「今の職種では先がないから、高収入が期待できそうなエンジニアへ転職したい」
なかなか給料が上がらない今の時代、こういう考えをお持ちの方も多いでしょう。
実際エンジニアは、他の職種と比べて平均年収が高いです。
転職情報サイト「DODA」によると、2020年の正社員全体の平均年収を「409万円」と算出していますが、エンジニアの平均年収は「542万円」となっています。
DODA内の情報をもとに算出されたデータなので、やや偏りはあるかもしれません。
しかしこれだけの差がつくということは、「エンジニアの年収が他業種に比べて高い」という点について疑いの余地はないでしょう。
そういった情報が徐々に浸透していることもあってか、エンジニア未経験の方でもIT業界への転職を考える方が増えているようです。
しかし、「未経験からエンジニアへの転職などできるのだろうか」「目指したところで、どうせ失敗に終わるのではないだろうか」という不安を抱えている方もいらっしゃるはず。
そこでこの記事では、エンジニア転職に失敗しやすい人の特徴や、未経験からのエンジニア転職を成功させるコツなどを中心に解説していきます。
IT業界未経験の状態からエンジニアへの転職を考えている人は、是非チェックしてください。
エンジニア転職に失敗しやすい人の特徴7選
現在でも人材不足となっているIT業界ですが、今後はさらに深刻化していくと言われています。
従って、未経験からでもエンジニアへの転職は実現しやすい状況ではあるのですが、それでも、以下のようなタイプの人は失敗しやすいので注意が必要です。
なお、ここで言う「エンジニア転職の失敗」とは、以下の2つを指します。
- エンジニアとして採用されない人
- 採用されたとしても、エンジニアになったことを後悔する人
考えが甘い
充分なスキルも身に付いていないまま、「まあ何とかなるだろう」といった根拠のない自信をもとに、とりあえずでエンジニアの求人に応募してしまうようないい加減な人はまず採用されません。
選考・面接にあたる採用担当者は、言うまでもなくエンジニア採用のプロです。
未経験者が独学でプログラミングの基礎を学んだ程度のスキルでは、すぐにスキル不足を見抜かれてしまい、即不採用となってしまいます。
そもそも、採用担当者が興味を持つようなポートフォリオもないようでは、まず書類選考の段階で落とされます。
「IT業界は人手不足らしいから、ちょこっと勉強しておけば大丈夫だろう」といった考えの甘い人がエンジニアへ転職できることはほぼあり得ませんし、万が一採用されようとも、そんな精神性ではエンジニアとして働き続けるのは難しいでしょう。
職歴に一貫性がない・あまりにも転職が多い
未経験からエンジニア転職をする場合、アピールできる材料は過去の職歴や実績のみになります。
特に、職歴については意識的にチェックされるでしょう。
例えば、あまりにも転職回数が多すぎたり、転職する業界が異業種ばかりで職歴に一貫性がない場合、エンジニア転職に失敗する可能性もあります。
例えば、【不動産の営業 ⇒ パチンコ屋の店員 ⇒ 飲食店の経営】という職歴の場合、あまり印象がよくありません。
職種に一貫性がなく、何がしたい人なのかが伝わってきませんし、すぐに飽きてしまうという性格も見え隠れします。
こうした人が、仮に優れたポートフォリオを用意し、努力して高いスキルを身に付けたとしても、採用担当者としては以下のような不安が消えません。
「この人は何がやりたい人なのだろう」
「うちの会社に入っても、どうせすぐに飽きて辞めてしまうのではないか」
こういったタイプの人も、エンジニア転職に失敗しやすい典型パターンです。
情報収集が足りない
ITエンジニアやIT業界がどういったものなのか、という点をあまり調べもせずに、「未経験者歓迎」という言葉に飛びついて安易に転職してしまう、というパターンもよくある失敗例です。
これから自分が飛び込もうとしている業界なのですから、エンジニアになるための勉強と同時に、業界についても充分に情報収集しておくべきです。
- Web業界とSI業界の違い
- 各種エンジニアの職域や将来性の違い
- スタートアップ企業とSES企業の違い
こうした基本的なことも理解していないまま未経験者歓迎のSES企業に就職した結果、案件ガチャに外れてしまいスキルアップの望めないテスト業務ばかりやることになってしまった、というケースも存在します。
将来性のあるエンジニアになるためには、どの業界でどういった種類のエンジニアになるべきなのか、といった事前の情報収集が非常に重要です。
なおエンジニアの種類については、以下の記事にて詳しく解説していますので、よろしければ是非参考にしてください。
企業分析が足りない
求人へ応募する前に、その企業について充分に調べ、分析するという作業を怠る人も、転職に失敗しやすいです。
未経験ながらポートフォリオやスキルに問題がなく、無事に書類選考を通過して面接まで進めたとしても、企業分析を疎かにしてしまうと、面接官から飛んでくる以下のような質問に対応することができません。
- うちの会社のどこに惹かれたか?
- 入社後は具体的にどんな仕事がやりたいか?
- 我が社における5年後のビジョンは?10年後のビジョンは?
うまく答えられなければ、当然印象は悪くなってしまいます。
仮に採用されたとしても、企業分析の甘さから社風を理解しておらず、入社後に「思っていた仕事と違う」「こんな働き方だとは思わなかった」といったように、思い描いていたエンジニア生活とのギャップに苦しんでしまう可能性もあります。
SNSや転職サイトに、その企業で働いている人や過去に働いていた人たちの声が載っていることも多いので、入社を目指す企業については徹底的にググり、どういった社風なのかを充分に理解しておきましょう。
せっかくエンジニアとしての転職に成功したのに、入社してから後悔するようなことになってしまっては本末転倒です。
知名度だけで選んでしまう
前述の「企業分析が足りない」と近い理由ではありますが、「聞いたことがある会社だから」といったように、知名度だけで安易に転職する企業を選んでしまうことも大変危険です。
知名度の高さと、自分にマッチする企業かどうかという点はまったく別物です。
企業側との価値観が合わなければ、様々な場面でつらい思いをすることになります。
例えば、自分はプライベートの時間を大切にしたいと考えているのに、他の社員たちは、有休を取らないことや徹夜で仕事をしていることに価値を感じるような人間ばかりの場合、ともに長く働くことは難しいでしょう。
こういったことにならないように、転職先を選ぶ時は、企業の知名度よりもカルチャーフィットを重視すべきです。
「未経験歓迎」の意味を履き違えている
エンジニア募集の求人には、「未経験歓迎」となっているものもあります。
こういった求人案件を見た際に、「未経験でもしっかり面倒みてくれるんだ」「充実した研修制度が用意されているのだろう」と勝手に解釈して入社してしまうと、あとで痛い目を見ることも珍しくありません。
未経験歓迎というのは、「未経験であろうと自走力が高く、わからないことがあっても自己解決できる人材を歓迎する」という意味であることも多いのです。
また、後述する通り、ロースキルでも対応できるような成長が期待できない仕事を担当させられてしまうケースもあります。
「歓迎」という文字を鵜呑みにしないように注意してください。
やたらと労働条件にこだわる
変にこだわりが強く、やたらと労働条件を提示するような人は、未経験の状態からエンジニアとして採用されるのは難しいでしょう。
「最低でも年収600万円は欲しい」
「成果はきちんと出すので、完全リモートで働きたい」
「土日は絶対に休みたい」
面接の段階でこんなことを言ってしまっては、面接官からの印象はかなり悪くなってしまいます。
確かに労働契約法では「会社と労働者は対等」とされているため、労働に対する希望を伝えるのは間違った行為ではないのですが、まだ海のものとも山のものともわからない未経験者があれこれ条件を出してしまうと、「ただの扱いづらい人間」だと認識されてしまいます。
会社に要求したい条件があるのならば、採用された後に日々の仕事の中で結果を出し続け、会社から実力を認められてからはじめて条件を提示すべきでしょう。
未経験からエンジニアへ転職して失敗した実例3選
現在、IT技術の急速な発展により、エンジニアの数が追い付いていないことから、未経験でも採用する企業が増えてきています。
しかし「未経験歓迎」「未経験OK」という言葉を鵜呑みにして転職をすると、失敗や後悔に繋がってしまうことも少なくありません。
ここでは、未経験からエンジニアへ転職した際の代表的な失敗例を3つ紹介します。
「未経験歓迎」の企業に転職したら開発できなかった
エンジニアと聞くと、プログラミング言語を駆使してシステムやWebサービスを構築して、リモートワークをして、場所に囚われず働く事ができると思っているかもしれません。
実は「未経験歓迎」としている企業で待ち構えているのが、保守監視運用といったロースキル(スキルが低い)案件だったりします。
もちろん、保守監視運用の仕事が悪いわけではありません。
しかし、これからエンジニアへ転職したい人にとって、自分の市場価値を上げたり手に職をつけたりするのに役立つ経験とは言い難いです。
エンジニアへの転職というのは、「とりあえず『エンジニア』とされている職業に転職できればいい」というわけではありません。
将来性のあるエンジニアになってこそ、意味があります。
一向にスキルが身につかず、理想の仕事をする事もできず、年月だけが過ぎてしまうような働き方になってしまうのならば、エンジニアへ転職した意味があまりありません。
- 「未経験歓迎」の仕事は要注意
- アサインされた案件に参画するので仕事を選べないことが多い
研修がほとんどなく現場で丁寧に教えてくれる人がいない
規模が大きい企業の場合は研修制度などがあります。
しかし、そのような企業は新卒一括採用であることがほとんどで、転職してエンジニアを目指す場合は中小企業がメインです。
未経験からエンジニアを目指す場合の多くは、とにかく人手が足りていないスタートアップ企業やベンチャー企業への転職が多くなります。
当然人手が足りていないので、研修期間はほとんどありません。
入社前に自力で仕事ができるレベルになっておく必要があります。
「研修があるから大丈夫」
「現場で先輩が教えてくれるだろう」
「とりあえず現場に入ろう」
こういった考えで転職活動を始めても、そもそも採用してもらえる可能性自体低いですし、仮に入社できてもまともな仕事はできません。
転職に必要なスキルを身につける前に挫折してしまう
業務未経験だとしても、入社後にある程度仕事をこなせるレベルになっておく必要があります。
最低限、以下のようなタスクをこなせるようになっておくべきでしょう。
- バグ修正のタスクを一人でこなせる
- 用意されたドキュメントを読みこなして環境構築を一人でできる
- わからないことを適切に質問して仕事を進められる
また就活のために、個人アプリをポートフォリオとして作る必要があります。
学習期間とポートフォリオを作る時間を合わせると、最低でも半年ほど時間がかかります。
ここまで到達する前に多くの人は挫折してしまいます。
- エラー解決が全くできない
- 誰にも相談できずにモチベーションが下がる
- どこまで勉強したらいいかわからない
・・・などなど、悩みがつきません。
途中で挫折してしまう人が非常に多いのです。
未経験からのエンジニア転職で失敗・後悔しないためのコツ
ここまでは「エンジニア転職に失敗しやすい人の特徴」や「実際の失敗例」について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
自身に当てはまってしまった場合は要注意です。
しかし、失敗している人がいる一方で、未経験からでもエンジニア転職を成功させている人も数多く存在します。
ここでは、それらの人に共通する4つの特徴について紹介していきます。
十分な学習期間を確保する
当たり前のことですが、妥協なくきっちり勉強をしている人ほどエンジニア転職に成功しやすいです。
実力がないまま転職活動を頑張るのではなく、現場で自走できるほどのスキルを身につけてから転職活動を始めた方が効率が良いです。
特に最近は、エンジニアの市場価値の高さに気付き、エンジニア転職を目指す人も増えてきています。
そんなライバルたちに負けないよう、十分な学習期間を確保し、焦らずじっくりとスキルを身に付けてから転職活動を始めるべきです。
そのため、学習をする時間については妥協しないようにしてください。
目安としては1,000時間ほどの学習が必要です。
学習内容に関しては以下の動画にまとめてありますので、是非ご覧ください。
オリジナルのポートフォリオを作成する
エンジニア転職では、ポートフォリオの作成が必須です。
ポートフォリオとは、自分の技術力を示すための個人開発したサービスやアプリのことです。
あなたがどれだけ勉強したと自己申告したところで、実際どういうものを作ったのか見せられるものがなければ、技術力を証明することはできません。
さらに、ポートフォリオにはその人の個性が出ます。
どういう理由でそのポートフォリオを作ったのか、という部分から、人間性を判断しようとする採用担当者もいます。
なお、よくある失敗するポートフォリオパターンとして以下のものがあります。
- 既存のアプリのクローン
- 誰かに使ってもらう前提がないアプリ
- よくわかっていない技術を詰め込んだだけのアプリ
オリジナリティがあって、誰かの悩みを解決できるようなアプリを個人開発している人は、就職活動もうまくいく傾向があります。
個性のある良質なポートフォリオを作る方法は以下の記事にまとめましたのでぜひ読んでみてください。
横のつながりを未経験の状態から作っている
エンジニア転職の学習時間は長丁場です。
先ほどもお伝えした通り、目安として1,000時間ほど学習する必要があり、多くの人は途中で挫折してしまいます。
挫折せずやり遂げるには、環境を変えることです。
経営コンサルタントの大前研一氏も以下のように述べています。
人間が変わる方法は三つしかない。一つは時間配分を変える、二番目は住む場所を変える、三番目は付き合う人を変える、この三つの要素でしか人間は変わらない。もっとも無意味なのは、「決意を新たにする」ことだ。かつて決意して何か変わっただろうか。行動を具体的に変えない限り、決意だけでは何も変わらない。
出典:時間とムダの科学
つまるところ、環境を変えるということです。
どれだけ気合を入れても、1,000時間の学習をやる気とモチベーションだけで乗り切ることはできません。
だからこそ、現役エンジニアに相談できる環境に身を置くことや、共にエンジニアを目指す仲間を見つけることが重要です。
自分の目的から逆算して目指すエンジニアを決める
エンジニアといってもさまざまな種類があります。
エンジニアといえば、プログラミング言語を扱って開発することが当たり前だと思っているかもしれません。
ですが、手を動かして自分でコードを書く機会がほとんどないエンジニアもいます。
エンジニアの種類によって、必要となる知識やスキルはもちろん、その後のキャリア形成についても異なります。
自身がどのようなエンジニアを目指すのかを明確にし、キャリアマップを描いた上で、必要となる知識やスキルを身に付けていかなければならないのです。
なお、SI業界とWeb業界にはかなりの違いがあり、業界間の移動はかなり難しいです。
専門性の高い職業であるエンジニアは実務経験が評価されるため、途中からエンジニアの種類を変える場合には遠回りとなることを覚えておきましょう。
エンジニア転職に失敗しないために確認しておくべきこと
エンジニア転職で失敗しないためには、以下のような点について問題がないかしっかり確かめるようにしてください。
- エンジニアになりたい・続けたいという強い気持ちがあるか
- 企業選びで妥協をしていないか
- 客観的な意見も取り入れているか
エンジニアになりたい・続けたいという強い気持ちがあるか
未経験の場合は、「エンジニアになりたい」という強い気持ちが持てているか。
経験者の場合は、「この先もエンジニアを続けていきたい」という強い気持ちを持てているか。
こういった心構えがあるかどうかは大変重要です。
エンジニアになれるかどうか、エンジニアを続けられるかどうかというのは、最後は精神面が大きく影響します。
強い覚悟があれば、それが行動にも表れますし、採用担当者にも伝わります。
自分自身に、本当にエンジニアとして頑張りたいという気持ちがあるかどうかを今一度再確認してみてください。
企業選びで妥協をしていないか
「未経験だし、このくらいの会社が妥当でしょ・・・」
「納得できない部分が多いけど、採用してくれるならこの会社でいいや・・・」
こういったネガティブな形で入社したとしても、満足のいくエンジニアライフを送れる可能性は低いでしょう。
エンジニアの仕事は決して楽なものではありません。
そこにやりがいや働きがいがなければ、長続きする可能性は低いです。
したがって、未経験であろうとも企業選びにはこだわるようにしてください。
客観的な意見も取り入れているか
エンジニア転職に際して、自分一人だけですべてを決めるのは危険です。
もちろん、最終的には自分の意志を最優先すべきですが、転職しようとしている企業について客観的な意見ももらった上で判断した方がよいでしょう。
そういった場合に便利なのが、転職エージェントの存在です。
転職エージェントならば、各企業についての情報も持っていますし、転職希望者の職歴や転職先に求めることなどを鑑みた上で、客観的な意見をくれるはずです。
知人や友人に意見を求めることも大事ですが、転職のプロであるエージェントに相談してみるのも有効です。
まとめ
以上、未経験からエンジニア転職を目指して失敗した事例や、転職を成功させるための方法などについて解説をしてきました。
未経験からの転職で多くの人が失敗してしまう理由は、「事前準備の不足や勉強不足」です。
勉強以外にも、未経験採用をしている企業はどのような特徴があるのか、キャリア形成はどうするのかを具体的に考えておく必要があります。
なお、しっかり準備して確実にWeb系エンジニア転職を成功させるためにロードマップを作成しましたので、是非こちらの記事も参考にしてみてください。