすための方法

エンジニアが残業を減らすための方法

前述の実態調査の結果から、平均的には、エンジニアの残業時間が特別多いわけではないということが伝わったかと思われますが、それでも状況によっては厳しい残業が発生してしまうことがあります。

そういった状況に陥らないためには、以下のような点について意識することが重要です。

  • 勤める企業を選ぶ
  • スキルアップに励む
  • 上司へ提案する

勤める企業を選ぶ

「自社開発」「受託開発」「SES」のそれぞれの残業事情についてすでに解説しましたが、勤める企業によって残業が発生しやすいかどうかはかなり変わります。

残業を減らしたいということを第一とするのならば、自社開発企業を選ぶべきでしょう。
自社でサービスや商品を開発している分、スケジュールについては柔軟に調整できるケースが多いです。

SES企業も、本来ならば残業が少ない傾向にあるのですが、ブラックSES企業に勤めていたり、クライアントに恵まれなかったりすると、長時間労働の憂き目に遭う可能性があるので要注意です。

Web業界を選ぶ

Web業界の企業はSI業界の企業に比べて、働きやすい傾向があります。
Webサービスを扱うためリモートワークでも仕事ができます。

また、SI業界と比べて小さな組織に属することになるため、比較的社員の管理や働き方がゆるいです。

もちろん、メリットだけではなく自分で自分を律して自分で努力しないと、実力主義の世界であっという間に差がついてしまいます。

一方で、残業という面では自分でコントロールしやすくなります。

自分のスキル不足によって仕事が遅れてしまうような場合は、スキルアップに励むしかありません。
他のメンバーと同じような量の仕事を配分されているのに、自分だけ残業が発生してしまうような時は、自身のスキル不足を疑うべきでしょう。

駆け出しではなく、すでに現場で働いているエンジニアがスキルアップする方法としては、以下のようなものがあります。

  • 自分よりレベルの高いメンターを雇う
  • エンジニアの勉強会やセミナーに参加する
  • プログラミングスクールに通う

特にプログラミングスクールは、スキル不足を感じたエンジニアの学び直しに対応していることも多いのでおすすめです。
本格的なスキルアップを望む場合は、是非検討してみてはいかがでしょうか。

上司へ提案する

残業が多いということは、構造的な問題があることも大いに考えられます。

  • 人員が足りていない
  • スケジュールに無理がある
  • スキル不足のメンバーが多い

こういったケースでは、いくら自分が努力しても残業を減らすことはできません。

よって、一度上司に相談し、抜本的な改革を提案してみるという手もあります。
構造から変えるのは時間がかかるので、すぐに残業が減るということはないかもしれませんが、長い目で見れば効果も出てくることでしょう。

まとめ

まとめ

以上、エンジニアにとって残業が当たり前なのか?という疑問についてや、残業が多くなってしまう理由、エンジニアの残業に関する実態調査の内容などについて解説してきました。

実態調査の結果を見ると、「エンジニアは残業が多いものだ」とは言い切れず、あくまでケースバイケースであるということが言えるでしょう。

残業が多くなってしまう場合でも、対処次第では改善できる余地もありますので、残業を減らしたいエンジニアの方は本記事を参考に行動していただければと思います。

今回の記事のまとめ
  • エンジニアの残業が当たり前になってしまうかどうかは、勤める企業の体質や本人のスキルなどによって変わる
  • 自社開発企業ならば開発スケジュールを柔軟に変更しやすい
  • 各実態調査からは、特にエンジニアの残業時間が長いわけではないという結果が出ている

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